会長 宮城 信雄
平成19年1月16日、午後2時20分から日本医 師会館において第3回都道府県医師会長協議会が 開催された。当日は本会から「無過失補償制度 について」質問し、その他日医並びに各県から 提案された13題の議題について協議が行われた。
はじめに司会の羽生田常任理事より開会の辞 があり、会長挨拶、提案議題について協議が行 われたので概要について報告する。
役員として昨年4月に担当させていただき9 ケ月が経過したところであるが、今年1年しっ かり頑張っていきたい。今年の事業計画、議案 を審議する代議員会が4 月1 日に開催される。 昨年のマイナス3.16%に象徴されるように政府 の進める医療政策は財政削減である。6月に成 立した医療制度改革関連法についても第一に掲 げられているのが、医療費の適正化ということ である。2015年度までに医療費を2.6兆円削減、 2025年までに7兆円削減して、そして2025年に は医療給付費を48兆円にするということであ る。遡ると非常に高額な医療費の予測値を掲げ 現今から厳しい削減を行っていくということで あるが、国の財政赤字というものについても、 その70兆円、80兆円とも言われる毎年の増加 分という中で、医療費そのものは1兆円以内で、 国債の増加に比して医療費は決して増加してい ない。2000年のこの5年間の医療費の伸び率は 引き続く減額により、今後も大きく伸びていか ない。日医総研によると2025年は42.1兆円の 医療給付費であろうかと言っている。
私どもの医療というのは、やはり自己負担分 あるいは食料費、居住費といった負担を増やす ことによって、今、高齢者の医療費がどんどん 落ち込んで伸び率が低下するという流れになっ ている。これまで頑張ってこられて、いよいよ 高齢者になって受ける医療費がこんなものだっ たのかという非常に悲しい現実を目の前にするということになる。団塊の世代が、今年還暦を 迎えるという時期になるが、これから本当に 我々も本気になって性根を据えて国民のための 医療はどうあるべきか、そして国民の医療費の 財源をどうして確保するか提言しなくてはなら ない使命感を感じている。そういう流れの中 で、今年4月の代議員会までにしかるべき将来 の医療のビジョン又はグランドデザインという ものを描き、財源論を提言するような体制にし たいと思っている。
そのためには国民に説明する責任を果たし、 また、新しい法の施行により地域に医療のしわ 寄せが来ないように政省令を見据えて新しい対 応をするよう努めていきたい。そして更に日医 の組織強化を図ることに努めていきたい。
このような基本的スタンスに基き次年度事業 計画を策定していきたいと考えている。いずれ にしても医療界において今年は正念場であり、 本気で取りかからなくてはいけないと思う。幸 い、西島先生は国対副委員長、武見先生は厚生 労働副大臣に就任され、情報が格段によくなっ てきており、国政、行政官庁に対しても適切な 取り組みができる体制を作り上げることができ ている。多くの各都道府県医師会の先生方のご 尽力によるものであると感謝し、会員の先生に 私たちが担当させて頂いているという責任を果 たすということに邁進してまいりたい。
協議
【今村聡常任理事説明】
昨年11月の財務大臣からの通知で、公共調 達の適正化により地域産業保健センター事業に ついても、公募の上での随意契約方式になるこ とが決まった。さらに公募に参加するためには 資格申請を昨年末までに行うことが必要であっ たが、郡市医師会の負担が大きいことから申し 入れを行い、平成19年度は資格申請を行わな くても公募に参加できることになった。公募の ための様式は簡単なもので公募だけをしていただければいいということになっている。平成19 年から21年度までの3年間の契約については、 18年度末までに参加資格をとっていただきた い。地域産業保健センター事業は、地域社会へ の貢献という大変重要な医師会活動であること を考えて実施していただきたい。
【提案要旨】
診療報酬請求が紙レセプトからオンライン請 求に義務化され、法的には平成20年4月より施 行となっているが、経過措置として原則平成23 年4月から実施することになっている。
高齢の医師の医療機関やレセプト数の非常に 少ない医療機関数等、技術的にも経済的にもオ ンライン化し難い医療機関が少なからずある。 これに対する日医の対応をお聞きしたい。ま た、前倒しの話もあるが教えていただきたい。
