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都道府県医師会健診・保健指導担当理事連絡協議会

常任理事 安里 哲好

去る8月31日(木)、日本医師会館1階大講堂 において、表記連絡協議会を開催したので、そ の概要について報告する。

開会

定刻となり、内田健夫日本医師会常任理事よ り開会が宣言された。

挨拶

唐澤人日本医師会長より、概ね次のとおり 挨拶があった。

平成20 年4 月より、医療保険者に義務付けら れ実施される健診・保健指導についてご説明申 し上げ、皆様からのご意見を頂戴した上で円滑 な事業展開がされることを目的として当連絡協 議会を開催することとした。

今回の新たな健診・保健指導は、 医療構造改洋祗革の一環であり、経済財政諮問会議における医 療費の総枠管理に対抗する具体的政策として、 予防重視の観点から生活習慣病対策が展開され ていくものと理解している。

国民が病気にならず健康に生活できるように 支援していくことは我々の大きな役割の一つで ある。日本医師会でも予てから生涯を通じた保 健事業推進の重要性を指摘しており、平成17 年より、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会とと もに日本糖尿病対策推進会議を立ち上げ、糖尿 病対策を推進しているところである。

厚生労働省でも医療費の適正化を目的として いるとろであるが、私どもは医療費の適正化は あくまでもさまざまな事業の結果であり評価目 的であると考える。むしろ、かかりつけ医によ る国民の健康づくりこそが本来の眼目であり、 重要な意味であろうと考えている。

国民の健康づくりのために、忌憚のないご意 見をいただきたい。

報告

1)医療構造改革における生活習慣病対策の推 進について

厚生労働省大臣官房参事官の中島誠氏より、 医療構造改革における生活習慣病対策の推進に ついて報告が行われた。

中島参事官より、先ず、今度の医療構造改革 において生活習慣病対策の取り組みというもの がどういう考え方に根ざし、どういう方向で組 み立てられていくのか、ということについてご 説明申し上げたいと話があり、「医療制度改革 大綱は、「安心・信頼の医療の確保と予防の重 視」、「医療費適正化の総合的な推進」、「超高齢 社会を展望した新たな医療制度体系の実現」と いう三つの考え方に基づいている。予防重視と してメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候 群)の概念を導入し、ここに重点を置いた施策 を取り組んでいく。また、これまでの健康づく りの反省に立ち、医療保険者、都道府県、市町 村等の役割分担の明確化を行い、その中で医療 機能の分化・連携による、在宅医療までの切れ 目のない医療の提供、疾病予防の推進を行い、 結果として中長期的に医療費の適正化を図れれ ばと考えている。」と説明された。

健康日本21の中間評価については、これまで の健康施策の進捗状況は全体として必ずしも十 分でない点が見られると説明があり、これまで の施策を「総花主義的でターゲットが不明確」、 「目標達成に向けた効果的なプログラムやツー ルの展開が不十分」、「政府全体や産業界を含め た社会全体としての取組が不十分」、「医療保険 者、市町村等の関係者の役割分担が不明確」、 「保健師、管理栄養士等医療関係者の資質の向 上に関する取組が不十分」、「現状把握、施策評 価のためのデータの収集、整備が不十分」と評 価し、これらの課題について、今後は、ポピュ レーションアプローチ(健康づくりの国民運動 化)を充実させるとともに、ハイリスクアプローチとして医療保険者による40 歳以上の被保 険者・被扶養者に対するメタボリックシンドロ ームに着目した健診・保健指導の着実な実施に 取り組むと説明された。

健診・保健指導等に関する今後のスケジュー ルについては、平成18 年度にいくつかの都道府 県において先行準備事業の実施を行い、平成19 年度に全都道府県で標準的な健診・保健指導プ ログラム(確定版)を策定し、平成20 年4 月か ら各医療保険者において実施されると説明があ った。しかし、当事業の具体的なところについ ては検討中であり、現在アウトソーシングされ ている健診事業と同様に、保健指導についても アウトソーシングを認めるとしているが、アウ トソーシング先については、従来の健診機関が 担うのか、医療機関が担うのか、民間事業者が 担うのか今後検討を重ねていくと説明された。

