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那覇空港における中華航空機
炎上事故に関して

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

20日午前10時40分、那覇空港(辻本博史さん提供)

平成19年8月20日(月)午前10時32分、那覇空港の中華航空機炎上事故が発生した際に、10時40分、那覇空港事務所から那覇市医師会に「飛行機炎上、医師は施設待機」の一報が緊急にあり、那覇市医師会事務局では「那覇空港救急医療緊急計画における那覇市医師会連絡系統図」マニュアルに沿って、各関係部所へ緊急電話発信を行った。

国道58号線の奥武山公園前で警察による交通規制がなされ、那覇空港への道路は封鎖された。

10時47分には県医師会に那覇市医師会から同じように「飛行機炎上、医師は施設待機」の電話連絡が有り、各地区に救助要員派遣の調整をするよう指示。以後は時系列で後述の通りであった。

那覇市医師会では天久地区から仲本昌一先生、安謝地区から玉井修先生、那覇西地区から私、小禄地区から長嶺信夫先生が空港に出動したが、空港に辿り着けたのは長嶺先生だけであった。空港への交通のアクセスが緊急時という交通規制にあって、ほかの医師は空港へ辿りつけなかった。

「施設待機」ということもあって、人身事故無しということで引き返したが、後のTVでは4名の乗務員が機内に閉じ込められている可能性があるとの放送をみて愕然としたが、11時25分には、「全員無事で、施設待機解除」の連絡が那覇市医師会からあり安堵した。

なお、空港事故現場までにアクセスできた救護班・者の所要時間(カッコ内は到着時間)をみる(那覇市消防本部救急部資料参考)。

  • 航空自衛隊衛生班が5分(10時40分)
  • 那覇市消防本部(小禄)9分(10時48分)
  • 那覇市消防本部(西)15分(10時56分)
  • その他4ヶ所の消防本部が11時前に到着している。
  • 医師では長嶺先生(那覇市医師会)19分(11時3分)
  • 沖縄協同病院9分(11時4分)→救急車が同病院搬送直後に現場へ
  • 沖縄赤十字病院(DM)15分(11時35分)
  • 浦添総合病院(DM)25分(11時55分)→メールでの出動依頼
  • 沖縄県立北部病院(DM)60分(12時45分)

上記概要から考えるとやはり、那覇市医師会小禄班が地理的にも一番近いので、初動救助のトリアージ担当者として今後より一層の協力体制を検討したい。

ところで、平成19年7月31日に那覇空港消火救難協議会から文書で「那覇空港消火救難協議会開催について」案内があり、議題には「平成19年度航空機事故消火救難総合訓練実施について」、その他規約改正についての2議題があり、開催予定日はなんと航空機炎上の3日後の8月23日(木)に予定していたのであった。惜しむらくは1週間前に開催していれば・・・と感じたのは私だけではないかもしれない。事故とは予測がつかないものであり、又、そのための訓練ではあるが、今回の航空機炎上事故は多数死亡とか、骨折とか、軽症損傷とか、これまで訓練していたトリアージ等は一切発生せず、奇跡的に全員避難できたということであるが、この航空機炎上事故発生を基に現実的対応の検討が必要であると痛感した。

9月3日(月)、那覇消防本部救急課の古我知進課長と那覇市医師会から仲本昌一先生、玉井修先生、赤十字社県支部災害救急班の真喜志淳さんと上地照海課長とで、本事故に関する検討会を持ち、今後の打開策として、災害現場までの医師会員の救急車等への添乗依頼をお願いした。正式には十分検討してから対応するとのことであった。

また9月6日(木)、国土交通省大阪航空局那覇空港事務所の総務部長岡本徳光氏とも本事故に関しての協議を持ち、9月27日(木)に「那覇空港消火救難協議会」を開催して、本事故に関する各関係団体で再度協議することになった。

那覇市医師会の小禄班の長嶺先生は真っ先に現場に駆け付け、自衛隊ゲートでの入場拒否とか、事故機現場までのアクセスとか、もろもろの現場の対応の混乱を実体験され、貴重な報告とご指摘を受け感謝申し上げます。

県医師会としても、本事故に関して検討委員会を開催する予定である。

最後になりましたが、災害現場にご出動くださいました長嶺信夫先生、沖縄協同病院様、沖縄赤十字病院様、浦添総合病院様、県立北部病院様に厚く感謝を申し上げます。

無残な姿となった中華航空機

8月20日(月)チャイナエアライン那覇空港事故への対応について

時間 沖縄県医師会の対応(那覇市医師会の対応も一部含む)
10:40 那覇空港事務所より那覇市医師会に「飛行機炎上」、「施設待機」の連絡あり
10:47 那覇市医師会より県医師会に「空港事故発生」、「施設待機」の電話連絡あり。
10:48 宮城会長・真栄田常任理事に「空港事故発生」を電話連絡。各地区に救助要員派遣を調整するよう指示あり。
10:48 南部地区医師会に救急要員の調整を至急行うよう依頼。
10:49 浦添市医師会に事故発生の連絡。救急要員の調整を至急行うよう依頼。
10:50 日本赤十字に出動か待機かを確認。赤十字も待機しており、空港からの連絡待ちであると説明あり。
10:50 北部・中部地区、理事者に「空港事故発生」を電話連絡
10:58 那覇市医師会に出動について確認、「施設待機」との指示あり
10:58 中部地区医師会より、事故の確認の連絡あり。救急要員の調整を至急行うよう依頼。
11:05 那覇空港事務所に「待機か」「出動か」確認、「施設にて待機」と指示あり
11:10 南部・浦添・中部各地区、理事者に「施設待機」と連絡。
11:25 那覇空港事務所より、那覇市医師会に「施設待機解除」の連絡あり
11:27 那覇市医師会より、県医師会に「施設待機解除」の連絡あり
11:27 那覇空港事務所より、「施設待機解除」の連絡あり
11:30 南部・浦添・中部・北部地区、理事者に「施設待機解除」を連絡

※南部・浦添・中部地区医師会の対応

◇南部地区医師会の対応:豊見城中央病院と沖縄協同病院と連絡し、待機してもらった。「待機解除」の連絡を受けて各病院に連絡。

◇浦添市医師会から、浦添総合病院・嶺井第一病院・牧港中央病院・同仁病院・平安病院の計5病院に連絡。浦添総合病院は、既 に「施設待機」の連絡があったとのこと。「施設待機」と「待機解除」を5病院に連絡。

◇中部地区医師会の対応:金城会長から事務局に空港で事故だとの連絡あり。県医師会に確認したところ施設待機とのことであっ たので、その旨班長と理事に FAX 通知を準備。ただし、準備中に待機解除の連絡あったため、FAX 送付せず。

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