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沖縄県立看護大学学長 野口 美和子先生

野口美和子先生
P R O F I L E
昭和35年3月
東京大学医学部衛生保健学科卒業
昭和35年4月 国立名古屋病院看護婦
昭和47年9月 神奈川県立衛生短期大学講師
昭和54年4月 千葉大学看護学部助教授
昭和62年12月
保健学博士学位取得(東京大学)
平成3年4月 千葉大学看護学部教授
平成9年4月

千葉大学看護学部学部長(併任)
千葉大学大学院看護学研究科長(併任)
平成9 年11月 千葉大学看護学部附属看護実践研究センター長(併任)
平成14年4月 自治医科大学看護学部学部長
平成19年4月 沖縄県立看護大学学長 現在に至る

看護職を新しい時代の保健 医療課題にチャレンジさせて いただけるようご指導・ご支 援下さい。

今月のインタビューコーナーは今年4月から 県立看護大学学長に就任されました野口美和子 学長です。

Q1.まず、野口学長の自己紹介をお願いいた します。

本年4月に学長に就任致しました。私は国立 病院の看護婦を3年余りした後、看護教育にた ずさわってきました。看護学校の専任教員、看 護短期大学の講師、そして千葉大学では学部 長、研究科長をさせていただきました。そし て、学部長として自治医科大学に看護学部を完 成させて平成18年4月に退官していました。栃 木で主人の農業を手伝いながら、看護教育に携 われたことのまとめをしたいと思っていました が、もう一度最後の仕事をさせていただくこと になりました。私は沖縄県立看護大学の設置の ための構想委員の一人でもありましたから、大 学の皆様に学長として選んでいただいたからに は、喜んで力一杯務めたいと思っています。

Q2.県立看護大学は平成11年4月の開学とな っておりますが、大学をご紹介いただけます でしょうか。

大学の教育理念は、生命の尊厳を重視し、豊 かな人間性を養い、多様化・国際化の進む社会 で幅広い視野から、看護を科学的に実践できる 看護職者を育成し、人々の健康と福祉および学 術的に貢献することであります。保健医療福祉 の分野において県民の期待に応えうる、質の高 い看護職者の育成を図り、同時に看護の教育、 研究及び実践の中核的機関として看護実践およ び学術的発展に寄与することが本学の使命で す。平成16年度には社会的ニーズに応えるた め、本学に大学院保健看護学研究科(博士前期 課程、博士後期課程)が設立されました。卒業 後看護を実践する中で得た研究課題を持って大 学院で学び、看護領域の指導者、教育・研究者 への道も拓かれています。さらに平成19 年3 月、独立行政法人大学評価・学位授与機構より 本学は大学評価基準を満たしていると認定され ました。

Q3.これまで約400名が卒業されましたが、 卒業生の進路がどうなっているのかお教え下 さい。

県立大学の運営委員・協議会の委員等をして おりました関係で、沢山の県立大学を見て参ま したが、現在本学は県内就職が多い大学である と思います。下記データをご参考にして下さい。

Q4.現在、県内では看護師が約700名、助産 師が約100名不足との調査がありますが、ど のようにお考えでしょうか。特に助産師不足 は深刻で、8月には県医師会、産婦人科医会、 助産師会、看護協会が県立看護大学に助産学 別科の設置要請を行いましたが、どのような 状況かお聞かせいただけますでしょうか。

県立看護大学ですから、この看護師不足・助 産師不足への対応は第1に取り組むべき課題だ と考えています。助産師については開学前20名 の育成を行っていましたが、開学後は4年間の 教育の中で保健師・看護師の国家試験受験資格 に加えて助産師の国家試験受験資格を取ること がとても困難で、4〜10名の学生のみが夏休み を返上し、実習をしてやっと国家試験受験資格 が取れる状況でした。助産師会・医師会の皆様 のあとおしで、財政厳しい沖縄県が英断して下 さったお陰で、別科助産専攻の来春開設に向け 準備に入らせていただいています。

看護師の不足に対しては、まずは卒業生の県 内就職とりわけ離島へもすすんで就任できるよ うに教育することです。県内をまわってみます と卒業生がとても元気で、離島などでも意欲を 持って働いていますので、是非これまでの教育 方針にそって、より実践的・離島的看護教育を 強化したいと考えています。加えて大学院や公 開講座等で看護のリーダーの育成につとめ、看 護職をとりまく職場環境をやりがいがあるもの にすることで、離職防止、キャリア開発に貢献 したいと考えています。

Q5.来年度から特定健診・特定保健指導が始 まりますが、これに伴って保健師の需要が増 え、保健師も不足すると思われ、また、来年 度から認可保育園への看護師の配置が予定さ れ、益々看護師不足に拍車が掛かると思われ ます。県医師会としては第一線で働くより多 くの看護師、助産師の養成を期待しておりま す。県立看護大学から県医師会に対するご要 望がございましたらお聞かせ下さい。

おっしゃるとおりです。県民の保健医療に直 接責任を持つ第一線の医療機関や医師会の皆さ んには新しい医療活動の創出とその経営が求め られている時代だと思います。是非、看護師・ 保健師にその新しい活動の創出と経営に参加さ せていただきたいと思います。看護教育は時代 の要請を受けて進歩しています。特に保健医療 の在宅化に看護基礎教育は対応してきました。 また看護職の生涯教育も強力に推進されていま す。日本看護協会では認定看護師・専門看護師 の育成制度を確立しています。特に大学での看 護教育は、保健師・看護師一部助産師の看護三 職の基礎教育として総合看護の理念により教育 をしていますので、新しい活動の創出や経営に 意欲的に取り組むよう動機付けされていると思 います。看護職を新しい時代の保健医療課題に チャレンジさせていただけるようご指導・ご支 援下さい。その場合、卒業生や現場の看護職が 知りたい事、解決したい問題に直面したとき、 また医師会の皆様が看護職に勉強して欲しいと いうことがありましたら、看護大学は県内の看 護職の「知の拠点」としてこれを引き受け、教 育プログラム等を提供する義務があると考えて います。その為に地域交流室を設けました。よ ろしくお願い致します。

Q6.沖縄の生活はいかがでしょうか。また、 休日はどのようにお過ごしでしょうか。

沖縄は大好きです。暑さもOKでした。休日 月1回は、栃木県に住む主人の農作業を手伝い ますが、他はできるだけ離島をまわりたいと思 っています。先週は与那国に行ってきました。 台風12号の洗礼を受け、離島の美しさときびし さを味わいました。

本日はお忙しい中インタビューにお答えいた だき、ありがとうございました。今後ともご指 導、ご協力をお願いいたします。

インタビューアー:広報担当副理事 野原薫