2)標準的な健診・保健指導プログラム(暫定 版)について

厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室 長の矢島鉄也氏より、標準的な健診・保健指導 プログラム(暫定版)の具体的内容について報 告が行われた。

矢島室長より、新たな健診・保健指導の一番 大きな点は、2008 年を基準に2015 年までに糖 尿病等の有病者・予備群を25 %減少するという ことを具体的な目標と評価に定めているところ であると説明があり、そのためには、従来の健 診・保健指導の目的であった個別疾患の早期発 見・早期治療に併せて、内臓脂肪型肥満に着目 した早期介入、行動変容が今後重要であると説 明があった。また従来、保健指導の対象者は、 健診結果で「要指導」と指摘された方とされて いたが、これからの健診は、保健指導を必要と する者を的確に抽出するための健診と位置付 け、健診受診者全員に対し必要度に応じ階層化 された保健指導を提供していくと説明された。

健診・保健指導の実施に関するアウトソーシ ングについても説明があり、基本的な考え方と しては、健診・保健指導事業の企画及び評価については医療保険者自らが行うこととするが、 健診・保健指導の実施については、“人員に関 する基準”、“施設または設備等に関する基準”、 “精度管理に関する基準”等の基準を満たすこ とを条件にアウトソーシングの受託を認めると 説明された。具体的に、健診実施に係る基準に ついては、健診を適切に実施するために必要な 医師、臨床検査技師及び看護師等が確保されて いること、標準物質による内部精度管理が定期 的に行われ検査値の精度が保証されていること 等が基準として明記され、保健指導に係る基準 については、事業所の管理者は、医師、保健 師、管理栄養士であること、さらに国、地方公 共団体、医療保険者、日本医師会、日本看護協 会、日本栄養士会等が実施する一定の研修の修 了者であること、保健指導業務を行う者は、医 師、保健師、管理栄養士であること等が基準と して明記されている。また、健診、保健指導共 通の基準として、実施する施設の敷地内が全面 禁煙とされていること等の基準も示されている。

その他、健診・保健指導の体制・基盤整備、 総合評価についても説明があり、国、都道府 県、市町村、医療保険者、医療関係団体等が役 割分担の上で人材育成体制を整備する必要があ り、また、医療保険者においては、健診・保健 指導内容のデータの継続的蓄積と科学的な根拠 に基づく評価体制の整備を図ることが重要であ ると説明された。

3)健診・保健指導における医師会の関わりに ついて

日本医師会常任理事の内田健夫先生より、健 診・保健指導における医師会の関わりについて 報告が行われた。

内田常任理事より、先ず、今回の制度改正に ついて、「今回の健診・保健指導の医療保険者 の義務化という大きな制度改革の中で、この改 革は保険者にとっての利便性、効率化の追求で はないのか、あるいは厚生労働省にとっての利 便性、効率化の追求ではないのかという心配が ある。しかしながらこの制度改革の一番の根本は、患者さんにとって一番メリットがあるとい うことを徹底しなければならない。その中で医 師会の役割、かかりつけ医の先生方を中心とし た現場の医療が果たす役割が非常に大きくなっ ていかなければならない。」と説明があり、次 いで、当協議会を開催するにあたり、事前に日 医より各都道府県に対して行われた健診・保健 指導の医師会の関わりについてのアンケート調 査の結果について報告が行われた。

調査結果によると、各都道府県に設置されて いる保険者協議会への医師会の参加について は、30 医師会がオブザーバーとして参加してお り、21医師会(沖縄県含む)が医師国保が参加 しているとの状況であった。また、地域・職域 連携推進協議会については、16 都道府県におい て設置済みであり、その内15医師会が委員とし て参加しているとの回答であった(31 都道府県 (沖縄県含む)が未設置)。都道府県医師会と保 険者との関係に関する調査については、協力体 制ができていると回答した医師会は14 と少な く、接触無しとした医師会が多数(27 医師会) であった。その他、医師会において健診・保健 指導を受託する体制が整備されているかとの調 査については、健診は19 医師会、保健指導は3 医師会のみでしか体制整備は行われていない状 況であった。保険者機能のチェックについて は、ほぼ全ての医師会(43 医師会)が保険者機 能チェックの必要性を感じていた。

