去る1月20日(土)、大分全日空ホテルオアシスタワーにおいて開催された標記協議会(地 域医療(含む救急医療)対策協議会、高齢者医療対策協議会打合会、高齢者医療対策協議 会)について、以下のとおり報告する。
副会長 玉城 信光
理事 玉井 修
会場風景
協 議
1.救急医療
本会から提案のある標記の件については、座 長より次のとおり説明があった。
大規模災害時等の連絡体制については、何度 か論議されているが、これといった有効な連絡 手段等がない。重要であるのは、1)ネットワー クの構築方法、2)連絡手段の2点であると考え られる。
方向性としては、行政−医師会、行政−医療 機関等、ネットワーク構築先の明確化や連絡手 段として防災総合無線の利用が有効ではないか と考える。防災総合無線とは、防災無線とは異 なり、関連する機関が総合で無線連絡を行える ものである。災害時の連絡手段では無線連絡が 手っ取り早く、1機関60万円程度のコストで行 える防災総合無線は現段階での有効な手段では ないかと考えられる。
本件に関しては、各県での連絡手段・運用方 法についてアンケートをとり、それを一覧に纏 め各県へ配布することで了承された。
【主な意見】
福岡:現在活用しているメール配信サービスは、300件以内で役員を中心に登録し ている。実際の現場に想定した訓練的 なものは行ってない。 また、地上デジタル放送を使って救急 医療情報の放送をNHKとNTTで準備 を進めているところである。
沖縄:本県では、携帯電話での緊急時優先 回線の導入を検討しており、現在詰め ている段階である。 また、福岡のメール配信サービスの操 作性についてお伺いしたい。
福岡:現在のところ安否情報の返信等、一 応の操作はできている状況である。
佐賀:平成15年に災害時医療マニュアルの 作成と同時に救急医療情報システムを 立ち上げた。現在、8割の医療機関が 登録しているが、県内全医療機関の登 録が望ましいと考える。
福岡県医師会より、標記の件について、九州 主管部局長及び九州各県医師会長との間で行わ れる合同会議で提案しているが全く進展がない ので、今年の9月頃を目処に結論づけていただ きたいとの提案があった。
本件については、各県とも同様な意見であ り、行政と一体にならなければうまくいかない ということを認識し、早急に結論づけていく方 向で了承された。
また、身分保障の面で各県がバラバラでは扱 いにくい事が考えられるので、日医の方で、全 国で適用できるような身分保障等をご検討いた だきたいとの要望があった。
【協定未締結の県の進捗状況】
沖 縄:地域防災計画の整理が不十分であ るので、それらを整理しつつ協定締 結に至りたい。
宮 崎:県内での締結は済んでいるが、県外 については調整中。
鹿児島:一昨年に起こったトッピー事件の際、海上保安庁との取り決め事項 が一切なかったため、情報の集約一 元管理が不十分で、指揮系統が統 一されず、混乱を招いた。災害時に は指揮命令系統及び情報発信の一 元化が不可欠であり、行政との一 体化が重要である事を認識しつつ準 備を進めている。
【日医石井常任理事よりコメント】
福島県では出動の際に準公務員扱いにしてお り、セーフティーネットの面等において、公的 活動に参加するという枠組みで行うことが重要 である。
また、広域の協定については、一つの県が、 隣県と協定を結んでいれば、その中の枠に入っ ていくという形をとれば各県で同様な協定が適 用される。
更に、ヘリが導入されるということは、益々 ボーダーを越えることになる。また、地域MC との取り合い、それをもっと広域化する時の手 法等が今後問題になってくると認識している。
本会から提案のある標記の件については、 「鹿屋方式」・「川内方式」を採用している鹿 児島県医師会より、広域システムの構築による 問題点について、次のとおり説明があった。
広域システムを構築することにより、1)患者が 増加する。2)患者の増加に伴うスタッフ(医師・ 看護師等)への負担が増え、疲弊困憊を招く等 の問題が生じる。これら総合的な問題を解決しな ければ医師確保等の面においても影響が出る
また、男女医師の割合が、昔は9対1であっ たのに対し、現在、鹿児島大学での割合は2対 1である。卒業生人数は変わらず、労働量が増 え労働力が減っている。
これらの10年前と現在の比率や労働時間等 を日医総研でデータとして出していただき、エ ビデンスを持って、医学生入学数の増加や医師 確保の面等で交渉を行っていただきたい。
【日医内田常任理事よりコメント】
