沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

平成18年度(第28回)九州各県・政令指定都市保健
医療福祉主管部局長及び九州各県医師会長合同会議

会長 宮城 信雄

みだし合同会議が去る10月27日(金)午後4 時から門司港ホテルで福岡県医師会の担当によ り開催された。

同合同会議は、九州管内における保健・医 療・福祉に関わる諸問題について、行政と医師 会が意見交換を行う場として年1回開催されて おり、当日は議事として4題提案された。

はじめに主催者(医師会)を代表して嶋津義 久九州医師会連合会長より「保健・医療・福祉 の展開に当たっては保健・医療・福祉を提供す る側と行政とが膝を交えて連携を取りながら進 めていくべきであるが、九州各県の関係者が一 堂に集まって会議をするチャンスは極めて少な い。本日は提出された4題について十分にご審 議いただき実り多い会議になるようお願いした い。」との挨拶があり、引き続いて開催地を代 表して末吉興一北九州市長(代読)、来賓とし て出席した松嶋賢厚生労働省九州厚生局長よ りそれぞれ挨拶が述べられた。

座長に地元開催県の横倉義武福岡県医師会長 を選出し、議事が進められたので概要について 報告する。

議 事

(1)九州・山口各県の災害時医療救護 支援体制整備の進捗状況について (佐賀県医師会)

【提案要旨】

昨年(平成17年10月)の合同会議で提案し たが、前回会議では医師会を加えた相互支援体 制の整備に当たっては、指揮命令系統、救護班 の身分、経費負担、情報の共有化など整理すべ き課題があり、又、各県・政令市の整備状況が異なる部分もあることから、まずは各県におい て行政、医師会で調整、協議を行い、その上 で、同合同会議などで必要事項を討議していく ことになった。各県で調整、協議が行われてい ると伺っているので進捗状況についてご説明を お願いしたい。

【各県の状況】

はじめに、「九州・山口9県災害時相互応援 協定」に基く、平成18年度行政側の幹事県で ある長崎県より行政側の取り組み状況について 次のとおり説明があった。

災害時に医師会の救護班にご協力いただくた めには、その位置づけ、補償について検討すべ き問題がある。又、この協定の見直しを進める ためには、災害時への対応について県行政と医 師会で協定が締結されている県と、未だ締結さ れてないところがある。又、内容も同一ではな いので検討して協定に反映させていかなければ ならない。

今般、各県の意向に配慮しながら『九州・山 口9県災害時相互応援の見直し案』をたたき台 として作成し、九州各県の主管課長に対し9月 29日付けで検討依頼のため文書を送付した。そ の中で医師会医療救護班の県外へ派遣ができる よう条項も新たに設けている。今後、各県にお ける見直し案についての各県医師会との協議を 受けて、実施細目について検討をして参りた い。

上記の説明を受けて協議した結果、長崎県で 作成した見直し案を基に各県で協議を行い、で きれば今年度中に締結できるように作業を進め ていくことになった。

(2)ジェネリック医薬品の取り扱い実 態(福岡県医師会)

【提案要旨】

国は、4 月1 日から処方箋様式を変更して、 ジェネリック医薬品の使用を促進している。各 県医師会のジェネリック医薬品への対応実態と それに対する考え方をお教えいただきたい。

【各県の状況】

ジェネリック医薬品については、各県医師会 ともその実態は把握しておらず、特別な施策、 取り組みは行っていない。問題点として安定供 給、品質管理、効果効能、安全性や適応疾患の 非一致等があり、医師それぞれの自主性に任せ ているのが現状である。

熊本県医師会からは、熊本県薬剤師会の取り 組みとして平成16年から1年2ケ月に亘りジェ ネリック薬品の63品目について、いろんな観点 から点数化し薬剤師会として順位をつけ、これ を毎年見直しを行い多角的にデータを集積して いる事例が紹介された。

又、薬剤は医師の処方箋に基くものである が、処方名とは違う薬が出されている実態が出 てきていることについて、情報がフィードバッ クされないことにより医師側に責任が転化され ることが危惧されるとして、所管の社会保険事 務局にも行政側からも話をしてもらいたいとの 要望があった。

横倉座長から、各県より出された問題点も含 めて医師が不安をもっていることが、簡単に進 まない理由ではないかと思う。行政もそのよう な問題があることをよくご承知おきいただきた いとのコメントがあった。

(3)特定健診・特定保健指導について (福岡県医師会)

