常任理事 安里 哲好
去る6月21日、日本医師会において標記協議 会が開催されたので報告する。
医政局総務課長二川一男氏は『今般の医療法 改正について』の7項目の概要(図1)につい て、特にその中の「新たな医療計画について」 と「医療法人制度改革について」を中心に、ま た、『今後の地域医療のあり方等について』の4 項目の概要(図2)については、特に「医師不 足問題について」を中心に話された。
制度上の医療機関の機能分化(特定機能病院、地域医療支援病院、各拠点病院・救命救急 センター等)や病床区分に加え、「新たな医療 計画」の中心である4疾病(がん、糖尿病、急 性心筋梗塞、脳卒中)別、5事業(救急医療、 災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医 療)別の医療機能の分化と連携の推進(図3) が提唱され、実施されるようになる。最初、日 医は疾病別のヒエラルキーに成りかねないとい うことで反対していたが、今回は地域医療を担 っている地域の医師会(県医師会或いは地区医 師会)が中心となるべきで、県の医療計画に、 お節介でも良いから出て行って、県医師会は積 極的に関わって頂きたいと述べていた。
図1
図2
図3
がんを取って見ても、国立がんセンターが頂 点にあり、都道府県レベルの県がん診療連携拠 点病院(県に1ヶ所)、2次医療圏レベル(1ヶ 所以上)の地域がん診療連携拠点病院と他の医 療機関との連携そして在宅療養・訪問診療とな るのであろう。糖尿病はどうであろう、国立国 際医療センターが頂点にあり、県レベル・2次 医療圏レベル(2次医療圏を越えても良いとの こと)の医療機関の分化・連携はどう構築していくのだろうか。急性心筋梗塞・脳卒中は国立 循環器センターが中心となり、県レベル・2次 医療圏レベルそして他の医療機関との連携にな ろう。すなわち、4疾病を中心に旧国立センタ ー、都道府県の中心的な急性期・専門の医療機 関、亜急性期・回復期の医療機関、診療所と維 持期の施設そして在宅療養・介護との連携があ り、その中で、地域連携クリティカルパスの普 及と効果的利用がなされ、切れ目のない医療が 提供されることが、「新たな医療計画」の趣旨 である。厚労省は12月までに、医療計画を作成 し、現状でできる範囲で書いてもらい、医療の 現状にあわせて、他府県も参考にし、少しずつ 進歩してもらいたいと述べていた。
医療法人制度改革(図4)については、1)医 療法人存続のための相続課税の問題、2)退社・ 死亡時の出資持分に応じた支払いは企業となん ら変わりないという事を脱却(株式会社の医療 への参入阻止のため)して、医療法人の非営利 性・公益性を高めるため平成19年4月より出資 持分なしの医療法人の設立のみが認可された (出資持分のある90%以上の既存医療法人の行 方は?)。3)社会医療法人の設立(図5)は公立 病院が担っている医療の多くを担ってもらい、 時として公立病院の受け皿にも成りうる。収益 事業や法人債の発行が可能とは言え、法人税 (図6)が最終課題であろう。
図4
図5
図6
医師不足問題に関しては、その背景に、1)大 学医学部(いわゆる医局)の医師派遣機能の低 下、2)病院勤務医の過重労働、3)女性医師の増 加、4)医療に関わる紛争の増加に対する懸念、 そしてそれに加えて、個人的には5)医療費の抑 制が大きく影響を及ぼしていると強く感じてい る。対策として、T)医師派遣についての都道 府県等の役割と機能の強化、1)都道府県におけ る「医療対策協議会」の制度化、2)医師が集ま る拠点病院を活用した医師の派遣や、医師不足 地域での医療への従事を組み込んだ研修事業へ の助成、3)国レベルでの「地域医療支援中央会 議」による都道府県等への支援。U)開業医の 役割強化。V)地域の拠点となる病院づくりと ネットワーク化及び患者のアクセスの支援。W) 女性医師の就労環境の整備。X)医事紛争の早 期解決。Y)診療報酬上の措置。Z)医学部卒 業生の地元定着の促進、1)医学部における地元 出身者のための入学枠の拡充や、都道府県によ る地元定着を条件とした奨学金の積極的活用、 2)医師不足深刻県における暫定的な定員増(10 県を対象に最大10人を、最大10年間増員)、自 治医科大学の暫定的な定員増が提案および実施 されることになった。