実際の労働時間については、直近の調査は実 施している。1人あたりの平均労働時間が約68 時間となっていて、労働基準法で規定されてい る時間を遥かに上回っている。
中には、週に140時間働いている人もおり、 労働量が明らかに増えており、負担が非常に大 きいという状況である。
10年前のデータについては、恐らく統計資料 がないかと思われるので、今後、具体的な検討 の中でデータを出していきたい。
【主な意見】
熊本:平日・休日夜間の救急診療について は、我々医療担当者としては社会的義 務であると認識している。しかし、 我々がどれだけ疲弊しているかを何ら かの形で国民へ訴えるべきである。
沖縄:準夜帯への集中度が医師への疲弊を
招いている。小児の医療は、小学校以
下は小児の専門で良いと思うが、それ
以上を内科小児科や救急医療、プライ
マリ・ケアを行っている医師が診るよ
うな体制を作っていかなければならな
いと思う。
本県の救急医療は、県立病院が中心
に行っているため救急の盥回しがなく
殆どうまくいっている状況であるが、
集中度が増しているため解決策を検討
していかなければならない。
標記の件については、予め回答いただいてい る各県の1)産婦人科もしくは産科を標榜する医 療施設数、2)1)のうち実際に分娩が行われてい る医療施設数(分娩実施率)を確認いただき、 佐賀県医師会、宮崎県医師会及び長崎県医師会 より周産期医療センターの状況について以下の とおり説明があった。
また、長崎県医師会より、1)産婦人科もしく は産科を標榜する医療施設数79、2)1)のうち実際に分娩が行われている医療施設数(分娩実施 率)62(78.4%)との追加報告があった。
【佐賀県医師会】
佐賀県では、8月に全産婦人科医師を対象に 緊急のアンケートを実施した。アンケート調査 結果によると、10年先の状況が散々たるもの で、産婦人科医師が半減する傾向がみられた。
また、全国で周産期医療センターがないのは8 県で、その内の4県が九州である(佐賀県含む)。
しかし、佐賀県は、周産期死亡率が全国で一 番低いことから、同センターがなくても、隣県 (佐世保・久留米)の応援をいただきながら、 結果を出している状況にある。
【宮崎県医師会】
宮崎県は、地域に根づいた拠点病院が二次医 療病院として機能しているが、そのような中核 病院を充実させることで、周産期死亡率を低く する体制ができている。必ずしも総合母子セン ターは必要ではなく、田舎の県においては、地 域に根づいた拠点病院を充実させた方がはるか に良く、結果を出している状況である。
そのようなことから、本県においては、地域 分散型の産科医療体制を貫くということを決定 した。改良面としては、拠点病院に医師を集約 させ、二次医療施設から一次医療施設へ応援を 送ることで救命率の向上を図る。
また、宮崎大学より、産婦人科と小児科が連 携した医師養成プログラム作成のための予算を とっていただいており、将来の医師育成あるい は産婦人科・小児科医師の確保に努めていただ いている。
【長崎県医師会】
長崎県では、国立医療センター長が熱心に総 合周産期医療センターの設置に取り組んでいる。 3,000万円を投資しハード面を整備したが、医師 の確保には不足をきたしている状況である。
【日医今村常任理事よりコメント】
周産期医療については、他の分野に比べ、な お一層地域の事情がある。中央で策定した計画が必ず一致するものではない。
また、総合周産期医療センター未設置の県で 実績を証明しているので、厚労省にも画一的な 整備はやめていただきたいと申し入れている。
(話題提供)
長崎県医師会より、標記トレーニングシステ ムについて、次のとおり話題提供があった。
一昨年に県で災害医療シミュレーションキッ ト・エマルゴトレーニングシステムを購入し た。同システムはスウェーデンで開発され、災 害の規模や種類が選択できる。また、割と安価 である(150万円)。できれば各県でも同システ ムの導入を検討いただきたい。昨年12月に行っ た訓練内容の紹介があった。
標記の件については、長崎県より本県では12 月1日よりドクターヘリの運航を開始している が、すでに運航している県で運航の活動状況や 問題点などがあればお伺いしたい。また、国会で は、全国にドクターヘリを整備しようという事が あるので日医にお伺いしたい旨の提案があった。
【日医石井常任理事のコメント】
ドクターヘリに関しては、既に議員立法によ る促進が与党内で検討されている。日医の救急 委員会でも議論し、それを基に折衝した。昨年 度の最後の国会で上程されるかどうかであった が時間切れになり、来る1月25日の通常国会の 冒頭処理を予定しており、現在進行中である。
