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第107回九州医師会総会・医学会
及び関連行事

V.第107回九州医師会総会・医学会

  • 日時:平成19年11月17日(土)午後1時〜
  • 場所:長崎県ホテルニュー長崎

第107回九州医師会総会

粟津長崎県医師会副会長より開会の辞が述べ られ、続いて国歌斉唱が行われた。その後、昨 年11月から本年10月までにご逝去された会員 237名に対し黙祷が捧げられた。

九州医師会連合会長挨拶 (井石哲哉長崎県医師会長)

長崎では先週日本における西洋医学発祥150 周年記念事業が挙行された。この記念すべき年に本学会を開催出来たことに対し、誠に意義深 く身が引き締まる思いである。

国民の将来に安心感をもたらす社会保障の普 遍的な充実は最も重要で、中でも医療政策は国 家投資であることは論を持たないところであ る。今日の医療を取り巻く現況は医療担当者の いろいろな提言にも関わらず、少子高齢化と合 間って政府ともに財政担当者および経済財政諮 問会議等により市場経済原理に基づく社会保障 給付、ことに医療費抑制策が押し進められよう としている。結果的に医師の不足,偏在、看護 師不足、産科や小児医療の撤退等、多くの弊害 を産み、今まさに地域医療は崩壊寸前である。 我々九州医師会連合会は日本医師会を強力に支 え、国民が等しく安心して健康で幸せな社会生 活が送れるよう国民と共に社会生活の確立に邁 進することを表明するものである。会員各位の 特段のご理解と絶大なる御支援ご協力を切にお 願い申し上げる。

来賓祝辞

唐澤人日本医師会長

第107回九州医師会連合会総会医学会が金子 長崎県知事、田上長崎市長を初め多数のご来賓 ご臨席のもと、このように盛大に開催されるに あたりご挨拶を申し上げる機会を与えられたこ とは誠に光栄であり、日本医師会を代表して一 言お祝いのご挨拶を申し上げる。

ご高承のとおり我が国の医療環境は大変厳し い状況にある。国は超高齢社会の到来に向けて 社会保障制度を圧縮する方策を選択し医療費の 抑制を主眼とした医療制度改革を進めている。 このまま進行すると世界に冠たる国民皆保険制 度は崩壊の危機を招きかねない。日本医師会は グランドデザイン2007の総論に引き続き、各 論を公表した。この総論と各論において社会保 障のあり方の再検討を行い、公的医療保険の再 構築、国民のニーズに応える医療制度、医療提 供体制はどうあるべきなのか、医療のあるべき 姿の実現に向けて具体的な提言をしている。今 後も医療提供体制の充実と国民皆制度の堅持の ために強く訴え続けて参りたい。九州医師会の 先生方、本日ご臨席の皆様方におかれては日本 医師会が推進する医療政策に対し、ご理解ご支 援を賜るようお願い申し上げる。

九州医師会連合会はこれまでも地域の実情を 踏まえ、医療に関わる種々の問題について熱心 に検討を重ねて来られた。その長い歴史と共に 確かな実績と着実な成果を挙げておられること は高く評価されるものである。

又、本日から開催される九州医師会医学会を 生涯教育の場として各県会員の皆様が各種分科 会への参加を通じて研鑽を積まれることは地域 医療の充実発展に多大な貢献をもたらすもので ある。本医学会は第1回が明治25年に開催され て以来、毎年開催され非常に長い歴史と伝統の ある医学会である。今回の連合会総会並びに医 学会が一層実り多いものとなることを期待申し 上げると共に、各種記念行事を通し会員の皆様 が一層親睦を深められるよう併せて祈念申し上 げる。

引き続き、金子長崎県知事、田上長崎市長よ りそれぞれ来賓祝辞が述べられた。

宣言・決議

慣例により議長に井石九州医師会連合会長が 選任され、井石議長進行のもと、宣言・決議 (案)について協議が行われ、異議なく原案ど おり承認された。なお、宣言・決議の送付先等 については担当県に一任された。

次回開催担当県医師会長挨拶

次回開催担当県である熊本県医師会の北野会 長より、来たる平成20年11月15日(土)、16 日(日)、熊本市のホテル日航をメイン会場と して開催するので多くの会員のご参加を賜りた い旨の挨拶があった。

宣 言

ここ数年、日本経済が好調に推移している中、政 府は依然として財政破綻を口実として、世界に例を 見ない程の低医療費政策をとり続けている。その結 果引き起こされた医師・看護師不足などにより、安 全・良質な医療の提供が困難となり、救急医療から の撤退など地域医療は崩壊の一途を辿っている。今 後、骨太の方針に明記された国が負担する社会保障 費1.1 兆円の削減や、平均在院日数の短縮、療養病 床の削減が断行されたならば、日本の医療を支えて きた国民皆保険制度が完全に崩壊することは明らか である。