【鈴木常任理事回答】
レセプトをオンライン請求を前倒しすること について担当に確認したところ、全く知らない ということであり、厚生労働省は全く関知して いない。オンライン化について、平成13年に厚 生労働省で情報開示に向けてのグランドデザイ ンを作成しているが、その時の平成18年度のオ ンライン化の状況は70%と設定しているが、実 際に平成18年度末のオンライン化の状況は病 院が39.2% 、診療所が13% 、医科全体で 19.2%の普及率で非現実的な動きをしている。
本件に関する日医の見解としては、薬効薬理 作用に基いて医薬品の投与を認めることを明確 にし、被保険者証確認システムを確立し、また デジタルによる画一的な審査をしない、レセコ ンの統一基準をもって対応する、IT財源の別途 確保、レセプトデータ利活用に関するルール作 り、これは第三者機関の設立等で公平な運用を すべきということで主張している。
ご指摘の高齢医師の医療機関、レセプト枚数 の少ない医療機関、学術的、経済的にオンライ ン化しにくい医療機関については、政省令によって月の平均枚数が100枚以下、年間1,200枚 以下の医療機関が除外規定の対象となってい る。これらの施設に対しては地区医師会では代 行請求することが厚生労働省の意向であるが、 医療機関のプライバシーも派生することから現 実的ではないと解釈している。このような医療 機関については義務化するのではなく手上げ方 式等、もっと弾力的に運用ができるよう交渉し ていきたい。
【提案要旨】
平成23年度からのレセプト原則オンラインで の提出、又、特定健診・特定保健指導が平成 20年度から開始されることと相俟って、レセプ トデータと健診データはデジタル化された形で 保険者に統合されることになった。
更に12月4日の経済財政諮問会議で検討され た新中期方針「日本経済の進路と戦略」では、 「レセプトオンライン化など、サービスの質の 維持向上を図りつつ、効率化等により供給コス トを低減させていくなどの総合的な取り組みを 計画的に推進する」とされ、国がIT化を通して 韓国型の管理医療を目論んでいることが明らか である。
現状のままでは、保険者に統合された国民の 健康に関する種々のデータは、最終的には国の 一方的な取り扱いとなり、医療費抑制策の裏付 けとして極めて恣意的に使用されることが明白 である。
・ソフトロジックによる画一的な審査は絶対に 容認できない。
・国民の各種データが保険者と国のみの占有と なり、恣意的分析数値を用いた医療費抑制策 立案の根拠に使用させてはならない。
これら医療のIT化に関する問題点についての 具体的な対応策について日医のお考えをお聞き したい。
【鈴木常任理事回答】
手挙げ方式について、4月分から試行的オンラ イン方式がまず開始される。オンライン化によ る画面審査となっても現在の審査と変わらずに 医学的判断は尊重され裁量権は委任されて、現 在行われている事務共助の部分、例えば診療実 日数と再診料の回数等についての確認等の域を でない範囲のみを処理すると約束されている。
ソフトロジックによる画一的審査について、 薬効、薬理作用の問題対応を求めている。技術 的な面として、オンライン請求のときに行われ る事務点検について、この点検ロジックの公開 を要請しており、これにより点検内容のブラッ クボックス化が避けられた。レセコンに組み込 むことにより月1 回のレセプト送信時でなく 日々の入力時に手元でチェックすることが可能 となるよう要求している。また、レセプトの保 存について、現行では政管健保が5年、組合健 保で10年が慣例となっている。日医としては、 データの所有権が保険者であっても管理医療に つながるプロジェクトに関しては、第三者機関 に委託され、公平、公正かつ学問的に正しい方 向で行われるべしという姿勢を貫く方針であ る。患者の視点、患者満足度に足場をおいた日 本独自の医療のIT化を目指していきたい。
【内田常任理事回答】
―特定健診データとの関係について―
特定健診における受診者の健診データはオン ライン化が義務づけられている。データが保健 所に集積されることになり、医療政策への恣意 的な利用の恐れがあることはご指摘の通りで、 日医として最も危惧しているところである。情 報の管理は、経済的な管理と並んで管理医療の 極めて重大な手段になる。IT化が進む現代にお いてこそ、患者の健康や医療の情報は本人が管 理し、かかりつけ医がバックアップすることが 本来の姿である。今後、データの目的外使用等 に関する第三者評価機関の創設による対応を含 め努力していく。