近日、「緊急医師確保対策について」が政 府・与党(平成19年5月31日)より出された。 その内容は、1)医師不足地域に対する国レベルの緊急臨時的医師派遣システムの構築(図7)、 2)病院勤務医の過重労働を解消するための勤務 環境の整備等(図8)、3)女性医師等の働きやす い職場環境の整備、4)研修医の都市への集中是 正のための臨床研修病院の定員の見直し等、5) 医療リスクに対する支援体制の整備(*産科医 療補償制度、*診療行為に係る死因究明制度の 構築)(図9、10)、6)医師不足地域や診療科で 勤務する医師の養成の推進(図11)(医師が不 足する地域や診療科で勤務する医師を養成する ための医学部定員を、一定期間、臨時応急的に 増加する)であった。
図7
図8
図9
図10
図11
新医療計画、新保健事業(特定健診・特定保 健指導)、介護事業(地域ケア整備構想等)が 縦軸とすると、医療費適正化計画(医療費抑制 計画?)が横軸にある。医療制度は大きく変わ ろうとしており、患者中心の、それでいて経済 的に効率的な医療制度をと、しかし、医療費増 無くして、上記一連の事業や医師不足問題の対 策の実現は不可能と考える。医療そのものの破 綻を来たしているイギリスでさえ、2005年の対 GDP 比総医療費支出は8.4 %と報告されてお り、日本(2003年8%)も思い切って、10%に まで増額したら(ドイツ10.8 %、フランス 10.4%)、患者中心のゆとりある、安全で質の 高い医療が提供できるのではと考え、そのこと を提案する時期(地域医療崩壊の前に)が来て いるのではと如実に感じる昨今である。
以下、日本医師会の方針と取り組み及び質疑 応答を記す。
日本医師会の方針、取組み
日本医師会では、これまで医療関係諸委員会 等において、参考人として出席し、様々な意見 陳述や問題点の指摘、あるいは附帯決議に向け た活動等を行ってきた。
医療制度改革関連法案審議に対する日本医師 会の立場および姿勢は、医療担当者として、国 会審議等の場で、医療制度改革関連法案の問題 点を指摘する等、より良い医療提供体制の確立 を目指し、附帯決議や適切な運用を要求してい くことである。段階的に実行される医療制度改 革の中で、特に、平成20年、24年の施行分が重 要で、今後の主な課題は、新しい医療計画のス タート、医療機能情報提供制度および広告規制 緩和、医師・看護職員等の確保、医療法人制度 改革、療養病床の再編等、解決すべき事項は山 積している。医療制度改革のキーワードは、医 療連携体制であり、医療機能の相互の分担及び 連携を確保するための地域毎での体制構築が必 要である。また、医療連携体制を主軸とし、 様々なテーマが重層的、複合的に関わっている のが、今回の医療制度改革であり、一つの病院 で医療を完結するのではなく、医療連携によ り、地域で完結させるというのが方針である。
しかし、医療連携体制の構築は、地域の医療 体制を代表する地域医師会が中心とならなけれ ば、より良い体制が確立されない。
また、今後の地域医療のあり方の主な課題と して1)医師、看護職員等の養成、確保、2)地域 医療支援病院、特定機能病院(地域におけるあ り方)、3)専門医、専門性資格、4)構築後の医 療連携体制、5)長期療養、入院、外来、在宅療 養のあり方、6)国公立・公的病院、社会医療法 人等の地域医療における位置付け、役割、7)か かりつけ医機能、総合医、診療科標榜、8)医療 機関の施設基準をあげ、課題は多いが現場の声 を聞きながら政策に繁栄したいとした。
質疑応答
(予め提出されている質疑およびそれに関連す る主な質疑)
(1)日医の総合認定医制度と厚労省の進めて いる総合科との係り方とその対策について (千葉県医師会)
回答(内田常任理事)
総合的な診療能力を持つ医師の養成は、今後 の地域医療の中でも、国民的な要求が高いと考 えている。それに対する検討として、今期の学 術推進会議に主たるテーマとして検討している ところである。また、プライマリ・ケア学会等と 連携し、日医が勧める総合医のあり方及び名称、 カリキュラムの内容についても検討している。