調査結果の報告の後、内田常任理事より、保 険者協議会への医師国保としての参加並びに都 道府県医師会がオブザーバーとしての参加を是 非取り組んでいただき、医療現場の意見を反映 させていただきたい。また、地域・職域連携推 進協議会についても、未だ設置されていない都 道府県においては設置に向け積極的にお声かけ いただきたいと意見された。

その他、健診・保健指導を実施する者の質の 管理・評価を行うための第三者評価の必要性、 また、保健指導を行うためには、一定の研修を 修了し認定資格を有する健康スポーツ医等を活 用することも望ましいと説明があった。

質疑応答

概ね以下のとおり質疑応答が行われた。

○事前に提出された質問

Q1.健診・保健指導の費用負担はどうなるか。

A1.健診・保健指導に要する費用の自己負担 については、それぞれの保険者が従来通 りお決めいただくことになる。それとと もに健診の受診率等の促進という観点か ら、この度、被扶養者(サラリーマンの 奥さん)の部分については、健診費用の 1 /3を国庫補助という形で実施出来ない かと検討している。国保については、従 来からの、国1 / 3、都道府県1 / 3、市 町村1/3という形を踏襲させていただき たいと考えている。

Q2.アウトソーシングされると、安かろう悪 かろうというような事態が起こらないか。 公正価格の設定は可能か。

A2.安かろう悪かろうということは断固とし て排除しなければならない。糖尿病等の 有病者・予備群を25 %減らすということ を一つのメルクマール(目標、指標)と しており、今度創設される高齢者医療制 度のいわゆる現役並みの所得を要する被 保険者から費用負担をお願いすることに なっている。ここについては、糖尿病等 の有病者・予備群の25 %減少にどれだけ 達成できたのかということで支援金にプ ラスマイナス10 %の加算減算措置を講じ ることになっている。安かろう悪かろう では結果として糖尿病・予備群が減らせ ない。そのプロセスにおいて健診受診率 もあがらない。健診費用の統一について は、今後検討会で議論になると思われる。

Q3.既に疾病をもって医療機関を受診されて いる方も対象になるのか。もし医療機関 を受診している場合、その疾病の指導と 保健指導の違いが出てこないか。

A3.医療機関と連携した上で必要な保健指導 が確保されるような仕組みを考えていく ことが大事だと考えている。主治医との 連携を綿密に行った上で保健指導を行う ことが重要だと考える。また、医療機関 を受診中の方に対しても、生活習慣病の 管理がしっかりできているかどうかとい うことを医療保険者には医療機関と連携 の上で健診を行っていただくよう調整し ている。

Q4.40歳以上では生活習慣病の対策は遅いの ではないか。対象年齢を30 歳代からに広 げた方が良いのではないか?

A4.40 歳未満の対象者については努力規定と している。

Q5.健診・保健指導の受託ということで、医 師会で受託出来るのか。現在、政管健保 では一般開業会員は参加できない。

A5.既に健診はアウトソーシングが進んでお り、老人保健事業でも個別の医療機関に お願いしている状況である。保健指導の アウトソーシングについても当然のこと ながら医師会の先生方のお力をお借りし なければやっていけない。民間事業者に ついては都会で出てくる可能性はある が、地域では地域医師会の先生方のお力 を借りないことにはしっかりした保健指 導が出来ない。

A5.生涯を通じた健康管理として、かかりつ け医の役割が非常に大きい。当然委託基 準を満たしていくことは必要であるが、 医師会として、また個別の医療機関とし ても健診・保健指導の受託をやっていた だきたいと考えている。

Q6.健診の結果、要医療者がきちんと医療機 関を受診したかどうかの確認をできるよ うな仕組みはあるか。

A6.医療保険者は、健診データ、レセプトデ ータをもっている。医療保険者が健診の 結果を見て受診勧奨しているにも関わら ずレセプトデータが出なければ医療機関 を受診していないということになる。医 療保険者は、糖尿病等の有病者、予備群 を25 %減少させるためにも、適確に未受 診者、医療機関受診勧奨の未受診者、治 療を中断している方の把握を確実にやっ ていただきたいと考えている。

