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第37回全国学校保健・学校医大会

理事 野原 薫

会場風景

会場風景

去る11月11日(土)島根県ホテル一畑にて標 記大会が開催された。本県から、宮城会長、高 良聡子先生、私(野原)、事務局が参加したの で、その概要を報告する。

○第1分科会「からだ」(10:00〜12:00)

1.愛知県の高等学校心臓検診におけ る二次検査実態調査報告

愛知県医師会学校保健部会学校保健健診委 員会委員の纐纈先生より、愛知県の高等学校心 臓健診における二次検査実態調査について報告 があった。

愛知県では、昭和47年より本格的に学校心 臓検診が実施されており、昭和58年より学校 保健部会に心臓検診委員会を設置、昭和59年 より愛知県心電図検診委員会を設置し、以後 20年余にわたり心臓検診の様々な課題に取り組 んでいると報告があった。

また、愛知県では平成2年度より毎年二次検査 実態調査を実施しており、当調査結果から、一 次検査が的確に実施、判断されることも重要で あるが、二次検査が的確に施行され的確な疾患 の拾い上げからより良い治療、生活の指導まで に至ることが検診の重要な目的であると意見さ れ、二次検査の実態調査の重要性が説明された。

2.高校1年生から2年生の同一人の循 環器疾患危険因子の変化に関する研究

和歌山県日高医師会学校医部会委員の大谷 和正先生より、高校1年生から2年生の同一人 の循環器疾患危険因子の変化に関する研究につ いて報告があった。

本研究は、日高管内の高校2年生を対象に健 康診査を実施し、前年受診者の循環器疾患危険 因子が1年前とどのように変化しているかを調 査したものであると説明があり、調査結果について報告があった。

調査結果では、肥満度、総コレステロール、 HDLコレステロールは非常に強い相関を示し、 収縮期血圧、中性脂肪、空腹時血統は正の相関 があるものの若干ばらつきが大きい結果となっ た等の報告がなされた。

3.多摩市における小児生活習慣病予 防健診18年目の考察

東京都多摩市医師会学校保健担当理事の前 原幸治先生より、多摩市における小児生活習慣 病予防健診18年目の考察として報告があった。

多摩市では、昭和63年度より健診事業が開 始され、平成17年度より財団法人東京都予防 医学協会の提唱する新しいシステムを取り入れ た検診を実施していると報告があった。

新しいシステムではHDLコレステロールと LDLコレステロールが検査項目に追加され、家 族歴・中性脂肪・動脈硬化指数の健診項目を除 外するとともに二次健診を廃止したことにより、 肥満ばかりではなく痩身についての判定の追 加、学校現場の負担の軽減、脂質検査のより正 確化、経費の削減等が図られたと報告された。

4.小・中学校の食についてのアンケー ト調査

山梨県医師会の島田和哉先生より、小・中学 校の食についてのアンケート調査について報告 があった。

山梨県の学校保健会では、本年度、生徒並び に保護者が食についてどのような考え方をもっ ているかについてアンケート調査を行なってお り、その結果として、家庭で子供に食べ物の大 切さを教えていると回答した家庭が全体の90% を超えていた点や、食の安全について感心が高 まっている点等について報告があった。

最後に、食の安全については様々な問題があ り、これらを解決するためには各方面の理解が 必要であるとともに、家庭においても、より良 い食事を摂るために食の重要さを家族のなかで 考える機会が大切であると意見された。

5.秋田市小中学校児童生徒の小児肥 満症の実態

秋田県医師会の小松和男先生より、秋田市小 中学校児童生徒の小児肥満症の実態について報 告があった。

秋田市小児科医会では1989年から経年的に 肥満調査が行なわれており、その調査結果とし て、肥満度20%以上を示した小中学校児童生 徒が精密検査を受診する率は高学年につれて低 下傾向にあること、相関係数では、尿酸と腹 囲、空腹時インスリンと腹囲が比較的高い相関 係数を示していたこと等が説明された。また、 小児肥満症判定基準で6点以上を呈し、医学的 関与が必要な小児肥満症の児童生徒は約51% にも上り、学年別では中学3年生が約77%と最 も多かったことが報告された。