【提案要旨】
新潟県医師会では、日医標準レセプトソフト (ORCA)を会員への拡大を図るため、日医総 研に問い合わせたところ、院名の「未開示を希 望する」という項目にチェックが入っているた め医療機関名をお知らせできないとの回答であ った。(新潟県でORCA 利用の医療機関が54 件、うち開示してもよいは8件)
これは、ORCAを導入する際にID申請登録 項目の「貴院名の扱い」欄に1.開示してもよ い(各方面からの問い合わせ)、2.開示しても よい(医師会のみ)3.未開示を希望するとい う3つの選択肢があり、「未開示を希望する」が 初期設定となっていることが原因と思われる。
個人情報保護の点で大きな障害が無ければ、 初期設定を廃止するか、或いは「開示してもよ い(医師会のみ)」を初期設定にしてはどうか、 提案する。
【中川常任理事回答】
ORCA普及への協力をお願いしているにも関 わらず、各医療機関のプライバシーを過剰に保 護するため、ORCA参加医療機関の把握が難し い形になっていた。今後は医療機関名の取り扱 いについて、医師会に開示しても良いという項 目を医療機関の初期設定に変更したい。同時に 初期設定していることを明確に表示するように していきたい。又、初期設定の影響で非開示と 登録されている医療機関については再確認して いきたい。
2011年にナショナルデータベースに対抗する ため、1万ユーザーを目指して普及推進活動を 行っているが、極めて順調に推移していること を報告する。
【提案要旨】
この度、「分娩に関する脳性麻痺に対する障 害補償制度」が実現する運びとなり、日医並び に関係者のご努力に深甚なる敬意を表する次第 であります。日医は、当初、医療行為に関連した全ての障害に適応すべく検討したが、財源問 題等幾多の壁があることから、緊急度の高い 「分娩に関する脳性麻痺に対する障害補償制度」 の先行実施を求めたと聞き及んでいる。
当該制度は、本来、すべての医療事故被害に 適応されることが最も望ましいことであり、日本 医師会においては、今後とも引き続き、制度の 対象拡大に向けご尽力下さる事をお願いしたい。
宮城信雄会長
【木下常任理事回答】
現在、運用機関は日本医療機能評価機構と相 談し前向きな返事を得ており、そこで制度が動 くようにしていこうと考えている。試算すると かなりの額が余る可能性があり、その時は小児 科に広げていくという考えで進めている。これ を全事故に対応するとなると数千億円の財源が 必要となり現実的には不可能であると思う。ご 指摘のとおり産科から小児科へひろげるという 視点で動いている。
【宮城会長追加】
まず、実現するということが非常に大事であ ると思うが、最終的には全ての疾患に対して適 応するという視点を持たないと、何時までたっ ても実現しないと思う。そういう意味では方向 性だけはそういう意思があるということを示し てもらいたい。
【提案要旨】
先の12月1日に開催された日医医療政策シンポジウムは国家財政と社会保障をテーマに大変 有意義なシンポジウムであった。シンポジウム で提起された問題を今後、日医の政策にどうつ なげていくのか、政府与党にどう働きかけてい くのかお聞かせ下さい。
シンポジウムの内容は、日医雑誌(別冊)で 配布予定となっているが、既に稼動しているラ イブラリーシステムで閲覧できるようにしてい ただきたい。
TVコマーシャルで国民に対する広報も展開 されている。会員に対して白くま通信などがあ るが、日医が何をしているのか、会員に対する 広報活動についても積極的な取り組みをお願い したい。
【中川常任理事回答】
昨年12月に開催した医療政策シンポジウム は、社会保障費の財言論に風穴を開けて国民の 不安をいたずらにあおる報道や政策の潮目を変 えることを目的に企画した。5人のパネリスト 全員が長期債務残高と社会保障の関係を明確に 否定され、日医総研の前田主席研究員が述べた 一般会計と特別会計を連結して議論すべきとい うことが確認されたが、一番の収穫は財政当局 がいうほど、我が国は財政破綻状態ではないと いうことである。
