沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
小児循環器 中矢代 真美
厚生労働省では、平成11年度より、11月を 乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間と 定め、乳幼児突然死症候群(SIDS)に対する 社会的関心の喚起を図るとともに、重点的な普 及啓発活動を実施しています。
平成18年度においても同様に、11月を対策 強化月間として、関係行政機関、関係団体等に おいて各種の普及啓発活動を行うなど、乳幼児 突然死症候群(SIDS)の予防に関する取組の 推進を予定しています。
<主な取組>
・「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガ イドライン」(平成17年4月公表)の内容の 周知・普及。
・「健やか親子21」国民運動における全国的な 啓発活動の展開。
・関係行政機関、関係団体等を通じて、医療機 関等に対し、「乳幼児突然死症候群(SIDS) に関するガイドライン」の内容を参考とし、 検案を行う際は、乳幼児突然死症候群 (SIDS)と虐待又は窒息事故とを鑑別するた めにも、的確な対応を行うこと、必要に応 じ、保護者に対し乳幼児の解剖を受けること を勧めることを依頼。
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)はそれまで元気だった赤ち ゃんが特に原因もないのに、眠っている間に突 然死亡してしまう病気です。
日本における乳幼児症候群の志望者数の推移 のグラフを以下に示します。
次第に減少傾向を見せているとはいえ、まだ 平成16年で232人もの赤ちゃんがSIDSで亡くなっているのです。
原因は不明ですが、以下の点に留意すること でSIDSの発症率が低下できることが研究で分 かっています。
(1)赤ちゃんを寝かせるときは、あおむけ寝に しましょう。
うつぶせに寝かせたときの方が、あおむけ 寝の場合に比べて乳幼児突然死症候群 (SIDS)の発症率が高いということがわかっ ています。うつぶせ寝が乳幼児突然死症候群 (SIDS)を引き起こすものではありませんが、 医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられてい る場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむ けに寝かせるようにしましょう。
(2)妊娠中や赤ちゃんの周囲で、たばこを吸わ ないようにしましょう。
たばこは、乳幼児突然死症候群(SIDS) 発症の大きな危険因子です。妊婦自身の喫煙 はもちろんのこと、妊婦や赤ちゃんのそばで の喫煙もよくありません。妊娠したらたばこ はやめましょう。
(3)できるだけ母乳で育てましょう。
母乳による育児が赤ちゃんにとって最適で あることは良く知られています。人工乳が乳 幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こすも のではありませんが、できるだけ母乳で育て るようにしましょう。
平成17年4月、厚生労働科学研究(子ども家 庭総合研究事業)「乳幼児突然死症候群(SIDS) の診断のためのガイドライン作成およびその予 防と発症率軽減に関する研究」(主任研究者: 坂上正道北里大学名誉教授)において、乳幼児 症候群(SIDS)の定義および診断に関しての 留意事項を明確にした「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドライン」を公表されま した。
最大のポイントは、平成17年までの乳幼児突 然死症候群は剖検されていないケースも混在し ていましたが、平成17年以後は剖検でほかの疾 患を除外されたケースのみ診断名を付けられる ことになります。
詳しくはホームページを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0418-1.html
概要
I.乳幼児突然死症候群(SIDS)の定義
それまでの健康状態および既往歴からその死 亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解 剖検査によってもその原因が同定されない、原 則として1歳未満の児に突然の死をもたらした 症候群
II.診断に際しての留意事項
1.乳幼児突然死症候群(SIDS)は原則として 新生児期を含めて1歳未満とする。
2.乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断は剖検 に基づいて行い、解剖がなされない場合お よび死亡状況調査が実施されない場合は、 死亡診断書(死体検案書)の分類は「不詳」 とする。
3.乳幼児突然死症候群(SIDS)は一つの疾患 単位であり、その診断のためには乳幼児突 然死症候群(SIDS)以外の疾患および窒息 や虐待などの外因死との鑑別診断が重要で ある。
4.外因死の診断には死亡現場の状況および法 医学的な証拠を必要とする。また、虐待等 意図的な窒息死は鑑別が困難な場合があり、 慎重に診断する必要がある。