常任理事 真栄田 篤彦
会場風景
去る9月13日(水)、沖縄ハーバービューホ テルにおいて、標記会議が開催されたので、そ の概要について報告する。
開会にあたり、宮城信雄会長から次のとおり 挨拶があった。
第1回の開催時にもお話したように、各地区 医師会の活動が活発かつ元気でなければ、支え られている県医師会の活動も上手くいかない。 地区で起こっている問題、あるいは本会の問題 を沖縄県にあげて交渉する際にも、各地区医師 会と県医師会の緊密な連携が重要と考え、地区 医師会長会議の定期的開催を提案している。
さて、医療制度関連法案が6月14日に参議院 を通過し成立している。中身については先生方 もすでにご存知だと思うが、療養病床について は、一般と介護を合わせた38万床を一気に6割 カットする方針を出している。38万床の内23万床をカットするということだ が、このように数字をあげてきたのは初めてで はないかと思う。
国は、統計調査を行った結果、現在入院中の 患者の内、医療の必要性がない6割の患者の病 床をカットするという方針を打ち出している が、はじめから6割カットという方針があって それに数値を合わせているだけにすぎない。ど ういう形で6割カットするのかというと、診療 報酬の中で医療区分に相当するものは介護療養 病床より、あるいは老健やそういった施設より 診療報酬の点数を低くするということにより、 病院の中で療養病床を持っていても経営的に成 り立たない方向に向かわせようとしている。一 般病床については殆ど何も触れずに、在院日数 を減らすと共に看護師の配置を10:1から7: 1に変更しただけである。
これが何を意味するのかというと、7:1看護 の場合は看護師の数を一気に増やさないといけ なくなる。在院日数についても今後どんどん短 縮されることが予想されるため、だまっていて も病院側は一般病床を削減する方向に向かうこ とになる。つい最近のメディファクスを見て も、厚生労働省の宮島俊彦総括審議官は、はっ きりと一般病床を25%カットすることが出来る との見解を示している。私も前々から、そのま ま放っておけば、一般病床も90万床から40〜 50万床に減るだろうと言ってきたが、国も正式 にその方向性を出してきている。外国に比べて 在院日数が非常に長いため日本の医療費はかか っているとされているが、実際にはそうではな く、病床数が多いから医療費がかかっているた め、病床数をカットすれば医療費が抑制できる とはっきりとその方向性を出してきている。4 月の診療報酬改定の中では、眼科、整形外科、 透析という特定の科の診療報酬が約2桁カット されている。外来に関しては、微調整が今後も 行われると思うが、医療費の抑制というのは恐 らく入院医療費に向かっていくものと思う。し かし、そういう形で診療報酬を抑制し点数を切 り下げるだけでは、財務省が言っている医療費 の抑制にはならない。厚労省は医療費の将来予 測をたてており、2025年には56兆円になるか ら、医療費抑制をして48兆円に抑制する考え だが、点数を減らすだけではとてもじゃないが 抑制できない。そういう意味で色んな医療費を 抑制するための方針を出してきている。生活習 慣病の予防、特に糖尿病患者を25%削減する として、健診を義務づける方針を打ち出してい る。今後、具体的に各都道府県において実行さ れてくるものと思われる。今まで健診活動は健 康増進課のような住民の健康を守る立場にある 所が担っていたが、これからは保険者が健診を やることを義務づけるようになる。そのため各 市町村は国保課が健診を担当するということに なってくる。
それと同時に医療制度改革の中で、保険者機 能を各都道府県単位で再編・統合していくとの方針が出されている。具体的に言えば沖縄県が 国保、政府管掌保険などを独自に運営するとい うことである。そのため、保険者協議会という ものが既にできており、そこが恐らく一本化し た医療保険を担当する可能性がある。県は健康 おきなわ2010推進県民会議の中で保険者協議 会を取り組んだ形で、新たな役割を県民推進会 議に機能を付加するということを言っている。 地域保健と社会保険のデータを一緒にして、健 康活動をやっていくという話を出しているが、 これも保険者機能の統合に進んでいくだろうと いうことである。そういう意味では、沖縄県医 師会の果たしていく役割というのは非常に大き くなると同時に保健活動における各自治体との 交渉という点では、各地区医師会も力を発揮し ていかなければ医療活動はきちんと出来なくな る可能性がある。そういう意味で、地区の先生 方もこの制度の動きをきちんと見ながら、誤っ た方向に行かないよう是非、関心をもって頂き たい。県医師会としても先頭に立ってやってい きたいと思っている。
以上の挨拶の後、引き続き、宮城会長の進行 で協議が行われた。
議 題
