沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

「はたちの献血」キャンペーン
(1/1〜2/29)に寄せて

屋良勲

沖縄県赤十字血液センター 屋良 勲

血液事業の推進につきましては、平素から沖 縄県医師会の皆様にはご理解とご協力を賜り感 謝申し上げます。

このキャンペーンは、献血者が減少しがちな 冬季において、安全な血液製剤を安定的に確保 するため、新たに成人式を迎える「はたち」の 若者を中心として、広く国民各層に献血に関す る理解と協力を求める事を目的としています。 特に成分献血、400mL献血の継続的な推進を 図ることで、国、県、日本赤十字社の主催で全 国的に行われます。期間は平成20年1月1日か ら2月29日の2ヶ月間です。若年層の献血推進 対策の一環として、若年者献血ボランティア組 織、青少年のボランティア組織等との連携を構 築し、献血の推進及び将来の献血者育成を図る こと、また複数回献血の推進を目指していま す。少子高齢化の時代の影響で、若年層の献血 者は年々減少しており、このことは将来の治療 用血液の不足が危惧されます。「はたち」の成 人式を記念に献血に対する理解と協力をお願い するところであります。

昨年度は全国的に献血者が500万人を割り込 みましたが、日進月歩の医療においては血液製 剤の需要は右肩上がりに増加しています。沖縄 県の平成18年度の献血申込者数は62,372名です が、そのうち献血適格者総数は52,176名で、成 分献血15,055名、400mL献血36,000名、200mL 献血1,121名でした。これらの献血して頂いた 血液を血液センターに持ち帰り予定の血液製品 に製剤されます。内訳は177,140単位の輸血用 血液製剤のほか、13,260本の血漿分画製剤(凝 固因子製剤やアルブミン製剤等)で、医療機関 に供給しています。ちなみに最近の新鮮凍結血 漿の使用量について調べてみると、保存前白血 球除去を実施した全血採血由来の新鮮凍結血漿 ―LR「日赤」について(平成19年8月1日より 供給)、平成19年8月〜10月と前年同月とを比 較すると、全国平均では117.0%の伸びですが、 沖縄県は151.7%の伸びで全国1位(適正使用の 観点からは名誉な事ではない)であり、特に最 近、新鮮凍結血漿が頻繁に使用されています。 血漿交換や心臓手術などの高度の技術を要する 患者、血液疾患患者に有効な治療効果を得てい ることは喜ばしいことですが、他方今一度効率 的な使用法はないものか担当医師に熟考をお願 いしたいと思います。赤血球製剤についても慢 性的に不足しています。担当医師は輸血の前 に、患者や家族および知人に輸血の必要性を十 分に説明し承諾書を得ることになっていますが、 その際、献血への協力をお願いして頂きたいと 思います。年1回の県内主要病院血液担当者連 絡会議では、県内の献血状況、供給状況、血液 の適正使用について協議しています。

年末年始の慌ただしくそして寒い師走やお正 月には企業は休業となり、さらにインフルエン ザの流行や体調不良などが重なりますと献血者 が減少します。沖縄県赤十字血液センターの使 命は、県内で手術や救命のための輸血を必要と する医療機関へ、安全で良質の血液を迅速に確 実に供給することであります。そのため休日祭 日を問わず輸血用血液を十分量確保するため努 力しています。

最後に、「はたちの献血」キャンペーンの趣 旨を十分ご理解頂き、県医師会員の皆様の献血 推進へのご協力をお願いいたします。