シンポジウムの内容、要旨を日医雑誌の別冊 として作成し、又、内容を完全にしたものを小 冊子として来月中に発行する予定である。完全 版はPDFファイルとして日医ホームページに掲 載しインターネットで閲覧できるようにする。 もちろん、必要に応じて政府与党へのロビー活 動、財政当局、厚生労働省との議論に活用する つもりである。会員に対する情報発信は国民に 対する広報活動と同等に最重要課題と位置づけ ている。日本医師会ではホームページからビデ オライブラリーの検索やシンポジウム、講演会 のオンライン映像配信等も行っており、今後こ れを拡大する方向で進めていきたい。又、毎週 の記者会見でも情報発信、日医FAXニュース等 による情報提供の他に、一般会員にもできるだ け速やかに日医の行動を知らせる手段を考えて 実行していくつもりである。更には指摘のあったテレビ会議を拡大して活用していきたい。
【提案要旨】
現在の優れた日本の医療を守ることは喫緊の 課題であり、政治家の力を借りることも勿論大 切であるが、今こそそれを守るための国民を巻 き込んだ一大キャンペーン(日本の医療を壊す な!)が必要と思われる。そのためにはメディ アを味方につけた世論の喚起こそ効果的であ り、最大且つ最強の医政活動の一つでもあろ う。今まで日本医師会のマスコミ対策は具体的 にはあまり見えにくいが、この観点に対する日 医の見解を披瀝されたい。
【中川常任理事回答】
昨年、実施した広告代理店の調査では、日医 について国民の36%が嫌いと答え、60%の国 民が存在すら気にかけていないということが分 った。国民の日医を見る目は極めて冷め切って いる。最近の情報では若い勤務医もこれに近い 意識をもっていることが分ってきた。事態は極 めて深刻であり、このような否定的な状況を打 開するためには日医の主張が正しく伝わるよう な基盤整備を進めることが不可欠だと考えイメ ージアップ戦略を開始している。
その目的は既得権益を守る圧力団体という固 定したネガティブ面の払拭である。昨年10月に 始めたテレビCM放送により国民が少しずつ日 医を理解し始めていると感じている。現在、週 4〜5本の放映であるが、回数を増やして患者、 国民の側に立っているということを粘り強く続 けていく必要がある。又、同時にスピード感を 持った情報発信を果たしていくため、一般紙、 業界紙を対象にした合同記者会見を原則として 毎週必ず行うようにしている。今後とも国民へ のアピールに努めていきたい。
【提案要旨】
平成18 年10 月現在、地域医療支援病院は126施設を数え、このうち34施設(4分1強)を 医師会病院が占めており、地域医療に貢献して いる。
医師会病院は、その機能からみても「かかり つけ医機能」を支援する地域医療支援病院とし て、最も適した病院の一つである。医師会病院 の地域医療へ果たす役割が大きいことを考える とき日本医師会として地域医療支援病院の展望 と今後のあり方について明確に示していただき たい。
又、県行政による医師確保対策等の取り組み の中で、医師修学資金貸付事業における返還債 務免除や小児科・産科医師の中核病院への集約 化・重点化については、公立・公的病院である ことが参入要件となっており、医師会立の地域 医療支援病院は対象外とされている。
本来、地域医療支援病院の条件は地域医療に 資する公共性の高い医療施設と位置づけられて いることから、医師会病院であっても国や県等 の公的制度の対象とされるべきと考えられる。 このことについても日医の見解をお伺いしたい。
追加質問
第5次医療法改正に伴い、平成19年4月1日 から特別医療法人は廃止されて、社会医療法人 制度に切り替えられるという情報があるが、も し社会医療法人になった場合、医師会病院であ る地域医療支援病院はもっと公的制度の対象と なるのか教えていただきたい。
【鈴木常任理事回答】
地域医療支援病院は、今回の医療法改正では 大幅な制度改正は行われていない。第6次医療 法改正への積み残しとして厚生労働省の検討会 で議論が始まっている。制度がスタートして9 年経過しているが、支援病院の承認数が126に 留まっており地域医療支援病院のない地域も多 数存在しており、紹介率という点で抱え込みと いうか門前クリニック等が問題視されている。 課題は他にもあるが、地域医療支援病院に対す るチェック機能の充実も挙げられている。地域 医療支援病院が次回の医療法改正でどのような 位置づけとなるかが検討会で議論されている。具体的には平均在院日数の短縮が進む中で新た な役割として在宅患者の受け入れについて意見 を述べている。ご指摘のように不要論の発言も あるが方向付けは一切なく、議論はこれからと いうところである。