ドクターヘリの法制化については、法律で補 助金の枠が既に決まっている。
法制化に関する課題としては、1)医師会によ るドクターヘリ事業の整備指針(国)、体制整 備計画(都道府県)への関与、2)メディカルコ ントロールの確保、3)ドクターヘリの運用費 (航空会社への委託費、医師等の人件費等)の 負担財源、以上の3点を取り纏めた。
なかでも、健康保険財源による運用費の負担 は、絶対に認められないとしている。ただし、 3年後に見直しを行うことになっており、それ を中医協で見直すということに対しての反対意 見がなかったので了承したものとみている。
中医協で見直すことにより、医療費の中身の 運用や公費・基金による財源の拡大が図れる。
【福岡県医師会】
医師会としての注意事項としては、運航調整 委員会へきっちりと意見を述べ、消防・地域医 療機関等との連携を良くする必要がある。
活動実績では、病院間搬送から現場出動へシ フトしているが、病院間搬送とオーバートリア ージの問題をきちんと協議しておかないと非常 に動きが悪くなる。
その他、構内のグランドへ着陸した際に砂塵 の問題で地域住民から苦情があり、パイロット から芝生のある所が望ましいとの意見をいただ いている。
また、全国に配置された場合の境界線につい ては、日医で検討いただきたい。
【長崎県医師会】
実績を報告すると12月で18件、1月は、15日 現在で12件とこれまで30件の搬送例がある。 また、高速道路への着陸については認可が下り ていないが早急に折衝したい。
長崎県では離島が多く、ヘリを要請する過程 が曖昧であるが、説明会では県行政が柔軟に対 応するとの回答を得ている。また、隣県に関し ても対応できるよう努めるとの回答を得ている
熊本県医師会より標記の件について説明があ った。
熊本県では、平成13年に92の救急告示医療 機関があったが、5年後には78機関に減少して いる。減少した医療機関は全て会員の施設で、 減少した理由として、1)大学からの若い医師の 引き上げ、2)救急車での搬送が公的医療機関に偏っているの2点があげられる。対策として何 かあればお伺いしたい。
【佐賀県医師会】
救急救命士が増えており、患者をどこに運ん だら良いか把握している。
【大分県医師会】
一番問題なのは、専門志向が増えていること である。大分県では、一次救急医療機関から、 二次救急医療機関が見て欲しいとの意見が出る 等、患者も医療提供側も昔の一次救急の感覚が 変わってきている。
【日医石井常任理事のコメント】
解決策はないが、事象としては、昔の一次、 二次、三次という予算で地域の救急医療体制を 整備したという概念は政府にもない。患者の意 向で自分の行きたい医療機関を選ぶようになっ ている。よって、コンビニ救急の問題、医療提 供体制とのマッチングが取れていない等の問題 が出てくる。
そうすると、救急の理想数の再配度というの は、再配置、場合によっては集約化あるいは別 の形をいろいろ考えなければならない。
宮城県仙台市のある休日夜間診療所では、小 手術ができる体制を市内2箇所に設置し、財団 化している。そこでは一年間で黒字になり、市 役所へ返金している状況である。
現場そのものが変わりつつあり、それに合わ せる方向は幾つかあるかと思われるので、救急 委員会で検討しながら問い合わせには答えられ るようにしたい。
2.次期医療計画
標記2題については、一括して協議が行われた。
地域医療計画については、なかなか中央から 情報がなく、県行政に聞いても全く上からの情報がないとのことである。各県の状況をお伺い したい。
〈各県進捗状況〉
長 崎:昨年度、医療機能調査を行い、同 医療計画を策定した。また、各疾 患毎の医療提供体制も作成した。 今後はそれらの具体化に照準を絞 って検討する。
熊 本:同じ土俵で検討できるように4つの 検討会を設置した。細かな進捗状 況は未だ分かってない。
鹿児島:県民の意識調査及び医療機関の機 能調査を実施している。また、地域ケア整備構想等、国の指 針通りにはいかないのではないか。
佐 賀:医療機能調査を1〜2月に実施。県 主導でやりたがるが、医師会でブレ ーキをかけ、会員に苦情が出ないよ うにしている。救急医療ネットワー クと連動させて行っていく。主な疾 病事業は委員会の中で、来年4月ま でに間に合うように、現在の救急医 療ネットワークを会員並びに県民に 分かりやすくインターネットに載せ る。会員から不安感を抱かれている ため、地区医師会で十分に議論し て県医師会で協議している。また、 行政と医師会が歩調をあわせて行 っている。
