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第3回地区医師会長会議

常任理事 真栄田 篤彦

去る1月30日(火)、ロワジールホテルオキ ナワにおいて標記会議が開催されたのでその概 要について報告する。

開会にあたり、宮城信雄会長から、各地区あ るいは、県医師会で起こっている問題について 当会長会議で十分論議をし、医師会の活動に役 立てると共に、各地区で起こっている問題は可 能な限り県医師会が解決に向けて取り組む所存 であるのでご協力賜りたい旨の挨拶があった。

以上の挨拶の後、引き続き、宮城会長の進行 で協議が行われた。

議 題

(1)沖縄県医師会館建設に係る進捗状況につ いて(沖縄県医師会)

真栄田常任理事か ら下記のとおり説明 を行った。

沖縄県医師会館 の建設が南風原町新 川に決定したことを 受けて、本会では会 館建設検討委員会 を設置し、平成18年7月3日に第1回の委員会を開催以来、これまで毎月開催してきた。委員 会では、会館の機能や規模、外観等について検 討を重ね、委員会終了後はその都度各地区医師 会へ資料と報告書を送付し、地区の理事会等に おいて協議いただき、各地区の意見が反映され るよう努めてきた。

委員会で大凡まとまってきたことは、会館の 機能については、県医学会総会を会館で行うた めの会議室の確保。中ホールは研修会等の使用 のためスクール形式で150名程度の収容ができ ること。また、現在の事務局は手狭であるから 必要な広さを確保すること。外観については、 本会の土地は隣接する薬剤師会、小児保健協会 と比べ大分低いので敷地を2m程度高くして全 体的に勾配のある土地にし、会館は2階建てで なく3階建て(803坪)を基本に進めることに なっている。

今後の工事スケジュールは、当初、平成20年 3月竣工を予定していたが、本会館の建設には 土地の開発許可申請が必要であることがわか り、その申請作業に6ヶ月程度要することから スケジュールの見直しを行い、平成20年7月の 竣工予定になっている。

これから実施設計、建設業者の選定等の作業 を進めると共に、資金計画を立てていくことに なるが、会館建設及び維持管理費として会員か ら徴収する負担金が今後の一番大事な検討課題 となる。

平成15年度に検討していた現在地浦添の駐 車場への建設の場合は、医学会総会は浦添看護 学校の教室を使用することで会館の規模も1階 の駐車場を含めて767.8坪であった。会員の負 担金は月額1,000〜2,000円程度とし、薄く広く 徴収することで検討していた。しかし、今回の 新川は会館建設の費用だけでなく、敷地の整備 費用、擁壁の費用、下水道の整備、植栽等の費 用が大きく嵩む事になる。金融機関からの借入 金返済期間を25年又は30年にする等会員の毎 月の負担をできるだけ少なくなるように検討し ていきたい。

また、過去の用地特別会計の納付者の対応についても十分に検討し、負担金を試算していき たいと考えているので、各地区においてもご協 議いただき是非ご意見を賜りたい。

以上が現在の状況であるが、これからも委員 会で検討した事項については、常に地区医師会 に情報を提供していくので、各地区の会長並び に役員の皆様におかれては、若い会員、次世代 の会員のことを考えていただき、長期的展望に たって、会館の建設に向けてご協力をお願い申 し上げたい。

また、宮城信雄会長から最終的には代議員会 の決議事項になるが、その間、会長会議等で議 論をしていきたいのでよろしくお願いしたいと 述べた。

(2)中部地区医師会立「ぐしかわ看護学校」 建設学債の購入について(依頼)の件 (中部地区医師会)

中部地区医師会 の金城会長から、 「昨年9 月の地区医 師会長会議で「ぐし かわ看護学校」学債 購入に県医師会共 済会積立金残額の 一部活用を要請した が、その趣旨について十分ご理解頂けてなかっ た点もあったので、前回の補足説明をさせてい ただきたい。」と提案理由の説明があった。又、 「宮城会長から、中部地区医師会より資料を求 めつつ検討して行きたいとの大変ありがたいご 意見をいただいたので、本日は資料を用意させ ていただいた。」として、資料の説明をされた。

要点は、1)「ぐしかわ看護学校債は、民法上 の金銭消費貸借契約に基づき、中部地区医師会 が借入れするもので、会員間での貸借関係に限 定されるものである」こと、2)「元金返済据置 き5年間の金利は年利0.9%を共済会に支払い、 6年目以降は毎年元金20%の返済と、残高に対 して0.9%の利息金を支払う」こと、3)「県医 師会定期預金利息1.16%と0.9%の差について は、県医師会としても僅かな金利差にとらわれ る事がないようにご配慮をお願いしたい」こ と、4)「購入希望額を2億円(200口)とさせ ていただいた根拠については、一応、県医師会 共済会積立金残高の約28%を中部地区医師会 会員の積み立て分として、それに加えて各地区 医師会積み立て分から約30%程度をご協力頂 きたいというのが趣旨である」こと、5)「学校 債の用途目的については、銀行借り入れによる 返済方法と利払いの緩和に役立てたい」と考え ているとのことであった。