【提案要旨】

平成20年度よりメタボリックシンドロームに 着目した生活習慣病予防のための健診・保健指 導が実施されることになっているが、指導プロ グラムをみると、我々の日常の診療とは違うと ころで健診、保健指導が行われようとしているのではないかと思われる。この健診・保健指導 (特に保健指導)への医師会のかかわりについ てどのような考えかお伺いしたい。

【各県の状況】

各県行政とも、今後保険者が実施する特定健 診・特定保健指導については、専門的な知識を 有する医師会の協力なしには適切な事業の実施 は困難であるとして、同制度の実施について は、医師会との協力、連携のもとで進めていき たいということが示されている。

協議の中では、同事業を推進する上で「保険 者協議会」と「地域・職域連携推進協議会」の 二つがあるが、健診事業で経験があるのは医師 会であり、県民の健康を守る観点からも会議に はオブザーバー参加ではなく、正式な委員とし て参加できるようにしてもらいたいとの要望が あった。

又、医療費適正化計画ができ、同健診事業は 長期的な適正化計画の一環であると言われてい る。この事業を実施することにより本当に医療 費を削減できるのか。又、この事業を実施する ことによりデータでは6兆円を投入しないとい けないとも言われているが、本当に有効なのか 教えていただきたいとの質問があった。

本件については、井石長崎県医師会長より、 医療経済をやっている方も異口同音にこの事業 によって医療費削減ということは言えないとの ことである。財政上の問題ではなく、健診事業 というのは広く国民にアピールして実績を上げ なければいけない。現実は受診率が非常に低率 であり、我々が実施している健診事業にしても 不十分だということであり、この事業を実施し て健診の実を上げることが大事である。医療費 削減の問題はさておき、医師会として本来の事 業に資するべきであるとの説明があった。

横倉座長から、今回の行政側からの回答で は、この健診・保健指導の事業は医師会と連携 しなければ推進できないとのことであり、中央 にもそのような声を上げていただきたいとのコ メントがあった。

(4)療養病床再編問題に関わる行政の 取り組み、特に患者の受け入れ体制 の確保と病床の転換について (福岡県医師会)

【提案要旨】

今般の療養病床の見直しにより、介護療養病 床は全面廃止となり、全体の6割の療養病床が 削減され、介護施設や医療療養病床への転換あ るいは廃止が求められている。

―― 日医「療養病床の再編に関する緊急調 査」報告について 概要説明 ――

病床を転換することは決して容易なことでは ないが、医療難民・介護難民の発生が現実のも のとなりつつある今、早急に受入れ体制確保の ためにも介護施設等への病床転換はスムーズに 行わなければならない。

下記について、各県のご意見・状況をお伺い したい。

1)地域医療計画と介護保険事業計画・高齢者 保健福祉計画の整合性、施設整備については 如何に検討されているのか。

2)転換について、転換しようとする施設が所 在する圏域内で行うこととなっているが、既 に介護施設が充足している地域であっても転 換を認めるのか。

3)不幸にも医療難民・介護難民が現実のもの となった場合には、どのような対応を検討さ れているのか。

4)国は転換に際し、あくまでも予算内に限る としている。(1床当たり創設100万円、改築 120万円、改修50万円交付)国の予算を上回る数の病床転換の申請があった場合、県や政 令指定都市で独自に何らかの対応を検討され ているのか。

各県の状況として、1)は、各県とも、国が策 定する「地域ケア整備指針」等を踏まえ、「地 域ケア整備構想」を策定することになっている ことから、各計画と相互に整合性を持たせて進 めていくこととしている。

2)は、各県によって若干対応がことなるが、 大半は地域整備構想を勘案しながら検討してい くことにしている。本県(沖縄)は、第3期介 護保険事業期間においては、現計画の範囲内で 対応することとし、療養病床の転換に対応する ための施設整備は、平成21年度からの第4期介 護保険事業計画で必要なサービスの確保策につ いて検討することになっている。

3)は、概ね地域ケア体制の整備を計画的に推 進し、介護難民が発生しないような方策が検討 されている。本県においては、地域ケア整備構 想の策定にあたって医療計画との整合性を図 り、患者の状態に応じた医療や介護サービスの 確保ができるように努めていくこととしている。

4)は、各県並びに政令指定都市とも国の予算 を上回る数の病床転換の申請について独自の対 応は考えていない。

次回開催地の選定

次回は福岡市(行政)の担当となり、福岡市 の竹中保健医療部長より次回開催地の挨拶があ った。