宮 崎:様々な事情で遅れている。基礎的な 調査も今からで、行政もあせってい る。何とか国の指針に則って仕上げ ていきたい。
沖 縄:本県では県医師会の担当理事が保 健医療計画策定委員会の委員長を 務めている。今後、アンケート調査 を元に策定を行っていく。
大 分:問題点として、1)会内的な取り組 み、2)会外的な取り組みがあげられ る。医療審議会や医療費適正協議 会等へ医師会がどのように参加しているか。何が問題視されているか。 それらについて、アンケートを行っ たら如何か。出来れば、一つにまと めて各県に提示した方が良いので は。また、日医への要望として、 「医療費の問題」、「地域での在院日 数等、細かいデータを入手する方 法」、「保険者協議会へのオブザーバ ーでの参加は直接的な意見は言え ない。方法として知事を使ってでき るか。」お伺いしたい。
【日医内田常任理事のコメント】
都道府県別の在院日数のデータはあるが地域 別でのデータはない。
保険者協議会への参加については、基本的に は、メンバーの同意があればよいとの事であ る。ただし、最終的な権限は知事にある。
標記の件については、資料を参照いただくこ とで了解され、1月17日に提示された「看護職 員の需給に関する調査−2006年10月調査−速 報版」を基に、日本医師会内田常任理事より、 次のとおり概ね、調査結果で得られた課題につ いての説明があった。
本調査は、中医協で発表したものであり、日 医から調査結果を提示している。
調査対象は、全国3,185病院に対する抽出調 査及び看護学校養成所全数調査とした。
回答率は、病院2,091(回答率65.7%)、看護 学校養成所1,014(回答率77.4%)であった。
調査結果から得られた課題として、以下のと おり述べられた。
1)看護配置基準の引き上げは、段階的に行うよ うに方向修正すべきである(激変緩和)
○ここ1年半の間に、急激な基準引き上げが 予定されている。
○看護配置基準達成のため、一般病床2万床 以上の閉鎖も検討されている。
○病棟・病床を閉鎖しても、今後1年半の間に看護職員約7 万人の増員が必要である が、近年の就業者数増加分は、病院以外も 含めた全てで年約3万人である。
○都市部の病院からの求人が増えており、給 与面で国公立病院に水をあけられている民 間中小病院では、経営が成り立たない。
2)早急に准看護師養成策を見直すべきである
○看護師・准看護師不足の背景の一つは、准 看護師課程卒業者数が激減していることに もある。
○病院は看護配置基準の引き揚げのため、診 療所の准看護師もターゲットにしかねな い。地域の診療所で深刻な准看護師不足が 起きる。
標記協議会の設置状況については、各県既に設 置済み、あるいは今年度の設置を予定している。
標記会議の設置状況については、各県既に設 置済みである。
活動状況として、市民公開講座の開催や研修 会、講習会等が行われている。
標記事業の進捗状況については、基本的に各 県とも国が示した4疾病5事業について、今後 検討されるものとしている。
【日医内田常任理事よりコメント】
国が基本指針を策定し、それに則って行って いくことになる。ますます医師会の役割が大き くなっていく。
日医としては、地域の医療資源を的確に把握 するために調査し、情報提供を行っていくつも りである。
あくまで、医療費抑制にもっていくのではなく適 切な医療提供体制を築いていくことが目的である。
標記の件について、提案県(宮崎県)より、 国の示した公開項目が本当に必要なのか疑わし いものまで含まれている。ある程度の情報公開 は必要だが、厚労省のみでなく、医療サイド、 医師会サイドで自主的に作成したものを公表し てはいかがか、日医の見解を伺いたいとの説明 があった。
【日医内田常任理事よりコメント】
東京、北海道が実際に医療機能情報の公表を 行っているので、それに基づいた項目があげら れている。項目の変更については、今からでも 変更可能であるので、日医の立場から修正を依 頼する。
佐賀県医師会では、7月に委員会を立ち上げ、 佐賀県における地域性を考慮した終末期医療対 応ガイドラインについて、検討を続けている。 国や日医において考え方が示される前に理論を 整えておく必要があり、何らかの方向性を示せ ればと考えているとの説明があった。
本件については、佐賀県医師会のガイドライ ン(案)をもって進めていくこととした。
なお、ご意見や情報等があれば、佐賀県医師 会へ連絡することとなった。
印象記
副会長 玉城 信光
いつもながら福岡を除いて九州各地へは揺れるJRの中での旅である。車酔いをしながら大分に 到着である。大分全日空ホテルで下記の膨大な議題を玉井理事と二人で議題提出と協議を行なっ てきた。