又、中部地区医師会の平成13年度〜平成17 年度までの貸借対照表が提示され、「平成17年 度の正味財産は13億5,700万円となっており、 利益も上げているし、事業も拡大している。県 医師会としても貸し倒れはないと思うので安心 していただきたい。」と述べた。

これを受けて、幸地理事から、平成19年1月 現在の共済会積立金並びに医師会館建設資金に ついて説明し、「会館建設検討委員会の対応も 見ながら検討していくことを考えている。本 日、先生方のご意見も拝聴し、理事会において 慎重に審議を行い、出来る限りご希望の金額に 沿うよう努めたい。最終的には代議員会にお諮 りすることになる」とコメントした。

続いて、県医師会宮城会長から、「県医師会 としては出来る限りご希望の金額に沿えるよう 検討する。1口100万円で会員にも協力を呼び かけることにしたい。会報への掲載等も考えて いるのでご了解いただきたい」と述べられた。

また、県医師会の真栄田常任理事から、「前 回の会議で、嶺井常任理事から、学債1口100 万は額が大きすぎる。広くご案内するうえで1 口10万円で募集してはどうかとの提案があった が、分割は出来なかったのかお聞きしたい」と 発言があり、これに対して、中部地区医師会の 金城会長から、「持ち帰って理事会で検討した が、委員会と理事会で決定したことであり、今 回はこのままで行くことになった。将来必要が あれば検討するのでご了解いただきたい」と述 べた。

(3)会員等の弔意に関する医師会事務局への 連絡体制について(南部地区医師会)

南部地区医師会永 山会長より資料に基 づき、標記の件につ いて事前連絡がなく 当日の新聞広告にて 確認されることがし ばしばあることか ら、連絡体制につい て有効な対策を取られている地区があればご教 示願いたい旨の説明があった。

これを受けて各地区医師会に確認をとったと ころ、これまで同様の問題は起きておらず、特 に対策はとっていないとのことであった。

また、県医師会の今後の対策として、会員か らの報告の強化を図るため、本会会報に会員に かかる弔事に関する医師会への連絡について、 掲載して周知を図っていきたい旨、真栄田常任 理事より説明があった。

なお、南部地区医師会でも同様に、今後の連 絡網を強化するため、会報新年号から毎回会員 向けの告知記事を載せることになったとの報告 があった。

(4)介護事故における事業所側の債務不履行 責任について(南部地区医師会)

南部地区医師会永山会長より、資料に基づき 下記のとおり提案理由の説明があった。

南部地区管内の医療機関より、介護保険サー ビス提供時に発生した転倒事故に関して、糸満 市から「債務不履行責任が認められるため、第 三者行為に準じた扱いとなるとして1)関連施設 での某病院における診療報酬の返戻、2)某デイ サービスセンターへの損害賠償請求」を要求さ れており対応に苦慮しているとの相談がある。

本件については県医師会を通じて県当局に対 し糸満市側への要求撤回等要請を行って戴くよ う要望するところであるが、各地区医師会のご 意見も伺いたい。

以上の提案に対して、小渡副会長より下記の とおり阿波連弁護士及び日本医師会に確認した 内容について説明があった。

1.阿波連弁護士に電話で照会

第三者行為かどうかは関係ない。債務不履行 があったのかが問題。介護施設で事故を起こし たらすべて債務不履行になるわけではない。

デイサービスは基本的に全く無事故で帰すと いう契約にはなっていない。人によってサービ スの内容が違う。1)どういう症状の人を預かっ ていて2)どういうデイサービスをすべきか3)施 設がいつものとおり対応していたら防げたもの であるかどうか。そこを(上記3点)糸満市と 議論したうえで、本症例が債務不履行にあたる のかどうかを検討する。糸満市の「介護保険サ ービス中に起こった事故にて、サービス施設の 債務不履行責任が認められる為、第三者行為に 準じた扱いとなる」との見解は乱暴。

2.日本医師会介護保険課に照会(病院名・市 町村名・患者氏名は消去)

日本医師会においても判断が難しいと思われ たので、厚生労働省に確認している(県名もふ せて)。厚生労働省もすぐには回答ができずに、 少し時間をいただきたいとのことであった。つ いては、回答を少し待っていただきたい。

さらに、稲田理事より下記のとおり説明を行 った。

介護施設内で起こった事故に対応する賠償責 任保険として「ウォームハート」という保険が あり、医師会の保険代理店である沖医商事で取 り扱っている。現在、84施設がこの保険に加入 している。