小児科、産科の集約化については、公立病院 を中心として地域の実情に応じて、他の公的病 院等を対象としている。この中に医師会病院も 入ると理解しており、民間病院の産科を拒否さ れているわけではないと思っている。医師の修 学資金貸付事業を含めて、民間だからとして、 医師会立の地域医療支援病院が公的制度から一 律に排除されることは認められない。
【提案要旨】
DPCは従来、特定機能病院を対象に導入さ れたものであるが、平成18年度診療報酬改定 で民間病院にまで拡大されたこともあり、DPC を採用する病院は加速の一途を辿っている。 (全国360病院で採用)
また、規制改革・民間開放推進会議の最終答 申には、DPCの普及とともにDRG/PPSへの意 向を来年度中に検討することが明記された。国 家財政が逼迫する一方、少子高齢化が進む現 在、国は医療費適正化の名のもと、入院や高齢 者医療を中心に、ますます推進していくものと 思われる。DPC採用が急性期病院として生き 残れるための条件とされつつあるといっても過 言ではない。
日医はこれまで「診療所は出来高払い」と唱 えてきたが、このような国の施策に対して、どの ように対処しておられるのか見解を伺いたい。
【鈴木常任理事回答】
これまでDPCについて光の部分だけ取り上 げられていたが、最近になって影の部分が問題 視されている。当初から問題点として指摘して いるが、再入院の問題であると、外来の検査、 頻回受診、DPCの算定のカテゴリーはきちん と決まっているが、拡大解釈してそのカテゴリーに請求し入れ込むことがある。ルールを逸脱 した算定をされ、特定共同指導等においても担 当役員が言葉を失う場面もある。現在、指定希 望病院が300弱あるが、この問題が解決しない 限り先送りされるのではないかと思っている。 DPCも再構築を迫られている。
【唐澤会長への質問(埼玉県)】
1)急性期診療に対してDPCを持ち込まないで 出来高制度を是非堅持していただきたい。
2)後期高齢者制度について、国保中央会より 二つの提言があった。1)75歳以上の老人に対 してかかりつけ医の登録制 2)人頭制による マルメ制の提言があり、厚生労働省は政策と して決定し記者会見している。後期高齢者制 度はマルメ制度、登録制度にならないように してもらいたい。
【唐澤会長回答】
1)DPCは急性期においては不適切であり、こ れは日医の主張を守っていきたい。
2)終末期医療についてもメディファックスにあ ったように、高額な医療費が短期間に提供さ れていることもあり、これも正しい形に是正 することが大事であると思っている。その前 に国が不必要に財源削減という医療に対する 理不尽な方向を打ち出していることについて は、何とか打ち破っていきたい。
【提案要旨】
医療における控除対象外消費税の解消に向け て、日本医師会の考え方と現在の進捗状況の最 新情報をお聞かせいただきたい。
【今村聡常任理事回答】
この消費税の負担を解消するために平成19 年度の税制改正要望においてもゼロ税率ないし 軽減税率による課税制度に改めるという要望を 出したところである。昨年の夏以降、関係各省 庁や国会議員との勉強会を行っている。また、 秋の臨時代議員会終了後には自民党税調のメン バーや公明党への働きかけも行っている。今後、国民の理解が必要になることからマスコ ミ、特に一般紙や経済紙、雑誌記者等との懇談 会を中心に理解を深めてもらうよう活動を頻繁 に行っている。
今後1年間議論が開始されるまでの夏までが非 常に大事な時期になる。今回、鳥取県医師会に おける鳥取県議会への請願、さらにそれが採択 されことについては素晴らしい取り組みである。 医療関係者以外からの要望という形が制度改正 の大きなうねりに繋がっていくと思っている。
【提案要旨】
病院の医師不足の原因として医師の加重労働 が挙げられる。その過重労働の理由の一つとし て、外来患者の急増があります。朝から夕方ま で、夜間も専門的医療を求めて患者さんは病院 に押しかけている。元来地域医療では、日常的 な医療はかかりつけ医で、入院または特殊な検 査を要するものは病院でという機能分担が行わ れてきた。しかし近年では専門医療を求めて患 者さんは病院に集まっており、病院も医療費抑 制の影響を受け外来患者を積極的に迎えいれて いる。その結果地域医療に混乱を生じておりま す。それを解消するには「かかりつけ医機能」 を高め、病診連携を進め、地域医療をあるべき 姿に戻すことが必要と考えます。