6.小学4年生の通学方法・通学時間と 肥満の関係について

高松市医師会小児生活習慣病予防検討委員 会委員の眞壁正博先生より、小学4年生の通学 方法、通学時間と肥満の関係について報告があ った。

高松市では、平成17年度に検診に伴い保護 者に生活習慣アンケートを実施しており、その 内の通学方法、通学時間、放課後の過ごし方に ついて報告があった。

通学方法、通学時間、放課後の使用方法、性 別による検討ではPOW(percent of weight) の有意差は認められなかったが、放課後の使用 方法の検討では、部屋の中で遊ぶ群に肥満が高 頻度に認められた点や、また通学時間を検討し た結果、男女別では放課後部屋の中で遊ぶ男子 において通学時間10分未満の児童の肥満出現 率が29.2%と高値で有意にそのPOWも高値で あったが、女子においては通学時間とPOWの 差は認められなかったことが報告され、このこ とからも男女別に肥満指導を行なう際にはその 背景等を詳しく調査し、それに基づく指導が必 要であることが意見された。

7.兵庫県川西内小学校における小児 生活習慣病予防検診事業について (第2報)

兵庫県川西市医師会の上月清司先生より、兵 庫県川西市内小学校における小児生活習慣病予 防検診事業について報告があった。

兵庫県川西市では、毎年7月に小学校4年生 を対象とした生活習慣等についての調査を行な っており、その結果として、家族歴の20 〜 25%に糖尿病がみられたこと、+20%以上の 肥満は約7〜9%にみられたこと、医学的検査 を要するA群、生活習慣と食生活の改善を要す るB群の割合が70%以上に認められたことが報 告された。

調査結果から、今後、学校、医師会、行政の 協力した検診システムの必要性の再認について 述べられるとともに、今後のフォローアップの 体制作りの重要性についても意見された。

8.徳島県における生活習慣病予防対 策委員会の試み

徳島県医師会生活習慣病予防対策委員会副 委員長の中堀豊先生より、徳島県における生活 習慣病予防対策委員会の試みについて報告があ った。

徳島県は、周辺の県に比べ学校保健統計にお ける学年ごとの肥満児が多く、その実態調査を 目的に、平成12年度より体格調査、生活習慣 調査等を行なっていることが報告され、その結 果から、平成14、15年度に比べ、平成16年、 17年度には明らかな体格指標の改善、高度肥満 児の減少がみられたが、徳島県の目指す在宅栄 養士を利用した“かかりつけ医”による肥満児 の指導をなかなか軌道に乗せられていないこと 等について報告があり、今後予想される体格の リバウンド現象をどのように回避するかが課題 であると意見された。

9.中学生の運動能力と骨量および生 活習慣との関係についての検討

千葉市健康スポーツ医学研究委員の中村眞人 先生より、中学生の運動能力と骨量および生活習 慣との関係についての検討として報告があった。

千葉市では、最近子供の運動時の外傷、特に 骨折が増えていることに鑑み、中学生の運動能 力と骨量、肥満、生活習慣との関係について調 査を行なっており、その結果として、最近の骨 折の原因については、骨形成の低下や敏捷性の 低下などが予測される旨の研究結果もみられる が、千葉市の調査からはそのような結果はみら れなかったと報告があり、強いて原因を探せ ば、夜型生活とそれに伴う睡眠不足による運動 パフォーマンスの低下、部分的な骨形成の遅 延、以前は鬼ごっこに代表される外遊びのなか で養われた種々の敏捷性や生きる知恵の喪失で はないだろうかと説明があった。調査結果か ら、今後、学校専門相談医としての整形外科医 の必要性について意見された。

○第2分科会「こころ」、第3分科会「耳鼻咽喉 科」、第4分科会「眼科」については、詳細を省 略いたします。

○都道府県医師会連絡会議(12:00〜13:00)