厚労省が勧めている総合科については、麻酔 科と同様、厚労省が標榜を許可するという制度 を立ち上げたいと提案している。これは、医師 免許の二重保持、フリーアクセス、人頭払い等 の制度に繋がりかねないものであり、厚労省認 定という制度化に関しては、日本医師会として は絶対反対である。
回答(厚労省二川課長)
5月の連休明けに、医道審議会医道分科会診 療科名標榜部会へ叩き台として提出した。標榜 科の見直しと併せて、新しい総合科の立ち上げ について提案した。
もちろん標榜科の部分に関しても、色々な学 会の先生方の意見も聞いているので、見直しを しながら、最終的に了解を得て纏めていきたい。
また、総合科についても厚労省としては、総 合診療を目指している医師に公的な措置をとる という意味で提案した。あくまで叩き台として 提案しているので、十分に議論していきたい。
現状報告
現在、日本プライマリ・ケア学会、日本家庭 医学会、日本総合診療医学会の3学会(日本医 学会には認定されていない)で、総合医にあた るようなカリキュラムを作成している。
認定・指定に関係なく、総合医になるべくカ リキュラムを学習したということを証明する単 体的なものである。
質問
総合科というのは欧米でいうGP(一般医療) を目指すものなのか。総合医を増やして危惧さ れることは、診療行為が制限されることである。 例えば、フランスでは、処方の仕方でも精神科 の専門医しか出来ないという制限等がある。
回答(内田常任理事)
日本医師会の目指している総合的な診療能力を持つ医師に関する養成では、フランス等で行 われている二重の医師免許を持つシステムを考 えているわけではない。専門医を持ちながら、 総合的な診療能力も関与するというふうに取り 組んでいる。
回答(厚労省二川課長)
基本は、日医と同じである。少し違うのは、 専門医と同等なものを厚生労働大臣の認定にす れば、それを目指す医師もいるのではないかと いう一つの提案である。内容は、日医や関係学 会で考えているものと十分に調整したものでな ければならない。
質問
以前、総合病院というものがあり、総合とい うのは何でもできると捉えられていた。しか し、実際にはできないのが現状である。
現在の臨床研修制度は、最初から専門科にな らないように研修医で2年間ローテーションし た後にスペシャリストを目指すものである。現 に、2年間にベーシックな総合医としての能力 を付けるということをやっているにも関わら ず、そこへ新たに総合科を出していくと混乱を 招く。専門医に行く前に、総合診療医で患者が 止められ、非常にネックになってしまう。
総合科のあり方を今の研修医制度としっかり 比較しながら進めていかないと、別のものを新 たに作るというニュアンスが、マスコミによっ て、オフレコの情報を初診料、再診療を下げる というようなことと同じようなことをやってしま った。国民は総合科ができるということを認識 している。しかし、そういう協議、結論は一切 出ていない。それを厚労省がマスコミに流して しまうと医療の現場は非常に混乱してしまう。 厚労省はそれをしっかり反省していただきたい。
回答(厚労省二川課長)
総合科が出来るということを言ったことはな い。審議会にこれから諮るということはもちろ ん言っている。
回答(内田常任理事)
総合科が先走っているが、今、日医でやって いることは、学術推進会議に諮問して検討して いただいている。その中で、プライマリ・ケア学 会等、関連3学会と内容の検討を詰めていただい ている。今後、学術推進会議で検討した上で、 日本医師会のはっきりした方向性を提供したい。
(2)従来、大学病院(医局)からの医師派遣 が皆無とされているが、その補給(供給)は どういう病院がやるべきか。また、厚労省の いわゆるマグネットホスピタル(公的想定) のうち、国立病院機構は手を引いているが、 地域として想定される構想をご教示いただき たい。(千葉県医師会)
回答(厚労省二川課長)
これまで医師の供給は大学に任せてきた。し かし、医師が大学に集まらなくなってきた。大 学は最大のマグネットホスピタルであることは 確かであるが、従来ほど大学だけで行えるとは 言えない。
基本的には、どこの病院も県の地域医療の担 い手として、地域医療を担うと共にその地域の 医師派遣機能を一定程度の役割を持って欲しい。