真栄田常任理事より資料1に基づき、本会に おける年間170回を数える諸会議(理事会、代 議員会、各種委員会)の開催日のスムーズな日 程確保のため、各地区医師会の理事会開催曜日 を中部、那覇市の2地区が開催している第2・4 金曜日に統一する方向でご協力頂きたい旨の提 案があった。
以上の説明を受けて協議を行った結果、各地 区共に統一することに異議はないが、金曜日 は、県外講師による講演会等も多いことから、 難色を示す意見があり、曜日の設定については 再度検討が必要との結論となり、継続審議とな った。
中部地区医師会金城会長から次のとおり学債 購入の要請があった「この席で、学債購入につ いて、お願いする機会をくださったことに感謝 申し上げる。看護学校設立を立ち上げてから10 年も経った。現在、防衛庁からの補助金も決定 して、この10月から土地の造成を始める。来年 の平成19年上半期から学校の建設が始まる予 定である。平成20年4月に開校の目処がたって いる。国の補助金は75%。4分の1は自己資金 となる。これは対応費である。全体の枠が25億 となっている。その中の5億は対応費として、 準備しないといけない。この対応費は銀行から の借り入れと、学債の発行で対応することにな った。中部では、厚生労働省のガイドラインに 沿ってその準備をしている。また、弁護士から の指導も受けて、沖縄県の施設を対象にして、 不特定多数を目的とする証券ではなく、あくま でも個人対個人ではない。中部だけで、1億5 千万を予定している。単年度で終わるのでな い。現在は、中部だけで協力をしていただいて る。開校すると1学年80名。3年間で学生が充 足するが、5年間は運営が厳しいと予測してい る。借り入れについては、利息の負担が軽減で きる方策をとっていきたい。つきましては、共 済会の積立金から、各地区医師会や県医師会の 了解も得て、最終的には代議員会の了解も得 て、できれば2億円を購入していただきたい。5 年後の平成23年から利息の支払いが始まるの で、共済会の積立金の満期が平成23年なので、 5年後も踏まえてご検討をお願いしたい。」この ように述べ、共済会積立金からの学債購入への 協力を求めた。
この件に関して、真栄田常任理事は次のとお りコメントした「沖縄県医師会では、中部地区 医師会の要請を踏まえ理事会で検討おこなっ た。本会では、会館建設の計画を進めているこ ともあり、共済会積立金を担保にして建設資金 の借り入れも予測される。」と前置きしながら、 「会館建設検討委員会の対応を見ながら検討をしていきたい。」と述べた。さらに「本日の会 議のご意見も拝聴して慎重に審議を行い、でき る範囲内で協力していきたい。」と述べ、最終 的には代議員会に諮ることになるとして前向き な答弁を行った。
また、北部地区医師会の名嘉眞会長からは、 「補助金がでるのか。私たちはどうにか返済をし ているのだが、5億円でしたら、返していける のではないか、授業料の問題もあるし、全体的 なバランスの問題も出てくるし、その辺の収支 についても、この辺りが分からないので結論は 出しにくい。」との発言もあり、明言を避けた。
さらに、浦添市医師会の山内会長は、「この 辺については、なんの協議もしてないので、お 答えできないのだが、県医師会としてこの事業 を受け入れるのであれば、もう少し資料を出し ていただいて、これを検討したらどうか。気持 ちとしては全面的にバックアップしたい。本日 この席で、各地区でどうですかと言われてもお 答えできないと思う。」と述べ、執行部側から の資料提供を求めた。
次に、那覇市医師会の友寄会長からは、「那 覇市医師会も県医師会の支援をいただき、これ まで3,800万円の支援をいただいた。それ以外 は自力で頑張っている。中部の学債については 感心している。県医師会の事業に差しつかえな ければ、賛成である。」として、賛成の意向を 示した。
続いて、南部地区医師会の永山会長から「初 めて、この資料をみた。前々から金城会長から 学債の件は聞いていたのだが、具体的に、こう いうふうに県医師会の事業で年260万円の利息 がなくなるというのは問題だ。この260万円が 何とかなるかということが問題だが。各地区で も協力をする。南部でもできるだけ協力をする が、今日の積立金に関しては、南部の理事会の 意見を聞かないと、お答えできない。」として、 慎重な発言に留まった。
本会宮城会長からは、「那覇市をはじめ北部 にも金額は少ないが一応県医師会から補助を出 しているので、中部には全く補助を出さないというわけにいかない。」と述べ、協力姿勢を強 調した。
また、私(真栄田)より、次のとおり追加発 言を行った。「昨日の県医師会の理事会の意見 として、嶺井常任理事から学債1口100万円は 額が大きすぎる。1口10万円くらいにしていた だきたい。広くご案内をする上で、1口10万円 で募集してはどうか。全日病は全面的に学債を 購入する。」と追加して、全日病側の考え方を 伝えた。