島根県医師会の中島雪夫会長の挨拶の後、本 大会の運営及び次期担当都道府県医師会につい て協議を行った結果、次期担当県に香川県医師 会が決定した。

○開会式・表彰式(13:00〜14:00)

島根県医師会副会長、第37 回全国学校保 健・学校医大会実行委員会顧問の沖田瑛一先 生より開会が宣言され、次いで、島根県医師会 の中島雪夫会長並びに日本医師会の唐澤人会 長より挨拶が述べられた。

引き続き、日本医師会の唐澤人会長より、 学校医9名、養護教諭9名、学校栄養士7名に対し 学校保健活動の功績を称え表彰状が授与された。

○シンポジウム(14:00〜15:30)

「学校医による健康教育の実践」をメインテ ーマに、島根県医師会常任理事の葛尾信弘先 生、並びに、島根県医師会学校医部会常任理事 の羽根田紀幸先生の座長のもとシンポジウムが 行なわれた。

1.学校医活動と運動器検診の島根県 の現状

島根県医師会学校医部会副部会長の秦正先 生より、学校医活動と運動器検診の島根県の現 状について報告があった。

はじめに、心の健康、生活習慣病予防、喫 煙、飲酒、薬物乱用、性の逸脱行動、感染症の 新たな問題等、現代的課題への対応を考える上 で、学校医が関わる健康教育が果たす役割は大 きいとの意見があり、島根県では、今後の学校 医活動における健康教育のあり方を考える基礎 資料とすることを目的に、島根県医師会学校医 部会会員356名を対象に、学校健診への取り組 み状況について調査を行なった旨報告があり、 その調査結果について説明があった。

当調査の回収率は96.9%となっており、内 76.4%が内科、小児科系の学校医となってい る。調査結果より、胸郭、脊柱の視診は約 70%ないしはそれ以上実施されているが、側弯 症では50%以下しか実施されておらず、また、 四肢、骨関節の可動域、可動性、弛緩性及び内 反足、外反偏平足ではさらに低く約35%程度 しか実施されていないことが報告された。実施 されていない理由としては、学校医の大部分は 内科、小児科系医師のため運動器健診に不慣れ であり、加えて時間的制約が障害となっている こと等が挙げられ、今後このような現状を克服 するためには「運動器の10年」の世界運動と連 動し、内科系学校医に運動器検診マニュアルを 示す必要性とともに、学校医が運動器疾患を短 時間で効率よくスクリーニングできる体制の確 立や、スクリーニング後の整形外科医による要 検診者への適切な指導・治療体制の構築が急務 であると意見された。

2.学校・地域保健連携推進事業にお ける産婦人科専門医のかかわり

松江生協病院女性診療科部長・島根県健康 相談活動アドバイザーの河野美江先生より、学 校・地域保健連携推進事業における産婦人科専 門医のかかわりについて報告があった。

島根県では、平成16年度より文部科学省の 委嘱により「学校・地域保健連携推進事業」が 実施されており、平成17年度より、児童生徒 の多様化する健康問題に対応することを目的 に、精神科医4名、産婦人科医3名、小児科医5 名、整形外科医1名、皮膚科医1名が、健康健 康相談活動アドバイザーとして委嘱されている 旨が報告された。

平成17年度において産婦人科医として関わ った相談は24件(141件中)となっており、相 談内容は、元から河野先生の外来を受診してい た生徒について本人と家族の許可を得た上で、 学校側に治療方針を説明し、学校・家族の連 携、今後の対応について話し合ったもの、性感 染症や妊娠の兆候があり、生徒が困って養護教 諭に相談し、養護教諭から今後の対応について 相談されたものの2通りになっていると説明さ れた。

その他、性教育講演会のあり方についても報 告があり、学校現場における性教育は、学校の 実情を把握するために教員と打合せを重ね、学 校に気になる問題(携帯電話の使用方法や男女 交際等)があればその話題を取り上げ、現在問 題がなく年齢に比して幼い子どもが多い場合は 子どもたちが傷つかないよう配慮する必要があ ると説明された。また、性的逸脱行動をとる生 徒は集団での講演には出てこない場合も多く、 小グループでの個別指導を行なう必要性につい ても示された。