病院の意向で派遣するのではなく、県の医療 体制確保をどのようにするかを各県でやってい ただく等、県内版マグネットホスピタルとして 機能して欲しい。
県内版で全て賄えれば良いが、出来ない場合 には中央で対応するという仕組みである。
国立病院機構については、国レベルでの対応 に協力していくという姿勢をとっているし、各 県にある国立病院については、県の医療行政に 協力していくのは当然だと考えている。
回答(内田常任理事)
当初、マグネットホスピタルの相談があがっ た時には、ヒト、モノ、カネが全て一つに集ま ってしまうのではないか、周りの病院がますま す疲弊していくのではないかと危惧していた。 特に、一部の私的病院グループが医師の抱え込 みに乗り出して、自分達のグループの中でやり 繰りするのではないかという問題がある。
これに関しては、公の場でそうならないよう 主張していきたい。また、地域において現実に おこらないよう医師会として、地域医療対策協 議会の中で取り組んでいただきたい。
要望
大学は決してマグネットホスピタルではない。
愛知県の医療現場から見ても、現在の医師数 は圧倒的に不足している。それは、医療費の抑制から繋がっていると考えているので、厚労省 も十分に認識していただきたい。
また、一次救急医療というのは、医師会が連 携をとり、夜間診療を充実させようと考えてい るが、単独の医師会ではできない状況である。 日医は、医師会同士の連携が大事であるという ことをアピールしていただきたい。
さらに、研修医はアルバイトが禁止されてい るが、2年目の研修医のアルバイトについては、 認めていただく等、緩和していただきたい。
質問
厚労省は、医師不足問題が生じた原因は、新 医師臨床研修制度が始まってからであると認識 しているのか。
また、研修医の定員を削減する等の案が示さ れているが、実際にいつ頃からどのようにしよ うと考えているか具体的にお伺いしたい。
回答(厚労省二川課長)
大学に若手医師が集まらなくなったのは、新 医師臨床研修制度が引き金となったことには事 実として認識している。しかし、これを止めた ら元に戻るのかというと戻るわけではないと考 えている。これまで大学に頼り切っていた部分 をもう少し県の行政の中で、各地域での医師確 保体制を新たに構築し直さなければならないと 考えている。
また、臨床研修医の定数や配置の見直しの具 体的な計画については未定だが、今後、詰めて いきたい。
要望
急性期病院では、在院日数も少なくなっている。
また、医療安全の確保、感染対策、卒後研修 医の指導、患者からのクレーム対応、外来等、 勤務医の仕事が非常に増えているという医療背 景を鑑みて検討いただきたい。
回答(内田常任理事)
マクロ的解決法には、医師を増やすという議 論があるが、何よりも新たな財源の確保がない と、この問題は限界にきているというのが現状 であるので、現在取り組んでいるところである。
(3)これまで日本の医療は病診連携で分担さ れ非常に良かった。今後、病院がこれらを補 正する方向、病院の方針についてお聞きした い。また、病院における正常な診療報酬の定 めはあるか、お尋ねしたい。(千葉県医師会) 回答(厚労省二川課長)
この場で診療報酬についてははっきりした事 がいえない。
医政局は、中医協を所管している保険局に対 して要望していく立場であるので、今日の内容 を保険局へ話していきたい。特に、病院勤務医 への報いが必要であるということは常々認識し ている。本日の医師会の先生方の意見を十分受 け止めて、今年の予算等々十分に検討していけ るよう努力したい。
回答(内田常任理事)
今回の医療法改正は、地域医療連携体制をど う構築するかというのが一番のポイントであ る。その中で、各病院・診療所の地域性や特性 を活かしながら、地域医療対策協議会の場で地 域医療提供体制の構築を取り組みたい。
質問
厚労省は、病院は専門外来に特化、開業医は 午前中は診療、午後は往診、夜は救急対応する ようはっきりと言っているのにもかかわらず、 財源の確保を考えないということは有り得るの か。そこまではっきりいうのであれば、厚労省 としても財源を確保した上で提示する等、責任 を持っていかなければ安易にいっても困る。
回答(厚労省二川課長)