Q7.健診を行う方の人材の養成は。日医とし て指導者養成のための研修を行う予定は あるか。

A7.現状では具体的なスケジュールは無い。 現在取り組まれているモデル事業の中 で、どういう人材がどの程度必要なのか ということが明らかになると思う。モデ ル事業の進捗を踏まえながら研修会の開 催を企画したい。

Q8.集団での保健指導から行い、その効果を 見て個別指導に移行していくべきではな いか。

A8.集団の規模にもよるが、今度の保健指導 のポイントは、健診データをしっかり読 み解くというところから始める。個人の 健診データの異常値というものを具体的 にイメージさせ、このまま放置するとど うなるかということを指導する。また個 人の趣味趣向を踏まえてやっていく。集 団での保健指導は効果が出ないと考え る。そういう意味では少人数(多くても 4、5 人)の集団指導を含めた個別指導を 実施したい。また、保険者のプランニン グによるが、必要なマンパワーについて は、地域・職域連携推進協議会の中で地 域の実情に併せ検討していただきたいと 考えている。

Q9.歯科医師、薬剤師の協力も必要ではないか。

A9.当然、歯科医師、薬剤師の協力は必要と 考えるが、保健指導を一義的に対応して いただくのは医師、保健師、管理栄養士 と考えている。

Q10.健診データとレセプトデータを突合する ことで、医療機関のランク付けや差別化 が起こる可能性はないか。

A10.健診データとレセプトデータが保険者に集 中的に管理されるということで、保健指 導あるいは医療にどのようにつながってい るのかというチェックとしてデータの突合 が行われる。それにより今回の制度の効 率的な運用が確保される。しかし、デー タの突合がマイナスの方に作用すると、 受診勧奨、医療機関のランク付け、差別 化に使われるという医療現場への介入が 起きてくる可能性があるということであ る。このことが医師会の先生方が一番心 配されていることだと思う。ここのところ で保険者協議会等へ医師会が関わりチェ ックしなければならないということを先ず 考える。将来的には第三者機関による保 険者の健診・保健指導事業に関する評価 というものも必要であると考える。

○フロアからの質問

Q1.健診・保健指導は医師会で受託できるの か。医師会で受託し各開業会員が健診・ 保健指導を実施することは可能か。

A1.可能である。

Q2.政管健保では指定医療機関が決まってお り、一般の開業会員が受託することは出 来ない。

A2.保険者によっては、そういう形で事業実 施を考えている。保険者毎に個別の契約 となる。国保、特に医師国保に関して は、医師会に受託する形をとっていただ きたいと考える。

Q3.医師国保以外はどうなのか。

A3.医療保険者によってそれぞれの委託基準 があり、それに医師会が対応できるかど うか。被保険者、特に家族に対して家族 の居住地等を踏まえた利便性等を考慮す ると他の医療保険者に委託した方が良い という話もでている。それが国保への受 託ということになると当然地域の医療機 関で健診を受けるということが出てく る。その辺は保険者と医師会とこれから の話の進め具合だと思う。

Q4.制度管理は十分か。

A4.精度管理の範囲等については大事なテー マだと考えている。精度管理の質を高め るため検討を重ねたい。

Q5.医師会の関わり方について。

A5.保険者協議会に直接関わることは難しい と考えるが、オブザーバーとしての参加 についてはご理解いただいている。地 域・職域連携推進協議会については医師 会として是非参加していただきたい。

A5.保険者同士で相談しても医師会の先生方 のご協力が得れないと絵に描いた餅にな る。保険者協議会で議論したことを先生 方にご相談するという形でオブザーバーに 入っていただきたい。地域・職域連携推 進協議会については、都道府県における 健康づくりをトータルとして考えるもので ある。当然医師会は入っていかなければ ならないと厚生労働省では考えている。

Q6.受診しない被保険者について何らかの罰 則等はあるのか。

A6.難しい問題である。健康増進法で、国民 は自らの健康増進に努めなければならな いと努力義務が入っている。保険者の中 で多いに議論していただき、受診促進策 について多いに工夫していただきたい。