日本医師会としてどのように考え、どのよう に進めるかお考えを伺いたい。
【内田常任理事回答】
現在、厚生労働省の委員会で医療提供体制の あり方の中で、病院外来のあり方、或いはかか りつけ医機能について議論をしている。今後の 医療提供体制のあり方は、医療機関の機能分化 と連携が非常に重要だと考えている。その中 で、在宅医療や休日夜間診療も含めた地域にお ける一次医療の充実、安全対策の向上等のいわ ゆるかかりつけ医の役割というものは極めて重 要である。時代的、社会的要請でもあり、現 在、地域医療や学術推進等の委員会で検討して いただいている。
【提案要旨】
日医の政策決定プロセスについて、最近は担 当役員の個人的な考え方が日医の方針として一 人歩きしているのではないか。日医の組織決定 のプロセス(会内委員会、常任理事会、理事 会、代議員会等)があったのであろうか。
先日の学校医に関する朝日新聞の意見広告で ある。これについては先に近医連として質問状 を出しているが、公告の内容は日医の学校医問 題に係わる人々も含めて検討されたものとは思 えない。執行部のお考えをお伺いしたい。
【羽生田常任理事回答】
10月の朝日新聞の意見広告については、テレ ビ等で小学生の自殺、いじめ等の問題がクロー ズアップされていたということ、たまたま10月 に自殺対策基本法の施行があった関係、また、 5月に子ども支援日本医師会宣言を出した関係 上、こういった時期にタイムリーに出したほう がいいということで、議論したところである。 議論の結果、常任理事会を経ず会長専決として 出した。大きな問題であれば代議員会等で議論 をいただき決めるのが通常の手順であるが、場 合によっては会長の専決事項というのも案件に よってはある。たまたま、この学校保健の意見 広告並びに今回のテレビコマーシャルが広告の 世界では認められてベストファイブに入ったと いうことが雑誌に掲載されている。
1)かかりつけ医の認定について
「かかりつけ医」という言葉は、患者さん の側にたったネーミングと理解しています が、如何ですか。医師の機能を表す言語であ り、ある特定の診療科を意味する言葉ではな い、と第三次学術会議推進会議でも論点整理 した筈です。従って「かかりつけ医」の認定 はなじまないと思います。
仮にもし実現すれば患者さんのフリーアク セスは阻害され、厚生労働省などから待って ましたとばかりに診療科目別の医師数の制 限、開業規制、人頭割りなどが推し進めら れ、地域医療の供給体制に大きな混乱が起こ ることが考えますが、如何ですか。
2)平成18年11月に発表された日の医師確保対 策の中に「認定かかりつけ医」のほか「地域 における開業医の診療科別枠」の設定とか 「開業調整の是非に関する検討」などという 言葉が再三にわたって出て参ります。
これらは我々が長年にわたって築き上げて きた地域医療体制を根底から打ち崩すような 内容に受け取られますが、どういう意図があ るのか会長のご意見を伺いたく存じます。
【唐澤会長回答】
私はこのかかりつけ医という名称は決して賛 成していない。今後、日医認定かかりつけ医制 度というものができそうになるならば、私はその 名称での日本医師会制度ができることには賛成 しない。むしろ日本医学会の制度を補完するよ うないき方を望んでいる。まだ、委員会にお願 いしている最中であるから、どういう形でこれが まとまっていくか分らないし、早急にこれができ るかも分らない。将来の日本医師会に参加する 先生方に示せるよう検討を進めていきたい。
その他
当日は、来年4月に大阪で開催される第27回 日本医学会総会の参加・登録の協力依頼のた め、堀 正二準備委員長が出席され、テーマは 「生命と医療の原点」副題として「いのち、人、 夢」として開催されるので、多くの会員の参加 をお願いしたいとの挨拶があった。
因みに、本年1月9日現在における日本医学 会総会への全国の登録数は4,580 名(沖縄4 名)、過去の総会出席者数を基に、各県別の参 加期待数(全国18,160名、沖縄80名)を作成 しているので、会員への参加登録を推進しても らいたいとのことであった。