1.大規模災害、自然災害時の連絡体制の整備に関して、玉井理事の議題提出であった。
2.九州・山口各県の災害時医療救援支援体制の整備についてもこれまで協議が行なわれている が、行政との関係もあり早急に期限をきめて確立したほうが良いであろうとのことである。
3.災害医療シミュレーションキット・エマルゴトレーニングシステムを導入して活用した長崎県 からの話題提供があったが、沖縄県では那覇空港災害救援の演習を毎年行なっているので、沖 縄が先行していると思った。
4.小児救急の問題に関して私が議題提出した。鹿児島方式では一次救急を一般輪番制で担当し2 次基幹病院に転送するようにしてうまくいっているが、そのために逆に救急の患者さんが多く なり、小児科医の疲弊状態を招いているとのことである。準夜帯の救急受診者の解消が行政上 げての問題である。
5.周産期医療ネットワークの構築状況についての報告があった。宮崎県では周産期医療に関し て、これまでの取り組みのおかげで周産期死亡率が全国でも最低を記録しているので、これ以 上の集約化は必要ないと答申したら、宮崎県は周産期医療に関して何もしない県であるとテレ ビ報道になったといわれた。沖縄県でも周産期医療に関しては県立病院などを中心に確立され ているので、これ以上の集約化の議論は起きないであろう。各県の産婦人科標榜の医療機関で 実際にお産を扱っている医療機関の調査があった。沖縄の出生率の高さを反映してか沖縄の産 婦人科医は80.6%がお産を扱っているのである。
長崎(62/79:78.4%)熊本(44/84:52.4%)福岡(101/199:50.8%)鹿児島(52/86:60.5%) 佐賀(報告なし)宮崎(45/75:64%)沖縄(75/93:80.6%)大分(40/62:64.5%)6.ドクターヘリの運行に関しては長崎や福岡が先行している。沖縄県でも真剣に討論されなけ ればいけないであろう。
7.救急医療の取り組みも沖縄県は充実していると思うが、医師の疲弊や離島の医師確保など問 題は山積している。
8.次期医療計画については各県とも医師会が積極的にかかわる必要があるとの認識で一致した。
9.7対1看護の届出状況と医師会立看護学校の進路状況について
10.地域・職域連携推進協議会の設置について
11.糖尿病対策推進会議の設置について
12.医療連携体制推進事業の進捗状況について
13.医療機能情報の公表について
14.終末期医療について佐賀県では日医のガイドラインが出来る前に独自にガイドライン作りを しており、まもなく完成するとのことであった。出来上がったら各県に配布して欲しいとの要 望があった。
盛りだくさんの内容で2時間以内に収まりきれないが、多くの課題に対して日医での政策が必 要な部分もあり、出席した日医の理事から積極的に取り組んでいく旨の発言があった。
各地区医師会にあっても九医連に要望があればどしどしあげて欲しいと思う。大分の九医連の 担当もあと1回である。
印象記
理事 玉井 修
大規模災害や自然災害時に於ける九州山口各県の協力支援体制に関して、特にその初動時におけ る連絡体制が各県によってバラバラであります。ダメージを受けたライフライン、基地局そのものが 被害を受けた場合の連絡体制、特に回線が混雑した場合には通常の携帯電話回線はほとんど使い物 にならなくなるという事はこれまでの自然災害時に既に明らかとなっている事であります。
緊急事態において、医療救護活動を円滑に、効率的かつ安全に行うためには連絡網の整備と各 地区医師会との申し合わせは非常に大切になってくるものと思われます。携帯電話回線の災害時 優先回線の利用、メールの活用、防災無線の使用など様々な方法が考えられますが、それぞれに 利点と欠点があるように思われます。維持費、災害時に於ける信頼性、使いやすさなどを総合的 に考えて最も適した通信手段を今後検討していきたいと思います。
今回の会議において福岡県医師会から説明のあったメール配信サービスを利用する方法は一度 に多くの情報を伝達でき、効率的に思われる反面、操作性に関してやや疑問が残りました。長崎 県医師会より説明のあった防災無線の利用は確実かつ双方向性が期待できる反面、維持費が高い のが難点の様でした。緊急情報の手段も重要ですが、この情報を医師会側だけでやりとりするの ではなく県や市町村との共有をどのように成し遂げていくかも大きな課題です。
いずれにしてもまだ切り札的な方法があるわけではなく、各県で手探りをしている段階のよう です。各県の取り組みや問題点などを今後アンケートという形で収集することを確認しました。