3.小学校の総合学習でのエイズ教育 に関わった学校医の経験

松本医院の松本祐二先生より、小学校の総合 学習でのエイズ教育に関わった学校医の経験と して報告があった。

松本先生が学校医を務める島根県益田市立西 益田小学校は、平成11年度より文化省指定エ イズ教育(性教育)推進地域事業の指定校とな り、様々なエイズ教育が実施されている旨が報 告された。ここ数年、性教育に関しては様々な 方面からバッシングがあり避けて通ろうとする 風潮が目にとまるように感じられると意見があ り、個人的には「寝ている子は必ず起きる、起 きたときに間違いだらけの偏見に満ち満ちた世 界で目覚めさせるのか?それとも体の発育・発 達、性感染症の実態や性に関わる問題を適切な カリキュラムの元で教えながら起こすのか?」 と考える。また、「教えておけば防げた不幸を、 現実の話にしないための努力を、敢えてしない のはそのこと自体が不幸である」と考えると意 見された。

4.生活習慣病予防健診−高脂血症対 策モデルから出発した実践

浜田市立幼稚園・小中学校医の小池茂之先 生より、生活習慣病予防健診について報告があ った。

浜田市では、昭和60年に地域の子どもたち の食の西欧化による身体への影響を知るため、 浜田市内の小学校1年生、小学校4年生、中学 校1年生を対象に動脈硬化危険因子のパイロッ ト調査が行なわれ、結果、血清コレステロール 値がかなり高いことが判明したことから、健診 システム、事後対応のデザインづくりを開始し たと報告があり、そのシステム内容等について 説明があった。

システムづくりは、「学校保健活動を中心に 地域ぐるみで血清コレステロールの山を動かそ う」をスローガンに、血清コレステロール値が 高い子どもへの介入(ハイリスク介入)と、数 からいえば圧倒的に多い境界値への介入(集団 介入)(ヒストグラムの山を左方に動かす)を 組み合わせることで行なわれていると説明があ り、対象者全員共通の一次介入として医学的情 報の提供等、各学校における二次介入として学 校と家庭の連携等、個別対応による介入等の内容が報告された。

介入により高LDLコレステロール出現率は減 少傾向となったことが報告され、介入の有効性 等が示された。

<特別発言>

運動器の検診体制の整備・充実を

東京大学大学院身体教育学講座教授、日本 医師会学校保健委員会委員の武藤芳照先生よ り、運動器の検診体制の整備、充実について発 言があった。

現在、児童・生徒の運動器疾患とくにスポー ツに伴う骨軟骨障害が多発しており、また一 方、児童・生徒の体力、運動能力の低下傾向が 続き、運動の過多と過少の二極化現象により、 児童・生徒の健全な運動器の発育、発達が阻害 されつつあるが、「骨・関節の異常および四肢 の状態」の検診については、全国共通の実施基 準、マニュアルが整備されていないとの報告が あり、運動器検診は、運動器疾患、特に骨軟骨 の障害の早期発見に有効であり、適切な保存療 法を実施することにより形態的、機能的に修復 が可能となることから、健全な運動器の発育、 発達を促し、体力・運動能力の向上に結びつけ るための運動器検診の体制整備、充実の必要性 について発言された。

○特別講演

池田雅之氏(早稲田大学大学院教授・同国 際言語文化研究所所長)より、「小泉八雲と松 江〜ユートピアとしての松江〜」と題して、小 泉八雲が日本で滞在した14年間のうち1年3ヶ 月余りしか滞在しなかった松江時代が、とりわ けわれわれの関心を引くのは何故なのか、八雲 と松江のつながりを中心に講演があった。

