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「はたちの献血」キャンペーン月間(1/1〜2/28)について

宮国毅

沖縄県赤十字血液センター 宮国 毅

キャンペーンキャラクターは県出身タレント 新垣結衣さんです。

今年も1月1日から2月28日までの2ヶ月間、 全国一斉に「はたちの献血」キャンペーンが展 開されています。このキャンペーンは、「血漿分 画製剤を含むすべての血液製剤」を国民の献血 により確保する体制を早期に確立することを目 指し、成人式を迎え社会へ第一歩を踏み出そう としている若年層を対象に、献血思想を啓蒙す るため毎年行われているものです。厚生労働 省・都道府県および日本赤十字社が主催し、マ スコミ・報道機関の協力のもとで展開されます。

キャンペーンのパーソナリティは本県出身の タレント新垣結衣(あらがき・ゆい)さんで、「支えようよ。若い力で。」をキャンペーンフレ ーズに、はたちを中心とした若者達へ、献血へ の理解と参加協力を呼びかけています。新垣さ んは、ファッション雑誌のモデルやテレビドラ マ、CMなどで幅広く活躍中ですので、ご記憶 の方も多いことでしょう。弱冠18歳ですが、今 年は映画出演も決定しており、現在最も注目さ れているタレントのひとりです。彼女は血液の 安定確保の将来を担う若年層から高い支持を受 け、若者代表としてはたちの献血キャンペーン を応援していきます。彼女の初々しくも愛らし い笑顔が満開のポスターは、若者から引っ張り だこのため現在品薄ですが、キャンペーン期間 中は献血会場やイベント会場で配布する予定で す。医療機関にも配布しますので、院内で掲示 してください。彼女はポスターに登場するだけ でなく、テレビやラジオでも献血を呼びかけて います。「新垣結衣、はじめての献血」と銘打 って、はじめて体験した献血と、初々しい感想 をCMで表現しています。(日本民間放送連盟 加盟局にて実施中)

二十歳の献血キャンペーンは、今年で33年目 となりますが、県内でも表に示すように各種イ ベントが予定されています。

新垣結衣さん

キャンペーンポスター(新垣結衣さん)

血液製剤の適正使用、とくにFFPの使用量の削減を

輸血後感染症のリスクについては、スクリー ニング検査から核酸増幅検査(PCR)にいたる まで、莫大な投資を行って精密な検査をすすめ てきた結果、血液製剤自体の安全性について は、もう限りなくリスクが0に近くなるまで低 下しています。HCV、HIVについては、もうほとんど評価できるほどのリスクは存在しません し、HBV感染についても、35〜45万本の輸血 に対して1件の割合でしか、感染は起こりませ ん。しかしながら、マラリア、西ナイル熱、シ ャーガス病など、旅行者が持ち込んでくる輸入 感染症については、未だにスクリーニング検査 ができないものもあります。一方、輸血の際の 免疫反応による副作用については、GVHD な ど一部は技術の進歩で問題が解決したものの、 白血球による非溶血性輸血反応やアナフィラキ シー反応、TRALI(輸血関連急性肺障害)等の 問題は、未だに解決されておりません。つまる ところ、輸血医療のリスクを0にすることは将 来的にも不可能であり、輸血は補充療法に過ぎ ないことから、今後とも輸血の適応について は、十分に検討の上、不必要な輸血をさけるよ うお願いします。

わが県の赤血球製剤と血小板製剤の使用量 は、全国的に見て平均的水準にあります。しか し、従来から是正勧告を受けております新鮮凍 結血漿(FFP)の使用量は依然として高い水準 にあるので、今後は輸血医療を日常的に行って いる医療機関においては、とくにFFPの使用 (凝固因子の補充のみが適応です)について、適応外の使用の内容をチェックできる管理体制 (輸血管理室の設置と責任医師の任命)の構築 が望まれます。行政側の推進している「血液製 剤の使用適正化事業」とは新鮮凍結血漿等の使 用を他の先進国並みに抑えることによって、血 漿分画製剤を含む全ての血液製剤の国内需要を 国民の献血でまかなえる状態にするのが最終的 な目標であります。国内自給を達成するために は、若者への献血の呼びかけと同時に、医療現 場での適正使用の徹底によるFFP使用量の削減 が必須ですので、ユーザーである臨床医のご協 力を宜しくお願いいたします。

血液センター一日所長による献血(パレットくもじ献血ルーム)