これに対して、金城会長から「地区の会長先 生方、どうもありがとうございました。最後の 真栄田先生のご意見を聞いて安心をしておりま す。また、各地区の前向きのご発言を聞いて喜 んでおります。県医師会の回答もいきなり駄目 ではなく、検討をするということですので大変 喜んでいます。最後に、県医師会の事業が優先 するのでなく、できるだけ按分するような形 で、できないものか、この辺を検討していただ ければありがたい。」と述べ、要請に対する期 待感を示した。
最後に、宮城会長から「全日病も協力をする と申し出ていますので、この辺ところもよろしく 願いたい。」として、全日病への要請も促した。
1)本会所有地の測量結果に基づく等価交換先 (新川)の面積について
真栄田常任理事から測量結果とそれに基づく等 価交換先(新川)の面積について報告を行った。
県有地との等価交換に際し、本会所有地が登 記簿謄本の地籍と現況に食い違いがないか、面 積及び隣接地との境界線を確認することにな り、隣接する地主との確認並びに土地の測量を 行った。
去る8月21日全ての作業を終了し、8月29日 に測量事務所、沖縄県担当職員、本会事務局立 会いの下、地籍の現況確認を行い、8月31日に 開催された沖縄県公有財産管理委員会で本会の 実測地籍が報告され、等価交換を行う南風原町 新川の面積が確定した。近日中に新川の地籍が確定することになっている。
<測量結果について>
○ 当初の本会の土地登記簿上の面積は 11,025.41m2で、今回測量を行った結果、実 測面積は11,033.11m2となっている。
○隣接する家のブロック塀が本会の土地に入り 込んでいるため、等価交換に含まれない土地 として今回6筆(合計26.84m2)を分筆登記し た。
○分筆登記6筆は等価交換後も本会の所有地と して残ることになる。
<等価交換先(新川)の面積について>
○先に沖縄県から示された新川の等価交換の面 積は、本会所有地の面積11,025.41m2に対し て6,858.99m2となっていたが、今回の測量の 結果、分筆登記を除くその実測面積 11,006.27m2に対して、本会の等価交換の面 積は6,847.08uに確定した。
以上の報告受け、「分筆登記6筆が等価交換 後も医師会の所有地として残ることになるが、 将来税金等面倒な問題が発生しないか。また、 その土地の処分等について考えているのか。」 と質問があった。
宮城会長から「現在使っている方に譲渡する か購入していただくか等これから十分に検討し ていきたい。」と回答した。
2)沖縄県医師会館建設設計士の決定について
真栄田常任理事から標記設計士が決定した旨 報告を行った。
設計士の選任については、基本設計が早期に 進められるよう公募をせずに県医師会執行部へ 一任となっていた。理事会でフォーム建築研究 所と粟国文雄建築工房、ワールド(株)と(株) 国建の4社について協議を行った結果、多数決に より、設計は粟国文雄建築工房に依頼すること に決定した。粟国氏は事務所の規模は小さいが6 億円の沖縄国際ユースホステルや沖縄建築会館の設計競技で最優秀賞を受賞した実績がある。
以上の報告の後、会館建設に対する質問、要 望があった。
○金城中部地区会長
地区では、設計は大事だから公募でもいいと いう意見があった。完成の目標はいつか。
○真栄田常任理事
20年3月までに竣工を予定している。医療・福 祉ゾーンとなっているため、県のゾーニングの点 からもいつまでも空地にせずに建設を進めるよ う要請がある。また、他の団体の進捗状況と合 わせてゾーニングをして欲しいと要望がある。
○新垣議長
個人の意見として、会館建設は長年の懸案事 項であるから、短期間でなく、しっかり腰を据 えて検討を行い建築してほしい。
○宮城会長
会館建設検討委員会で十分検討していくので 拙速にはならないと思う。委員会の論議は各地 区へ持ち帰り論議いただくのでよろしくお願い したい。
○永山南部地区会長
委員会では平成19年12月の総会までに完成 をとの意見もあった。委員会は月1回開催する ことになっている。今後維持費等の検討も行い 平成20年3月までには竣工できるよう委員とし て頑張っていきたい。
○宮城会長
稲冨執行部からの懸案事項であるから任期中 に着工したい。会館での医学会の開催有無によ る規模についてもこれからの検討事項である。 今は建設場所が決定したということである。
○真栄田常任理事
委員会の結果についてはその都度報告するの で、各地区から末端の会員まで周知をお願いした い。また、時には県医師会から直接会員各位へ通 知することもあると思うのでご了承賜りたい。
○小渡副会長
会館は維持費がかかる。会費負担が大変なの は分かるが、会長の意向が大きく影響すると思 うのでご配慮を賜りたい。会館で学会をやる、 やらないできちっと資金計画を出す。負担は少 ない方がいいのは当然だが、次の世代に残すと いうことを考えて各地区会長にはご協力をお願 いしたい。