池田氏は、「小泉八雲は、1890年(明治23年) に来日し、1904年(明治37年)に没するまで日 本を離れることがなかった。八雲が日本の第一 印象を語った著書[東洋の第一日目]では、初 期の八雲がいかに夢見心地の状態で日本の“永 遠のヴィジョン”を捉えようと筆を走らせていたかがわかる。また、晩年の作品「怪談」の中 にも八雲が出雲への回帰を描いているように私 は読める。私たちは、八雲の多くの作品から閑 寂な自然の平和なやすらいと十六世紀の夢のか ずかずが、ふかぶかとこもり住んでいる、松江 や出雲の神々や地霊といったものを感じ取ることができる。すなわち松江や出雲の神々や地霊 は、八雲の文章のいたる所に宿り給うのである。」 と、八雲作品には松江が深く関わっていると講 演された。

○閉会

印象記

野原薫

理事 野原 薫

第37回全国学校保健・学校医大会が島根県松江市で11月11日に開催されました。

第1分科会「からだ」では9題の演題がありましたが、1題が心臓検診、1題が食育、残り7題は 小児生活習慣病についての演題でした。学校保健でも全国的に肥満が問題となってきており、こ のことが演題の数に反映されています。ただ、内容については特に目新しいものはなく、まだま だ試行錯誤状態のようでした。このような問題は地区医師会レベルでできるものではないので、 文科省又は日本医師会レベルで肥満対策のマニュアルを作成し、トップダウン方式で普及させる 方が良いと思います。肥満対策は一朝一夕でできるものではありません。

シンポジウムは「学校医による健康教育の実践」をテーマに行われましたが、これも一部の熱 心で専門的知識を持った学校医が行っているのが現状で、ごく一般的な学校医が行うのは困難な ように思われました。健康教育も文科省又は日本医師会レベルで教科書を作成し、養護教諭が教 育するのが合理的だと思いました。

特別講演は早稲田大学の池田雅之教授の「小泉八雲と松江」で、今回の大会で最も有意義な講 演でした。小泉八雲は1890年に来日し、松江中学校へ一英語教師として赴任し、1年3ヶ月滞在 し、松江や出雲について多くの作品を発表しています。八雲にとって松江は異端の神々が住み給 う聖なる都で、日本の精神文化の象徴として捉え、美しい風景、美しい心根、美しい道徳がある 松江をユートピアに見立てていると話されていました。講演には八雲の曾孫の島根女子短期大学 小泉凡助教授をコメンテーターとして、八雲作品の発音の美しさから口承文化の継承の意味を述 べられていました。私自身、沖縄とは文化の異なる松江を羨ましく思うと同時に、現在の学校教 育で求められている道徳教育の原点が松江にあるように感じました。


印象記

学校医部会常務理事 高良 聰子
(たから小児科医院)

11月11日、第37回全国学校保健、学校医大会が松江市で開催された。私は全国大会も松江も 初めてであった。

「立ち上がれ学校医!! 未来を担う子供達の健康を守ろう」のメインテーマで、午前は、から だ、こころ、耳鼻科、眼科の4分科会が行われた。私はこころの分科会へ参加した。9題の報告が あった。「小学生による赤ちゃんふれあい体験学習」はとてもよい試みと思われた。胎児エコー、 腹部触診、新生児、3月健診と一連の流れを見せ、命の誕生や尊さを実感させられる内容であっ た。その準備や実行に関係者は多大なエネルギーを要したものと感心させられたが、産科医不足 の昨今の事情から来年より中止になるとのことである。その他、高学年女子の健診時のプライバ シー対応、ストレスチェックの調査で年々ストレス感が増加していること、メンタルヘルス推進 活動では各学校のニーズに合わせた活動が必要であることなどが報告された。

学校医の役割も体から心の面へウェートが移動しており、今後の役割については大きな課題と なろう。喫煙防止教育について2題と思春期の抑うつ症状についての報告があった。

どれも地味だが持続してやらねばならないことで、各地の苦労と努力がうかがえた。

今、大問題になっている学校内のいじめや自殺、体罰、虐待などの報告がなかったのは残念で あった。

午後からは『学校医による健康教育の実践』のシンポジウムと御当地の小泉八雲について講演 があった。誰が悪いのか、あいにくの雨模様で絶景といわれる宍道湖の夕日はみられなかった。松 江はもう一度ゆっくり訪れたい街であった。