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第1回沖縄県女性医師フォーラム
「頑張ろう!女性医師」

仁井田りち

沖縄県医師会女性医師部会委員 仁井田 りち
(クリニックおもろまち院長)

平成19年10月20日(土)18時より那覇のホ テルロイヤルオリオンにおいて沖縄県女性医師 部会設立会として「第1回沖縄県女性医師フォ ーラム 頑張ろう!女性医師」を開催しまし た。出席者は女性医師84人、男性医師7人、他 4人。

宮城信雄沖縄県医師会長の挨拶「女性医師部 会に向けて」(代読玉城信光沖縄県医師会副会 長)の後、会が進行されました。講演会の概要 内容は下記の通り報告します。

基調講演

「沖縄県医師会女性医師部会立ち上げに向けて」
沖縄県医師会女性医師部会部会長
県立中部病院医療部長ICU室長 依光たみ枝
依光たみ枝

「人生をエン女医し よう」と題し講演。平 成19 年3 月沖縄県医師 確保対策検討委員会の 「女性医師の勤務環境の 把握」のアンケート調 査の結果を中心に報告 し、又、自らの仕事と育児の両立で苦労したこ と、子育ての喜びに触れ、中部病院の女医会の 楽しい団らん風景の写真も交えた依光先生の暖 かい人柄のしのばれる講演内容でした。アンケート結果では、女医で育児経験者の25%が育 児と仕事の両立が困難、または両立できなかっ たと回答しました。その理由として「育児支援 体制がない」が最多で、次いで「育児休暇が取 れない」、「勤務先の理解・家族の協力が得られ ない」となっており、支援策として一番にあげ られたのが「子供の病気等の緊急時のバックア ップ体制」、「時間外勤務、当直の免除」「産休 育児休暇中の人員補助」、「病児保育を含む院内 24時間保育」、「産休育児休暇中の人員補充」、 「復職に向けての再教育」、「ワークシェアリン グ」、「家族同僚の理解」、「ドクターバンク」、 「家事援助」をあげていました。また出産を機 に実に55%の女性医師が仕事内容を変更して おり(職場変更56%、退職24%、勤務時間の 減少20%)、医師不足に女医の再雇用の大切さ をあらためて考えさせる貴重な報告でした。

特別講演

「これからの女性医師の役割そして女性医療と漢方」
千葉県立東金病院副院長 天野恵子
天野恵子

天野先生は、性差医 療の第一人者であり、 全国の女性外来のまと め役でもあり、東京大 学や鹿児島大学等での 非常勤講師、客員教授 として講義をされ、東 金病院で女性外来を担当し、その傍ら全国で講 演、セミナー活動をされている先生であり、今 回の沖縄女性医師部会立ち上げ第1回の招待講 演者として適任の先生でした。

講演の前半では世界の医師に比べて日本の勤 務医の労働時間の長さを指摘(20〜30代の日 本医師75時間(週)、英、仏、独の医師40時間 (週))全国のアンケートに基づき、女医だけで なく日本の勤務医全体の環境改善が必要との幅 広い視野でのデータ報告をされました。後半で は千葉県での県をあげての女性外来の取り組 み、立ち上げの経緯について、また、東京女子 医大での女性医師再教育センターの設立と運営 についても紹介されました。

2001年に鹿児島大学で日本で初めての女性外 来が開設され、女性医師が担当する性差に基づ く女性医療は、その後多くの女性患者、女性医 師の賛同を得て、また2005年には内閣府による 「性差医療推進」の促進援助もあり、2006年には 全国43の医科大学、115の公立の病院その他合 わせて356施設で女性外来が立ち上がりました。 天野先生のデータによると全国女性外来受診者 の満足度は87%と高く、現在の女性外来の傾向 として3〜4割が心療内科系の患者であること、 有効治療分析で漢方の治療が4割と最も高く、全 国各地の女性外来勉強会で心療内科と漢方のセ ミナー活動も継続していくと述べられました。

感 想

1.第1回フォーラムへ仕事に育児に家事に忙し い女性医師が果たして何人来てくれるのか?! 準備スタッフの期待と不安の中、集まった女 性医師はなんと84人(沖縄県医師会入会女 性医師302人中)、当初希望的観測でも50人 と予測し、会場を準備したため、遙かに超え る人数に、急きょイスも追加し、担当スタッ フもうれしい忙しさとなりました。

引き続き行われた懇親会は特に琉大出身の 女性医師にとっては久しぶりの同窓会状態。 それぞれの近況報告に花が咲き、司会の声も 届かず、また食欲旺盛パワフル集団に、あっ という間に、まずバイキングのケーキからな くなるという女性医師ならではの懇親会とな りました。懇親会最後の挨拶で安里哲好先生 (県医師会女性医師部会副担当理事)の「き っと女性医師部会が圧力団体となることを期 待します」というお言葉は、80人を超える大 勢の女性医師の中に何時間もいて、その時感 じた本音なのでしょう。いごこちよかったの か悪かったのか?参加して下さった数少ない 男性の医師の方々にはこの紙面を借りてお礼 申し上げます。

2.今回初の試みとして育児室を会場に用意しましたが、これも予想を上回る利用で、計17 人の利用がありました。(0歳児3人、1歳児3 人、2歳児1人、3歳児2人、4歳児3人、5歳 児1人、6歳児1人、7歳児3人)「イベント時 のグループ保育」のプロに依託したため、ト ラブルもなく、預けた女医さんからは個人的 にもお願いしたいとの声も聞かれました。来 年以後も育児室付きの講演会が必要と思われ ます。

3.今回、診療科、医局を超えた、女医ネット ワークと口コミで多くの女医さんが集まりま した。今回私は担当委員として女医連絡に奔 走しましたが、精和病院院長の新垣米子先生 の優しいメールには心を打たれました。新垣 先生の了解を得てここに記します「仁井田先 生へ 10月20日の女性医師のフォーラムは 参加したいと思います。女性医師を必ず誘っ て行きたいと思います。これは私の年代のと いうより、これからの人達のためのものです ものね。私たちはある意味で「失われた時を 求めて」の世代ですね。これからの先生方 が、自分の問題として引き受けなければなら ないことですね。如何に自分の生活をエンジ ョイしていくかに関わることですものね」

私たち気づいたら20年以上医師を続けてき た女医の中にはそれぞれの医師人生を振り返 り「これからの後輩の為にも」という思いを 込め参加したことをお伝えしておきます

4.講演会の内容感想について、何人かの女性 医師に感想を聞いてみましたが、なんと講演 内容より、天野先生の一言「身体的にも、頭 脳的にも優秀な遺伝子をお持ちの皆さん、そ の遺伝子は残すべきです。ほんとは子供は20 代で産むべきです。30代の女医さん、早く相 手を見つけてとりあえず子供を産みましょ う。あとで離婚してもいいから、、」(会場大 爆笑)どうも強烈に複雑に共感にこの言葉は 多くの女性医師に届いたようでした。