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那覇空港での中華航空機の炎上事故対応についての報告

長嶺信夫

長嶺胃腸科内科外科医院
長嶺 信夫

1.平成19年8月20日(月)午前10時44分頃 テレビニュースで事故を知る。

直ちに那覇市医師会の腕章を持ち出動。財布のカード入れに「緊急入門許可証」があるのを確認し、出動した。

2.午前10時55分頃 自衛隊那覇基地正面ゲート入口で腕章を提示するも、警備隊員が通過拒否、Uターンを命じられる。直前に到着した東京航空局の職員(佐藤氏)が「(緊急時は)医師会は通過可能」と指示があり、一緒に基地内に入ることができた。佐藤氏は以前沖縄に勤務した経験があり、テレビで事故を知り駆けつけたが、航空局の身分証明書では入れず、上部機関の許可を得て入れたとのことだった。この時点で、警備隊員は事故の通報を受けてなかった。しかし、基地内に入るも、誘導員なし。とまどっていると、佐藤氏が航空局の車で案内してくれた。

3.午前11時02〜05分頃現場到着 空港消防が消火活動をしていた。

到着時航空自衛隊衛生隊 精神科長嶺由輝医師、砂川安弘看護師が既に到着。長嶺信夫とはほぼ同時刻に沖縄協同病院の内科救急担当井上比奈医師、永田明香(さやか)看護師が到着(協同病院に搬送してきた救急車に同乗してきたとのことであった)。

《到着時の状況》

『機内にまだ乗務員が4名残っている可能性あり』との情報。

4.午前11時20分頃 救護テントが張られる。他の医療要員いまだ到着せず。

5.午前11時30分頃 『ようやく全員脱出した模様』と判明。

6.午前11時35分頃 沖縄赤十字病院救護班到着。

7.午前11時55分頃 浦添総合病院救護隊到着。

8.午前11時50分?午後0時15分頃 機内に捜索に入った那覇消防や空港消防、自衛隊消防の隊員が熱中症、脱水症の状態で点滴。2名を豊見城中央病院、1名を自衛隊病院へ転送。その後、国際線および国内線空港ビルに避難していた乗客の健康状態をチェックする。

9.午後0時30分頃 赤十字病院、浦添総合病院の救護隊が撤収。

10.午後0時45分頃 帰路につく。(北部病院の救護隊はその後到着した模様)

《問題点》

1.今回は幸いにも事なきを得たが、医師、救護隊は現場で待機すべきである。今回の場合、機内から全員脱出したのが確認されたのは事故発生1時間後であった。

2.救護訓練は何の役にも立たなかった。基地内通過、誘導なし。その他、連絡の不徹底、危機意識の欠如。

3.出動要請を待たず、出動すべき。上部機関に危機管理能力があるかチェックすべきである。

(平成19年8月27日記録)