Q7.研修会のスケジュールについて。

A7.研修は、国、都道府県、医療保険者、ま た医師会等で行っていただきたいと考え ている。研修内容については、共通部分 もあるが、各団体で独自性を付けて研修 をやっていただければありがたいと考え る。先般、全国の医療保険者団体にお集 まりいただき、その際にそれぞれの団体 が平成18年度、19年度にどのような研修 計画をお持ちなのかというアンケートを 行った。9 月中にはまとめ、情報を提供 し、全体を国として調整させていただき たい。

Q8.研修をうけた方に対して修了証等は出す のか。

A8.修了証を出すのかどうかはこれから検討 する予定である。カリキュラムについて も今後相談させていただきながら検討し たい。

A8.健診保健指導プログラム暫定版の中に、 保健指導、特に運動指導を行うのに最も ふさわしい医師の一つとして認定スポー ツ医という具体的な名前が挙がってい る。これも従来のカリキュラムだけでは 保健指導に十分ではない。今後、健康ス ポーツ医の養成、更新のためのカリキュ ラムの中に保健指導のためのものを入れ ていきたいと日医で検討している。労働 安全衛生法の中で行われる事業種健診に ついても今回の健診との関連も出てく る。産業医がどのように関わるかという こもの今後検討していく。

Q9.総事業費は。

A9.どの程度の総事業費になることを見込ん でいるかということは今の段階でお示し できるものはない。今後、この検討会の 中でシステムの話が具体的に詰まってい く中で、健診単価を具体的に決めていく 中で決まって行くと考える。

総括

日本医師会副会長の岩砂和雄先生より総括が 行われた。

印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

平成12 年度より開始した、健康日本21 についての5 年間の総括をして、糖尿病有病率・予備軍 の増加、肥満者の増加、健康状態及び生活習慣病の悪化等にて、敗北を宣言した。平成20 年よ り、総花的目標の設定ではなく、内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病対策として「メタボリッ ク症候群」を一番に10〜 15 年やると同時に結果として、医療費の適正化とリンクさせたいと厚労 省参事官中島誠氏は述べていた。

平成20 年度から、市町村医療保険者による生活習慣病健診・保健指導の義務化が実施される。 従って、低い健診受診率(20 〜 40 %)が90 %以上に近くなるであろう。質問票と健診結果によ り、保健指導対象者の選定(ステップ1、ステップ2、ステップ3)と階層化し、情報提供レベル、 動機づけレベル、積極的支援レベルの保健指導が各々に応じてなされる。

健診と保健指導の委託(アウトソーシング)をどこにするのか。1)政管健保のような指定医療 機関でやるのか、2)病院でやるのか、3)診療所でやるのか、4)民間事業所でやるのか。5)保健師、 栄養士が独立してやるのかについては、まだ、決まってないようだ。もう一点は、義務化に際し、 県医師会・地区医師会の了解或いは理解の下に実施されるのが望ましいし、知らないうちに医療 保険者が物事を進めていくことにならないように、医師会と保険者との密なる連携が行われるべ きだと強く感じている。年間どの程度の事業費となっているのかについては明確な数字は提示さ れなかった。

介護保険の領域における、医師の役割が経年的に稀釈されている感がするが、予防医学・保健 活動の領域においても医師外しにならないよう(特に国民・県民からの期待の希薄さ)、我々は、 医療関係者とスクラムを組んで進んでいきたいものだ。そして、この新しい制度は医療費抑制の ためだという意識でなく、男子26 位ショック・長寿県の復活の一番大切な手法だと会員全員が認 識し、1 年365 日の時間の内1 〜 5 %をボランティアに近い状態でも、強い気持ちで、我々の使命 或いは存在意義として、良好な結果を得るために効果的に進めていきたいものだ。沖縄県医師会に とって、健診・保健指導の義務化と地域保健そして職域保健との連携を如何に充実させて行くの かが(健康沖縄2010 に連結し)、産婦人科医師確保および地域医療(医療機関の機能分化と連携) の次の、いや、同じく大きなテーマであろうと銘記したい。