政策実現のため診療報酬等で政策を推進する ということは示している。具体的に何にいくら というのは言えない。気持ちとしては十分認識 している。無料で医療が進むとは考えていない。
要望
来年の診療報酬改定で、在院日数を30 日、 看護師比率を70%等、しばりを厳しくした時点 で殆どの医療機関はお手上げである。内科の施 設であれば、慢性期の回復期リハや療養型で対 応できるが、外科系の急性期医療機関が全て慢 性期になれば、外科系がどんどんなくなる。そ うすると若い医師が外科系を目指さなくなり、 10年後、20年後には外科系が医師不足になる 等、拍車をかけている。
以前より、厚労省は医療費を削減することを 考えているが、これは、年金問題で誤りを起こ した社会保険庁と全く同じことである。かつ、誰一人として厚労省の政策担当者が責任をとら ないという無責任な官僚支配の医療制度が続く ことになる。そろそろ医療制度について官僚支 配の責任をとらない体制を直していただきたい。
我々日本医師会は、都道府県、市町村での委 託事業を受け、厚労省の政策を現実に実現して いる。それらを我々が許容しなければ日本の医 療は崩壊する。いつまでも日本医師会をいじめ るような政策はやめていただきたい。
回答(厚労省二川課長)
急性期病院の問題については、産科・小児科 の医師不足の問題と同様に話はあがっている。
病院の体制を整備する事を医師不足対策に一 般論として提示しているが、具体的方策につい ては、まだ知恵が回っていないところである。 今後、具体策として医師会の先生方のご意見を お伺いいただければありがたい。
質問
社会医療法人について、日本医師会から具体 的に厚労省にどのような要求等をあげているの か。例えば、所得税についての減税等は要求し ているのか。あるいは、厚労省は財務省と調整 されているのか。
回答(厚労省二川課長)
所得税に関しては、法人か個人開業医なのか で差があるのは普通では考えにくい。税制措置 については日医としっかり取り組んでいきたい。
回答(内田常任理事)
担当が違うので具体的な内容については正確 には把握していないが、税制改正に向けての要 望事項に所得税の減税は取り入れている。
(4)病院、有床診療所の今後について、また、 開業医の位置付けについて、日医および厚労 省より見解いただきたい。(大分県医師会)
回答(厚労省二川課長)
各地域において、その医療機関における役割 を良く考えていただきたいと言ってきた。各地 域における機能をしっかりして欲しいと考えて いる。あえて言うと、どこの医療機関も同じ機 能で、デパートみたいに何でもしますというこ とがいいのかということは、今後、医療機能と いうものをよく考えていただきたいと色々な所 で言っている。
開業医については、普通は診療所と使ってい るが、分かりやすい言い方、書き方として使わ れている一般的なものであると思う。
回答(内田常任理事)
これまで地域の診療所あるいは公的病院以外 が果たしてきた役割は非常に大きく重く受け止 めている。
個人的な意見にはなるが、日本は低医療費の 中で、非常に質の高い医療を提供してきた。こ れは地域における診療所の先生方、公的・私的 の先生方による献身的な努力によって支えられ てきたものである。これに対する厚労省の医療 法改正というのは、既に大筋として政府・与党 の中で決まっていたことであるが、制度改正に ついて感じるのは、厚生労働省は2年間ごとにポ ジションが変わり、2年間の実績でキャリアアッ プされ、評価されるというシステムが非常に強 い。そのため、医療の現場をきちんと評価し、 問題点・矛盾点を解決していくという立場では ないというのが見受けられる。そこに対する医師 会としての関わりが極めて重要であると考える。
今回の制度改正においては、医療提供体制の 再編というのが非常に多く示されてきている。
この改革に当たっては、新たな安定的な財源 を付けるというのが最大の課題である。その中 で公的・私的医療機関という形ではなく、地域 の医療提供体制が如何に地域特性を生かしなが ら地域のニーズに応じることができるよう、病 院・診療所の区別なく連携して構築していくこ とが重要である。今後とも中小病院、診療所の 役割は極めて重要であると述べていた。