今後、この保険の案内を医療機関・施設へ行 いたい。

(5)県嘱託医推薦の件(宮古地区医師会)

県福祉事務所の 嘱託医の履歴書提 出の件は、平成17 年3月29日開催の第 178回代議員会で会 員の個人情報保護 の観点から、宮古地 区医師会から履歴書 等の書類は提出すべきでないとして要望が出さ れ、これを受けて、県医師会では福祉保健部と の連絡会を通して、提出書類の改善を要望した ところであるが、今回、宮古地区医師から未だ 改善されてないとして、再び提案がなされた。

今山理事はこの件について、福祉保健部との 調整の結果、「健康診断書」「身分証明書」「面 接調書」については、提出不要となったが、「医 師免許証」と「履歴書」については、まだ提出 の要ありとして説明を行ったが、さらに、一層 の簡素化を求めたところ、「医師免許証」につ いても、提出不要になったことを説明、「履歴 書」については、なお福祉保健企画課をとおし て人事課と調整中であることを説明した。

中村宮古地区医師会長は、国との契約では履 歴書等の提出は求められてない。県の対応は基 礎的な判断材料として不可欠であるとしている が、県に判断をする権限はないはずだ。推薦をし た者については無条件で認めるべきだと述べた。

宮城会長からは、臨時雇用の県職員と嘱託医 と同じ考え方で、県は対応しているようで、同 じ扱いを受けるのは疑問があるとした。さらに 中村会長から、県側がお願いをしている以上こ ちらが合わせる必要ないと思われる。医師会が ここでしっかり対応しないと、他の団体にも影 響を及ぼすとして追加した。

また、同様に他の嘱託医に就任している理事 者からも毎年履歴書や写真の提出が求められ、 非常に煩雑であるとして、履歴書提出の廃止を 求めた。

最後に、宮城会長からこの件については、今 後福祉保健部との連絡会に再度提案するなどし て、改善を求めていきたいと述べた。

(6)結核病床の削減について (国療沖縄公務員医師会)

石川清司国療沖縄 公務員医師会長よ り、資料に基づき下 記のとおり提案理由 の説明とご理解いた だきたいとの依頼が あった。

地域医療計画における結核に対する必要病床 数については、理解しているが、病院運営上、 結核病床の削減を実施した。地域医療計画では 結核病床不足地域となるが、現在入院は30人 しかおらず、住民に支障を来たすことはないの で、ご理解を賜りたい。




削減の理由としては、

1.結核病棟入院基本料が極端に低く、1床あたり年間100万円の赤字を生じる。

2.障害者自立支援法の施行に伴い措置費が廃止され、筋ジストロフィー病棟・神経難病病棟の運営も困難を極めている。

3.「がん専門病棟」を改質し、がん診療連携拠点施設として経営基盤を確立し、「結核」「神経難病」を政策医療として支えていく方針を検討したが厳しい状況にある。

20人を切った時点でさらに削減もあり得る が、新型インフルエンザ対策等を考慮して陰圧 室20床は確保したい。

国の医療政策として結核、難病に関しては対 応していきたい。また、中部地域は過剰地域な ので、病床転換は難しいと考えている。

(7)医療補佐官について(沖縄県医師会)

宮城会長より概ね 下記のとおり説明が あった。

医療補佐官につ いては、県知事選 挙期間中において 医師連盟と仲井眞 候補が懇談をする 機会があった際に、稲嶺知事が基地問題の補佐 官を置いたように、医療問題についても同様に 補佐官を置いて欲しい旨提案したところ、仲井 眞弘多氏もこれを置くことを明言した。当選後 早速、福祉保健部を通して連絡が来たが、その 際、福祉保健部では部の中にポストを置く意向 であった。しかしながら、県医師会としてはあ くまで知事に直接政策提言できるよう、基地問 題の補佐官と同等の位置づけを考えている。

私としては、事ある毎に先生方にふさわしい 方の推薦をお願いしていたところ、南部地区医 師会から玉城信光副会長をご推薦いただいた。 ある会合でお会いした新垣出納長にこの話をし たところ、翌日の琉球新報朝刊に医療補佐官に 玉城信光副会長が内定した旨の記事が出され た。未だ具体的な事は何も決まっていないが、 医療補佐官の設置について今後も県と調整して いきたいと考えているので、ご了解頂きたい。

以上の説明を受けて各地区医師会長から、福 祉保健部の中に置くのではなく、従来の政策参 与と同等の待遇で置いてもらうこと、また、補 佐官の下に専従職員を置いてもらうこと等の意 見があった。

これに対し、宮城会長から当初より福祉保健 部に置くことは考えておらず、然るべきポスト に置くことを前提に実現に向けて調整を図って いくのでバックアップをお願いしたい旨要望が あった。