先に行われた参議院議員選挙で与党は歴史的敗北 を喫した。このことは、財政構造改革によってもた らされた格差社会に、国民が異を唱えた証しである。 国民は格差の拡大とともに、社会保障の危機に不安 を抱いており、政府は大多数の国民の声に真摯に耳 を傾けるべきである。

少子・高齢社会を迎え、国民の健康と幸福な生活 を守り、安定した社会を築くために、今日ほど医療 をはじめとした対人社会サービスの充実が強く求め られている時代はない。政府は「経済に医療を合わ せるのではなく、医療に経済を合わせる」という社 会的共通資本の理念に立ち返り、行き過ぎた医療費 抑制策を改めるべきである。

我々九州医師会連合会は、日本医師会が提唱する グランドデザイン2007を全面的に支持し、医療のあ るべき姿の実現に向けて一致団結して邁進すること をここに宣言する。

平成19年11月17日 第107回九州医師会連合会総会



決   議

我々九州医師会連合会は、我が国の医療保 険制度の崩壊に歯止めをかけ、全ての国民が 良質で安全な医療を享受できる社会保障制度 を確立するため、政府に対し次の事項を要求 する。

一、国民皆保険制度の堅持と良質で安全な医 療を確保するための財源確保

一、療養病床の再編・削減の見直し

一、後期高齢者医療制度における患者負担増 の見直し

一、行政主導による総合医制の創設反対

一、医師・看護師の不足、偏在を抜本的に解 消し、地域医療を確保する対策の実施

一、医業税制の確立と消費税下の控除対象外 消費税の解消

以上、決議する。

平成19年11月17日 第107回九州医師会連合会総会

第107回九州医師会医学会

特別講演T

「医療を崩壊させないために」
虎の門病院泌尿器科部長 小松秀樹
座長 長崎県医師会長 井石哲哉

厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係 る死因究明等のあり方に関する検討会(医療事 故調)」が2007年4月に発足したが、その狙い は法的責任追及にあり、同年10月に発表され た第二次試案では医療事故調の報告書をもって 医道審議会の処分を拡充しようとする厚労省の 狙いがはっきりと示された。

●厚生労働省が発表した第二次試案(骨子)

1)委員会(厚労省に所属する八条委員会) は「医療従事者、法律関係者、遺族の立場 を代表する者」により構成される。

2)「診療関連死の届出を義務化」して「怠っ た場合には何らかのペナルティを科す」。

3)「行政処分、民事紛争及び刑事手続きにお ける判断が適切に行われるよう、調査報告 書を活用できることとする」。

4)「行政処分は、委員会の調査報告書を活用 し、医道審議会等の既存の仕組みに基づい て行う」。

メディアの影響を受ける政治家によって支配 されている厚生労働省に所属する医道審議会が 医師を処分するようなことになれば、メディア の感情論で処分が下されかねず、医療を十分に 理解していない法律家が、医療事故に対し評価 を下すことになれば医師は士気を失い医療破壊 を招いてしまう。

明らかに不適切な行動を取った医師には、政 府ではなく、医療を熟知した医師の団体が自律 的に行うべきである。

この「第二次試案」について自民党がヒアリ ングを行った際、驚いたことに竹嶋康弘日本医 師会副会長、山本修三日本病院団体協議会副 議長、山口徹虎の門病院長(診療行為に関連し た死亡の調査分析モデル事業事務局長)から賛 成の回答を得ている。

これら三団体が賛成の機関決定をしたことは、 次期の診療報酬改定に有利になるよう目先の利 益を優先したとして非難されるべきである。

この「第二次試案」は、高いリスクを積極的 に冒すことによって生死を乗り越えるような医 療にあまり関与しない「開業医」にではなく、 リスクが高い医療を受け持つ「勤務医」にとっ てはるかに深刻な問題である。

特別講演U

「小さな命を撮る 昆虫生態撮影への挑戦」
生物生態写真家 栗林 慧
座長 長崎県医師会副会長 高村邦彦

趣味の写真撮影が高じ、プロの昆虫写真家と して活躍をしている栗林氏より、撮影不可能と されてきた下記の4つの撮影技術の成功秘話に ついて説明があると共に、内視鏡を改造して自 作したカメラの紹介並びに、氏の作品の紹介が あった。

・アリを代表とする微小俊足な昆虫の撮影

・飛行している瞬間の撮影

・カメラの入り得ない狭い空間の撮影

・超被写界深度接写



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