挨拶をする宮城信雄会長
去る6月29日(木)、午後7時15分より沖縄 ハーバービューホテルにおいて第182回沖縄県 医師会臨時代議員会が開催された。
はじめに、代議員会の正・副議長の任期が去 る3月31日をもって満了したため、仮議長に野 原俊一代議員が選出された。野原仮議長より定 数の確認が行われ、定数53名に対し、36名が 出席し、定款34条に定める過半数に達してお り、本代議員会は有効に成立する旨宣言され た。続いて議長選出が行われ、新垣善一代議員 (中部地区)が選出されると共に、新垣議長の 下で副議長の選出が行われ、副議長に高里良孝 先生(那覇)が選出された。
以上、議長、副議長の選出の後、宮城会長よ り次のとおり挨拶があった。
○宮城会長 皆さん、こんばんは。一言ご挨 拶を申し上げたいと思います。
任期満了となっておりました議長及び副議長 が選出されました。議長に当選されました新垣 善一先生、副議長に当選されました高里良孝先 生、誠におめでとうございます。今後2年間、 代議員会の円滑なる運営と執行部に対するご指 導ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます。
本日は、第182回臨時代議員会を開催し、平 成17年度の会務、諸決算等についてご審議し ていただくことになっております。
ご案内申しあげましたところ、多数の代議員 にご出席賜り厚く御礼申し上げたいと思います。
お陰を持ちまして、平成17年度の会務も代 議員の諸先生方、会員各位のご協力により予定 いたしておりました諸事業も滞りなく推進する ことができました。
さて、先般の、参議院本会議において高齢者 の負担増、療養病床再編等が盛り込まれた「医 療制度改革関連法案」が可決されました。
加えて、政府・与党の財政・経済一体改革会 議は、今後5年間で社会保障費を1兆1,000億円 削減するとの方針を示すと共に、自民党の歳出 改革に関するプロジェクトチームは「骨太の方 針2006年」に、社会保障費のさらなる歳出削 減を盛り込むべく検討を進めております。国民 並びに医療機関は我慢の限界に達しており、国 民医療を守る観点から極めて憂慮する事態とな っております。日本医師会は、今こそ、全国の 叡智を結集し、事態打開に向けた対応策を、会 員や国民に示して頂きたいものであります。
一方、県内では、県立北部・八重山病院の産 婦人科医不足、県立宮古・八重山病院の脳外科 医不足等が喫緊の課題となっております。現 在、沖縄県、琉球大学、沖縄県医師会が中心と なって、「沖縄県地域医療対策協議会」、「離島 へき地医師確保対策検討委員会」等を設置し て、鋭意検討を始めたところであります。県下 の離島へき地の医師確保の問題は、古くて新し い問題でもあり、根本的な解決が図られるよう 努力して参る所存でありますので、代議員の先 生方におかれましても当該問題に対するご意 見・ご要望等がございましたら、なんなりとお 申し付けくだされば幸いです。
また、後程、議事として提案いたしますが、 かねてからの懸案事項でありました会館建設に ついては、「県立南部医療センター・こども医 療センター」に隣接する県有地との等価交換が 県の公有財産管理運用委員会において了承され ました。早急に会館建設に向けて諸準備に取り かかりたいと考えておりますので、ご支援ご協 力のほどよろしくお願い申しあげます。
本日は、お手元の資料にお示ししてあります ように、報告2件、議事7件を上程しておりま す。詳細につきましては、各担当理事よりご説 明していただきますので、慎重にご審議の上ご承認賜りますようお願い申し上げましてご挨拶 といたします。
その後、報告・議事に移り、報告事項は玉城 副会長から平成17年度沖縄県医師会会務につ いて、大宜見監事より平成17年度沖縄県医師 会会計監査について報告があった。議事は以下 の議案について各担当理事から説明が行われ、 全て原案どおり承認可決された。
第1号議案 | 平成17年度沖縄県医師会一般会 計収支決算の件 |
第2号議案 | 平成17年度沖縄県医師会用地特 別会計収支決算の件 |
第3号議案 | 平成17年度沖縄県医師会医事紛 争処理特別会計収支決算の件 |
第4号議案 | 平成17年度沖縄県医師会共済会 特別会計収支決算の件 |
第5号議案 | 平成18年度沖縄県医師会一般会 計収支予算補正の件 |
第6号議案 | 沖縄県医師会館建設用地等価交換の件 |
第7号議案 | 沖縄県医師会顧問の件 |
なお、第6号議案 沖縄県医師会館建設用地 等価交換の件については、新川の土地との等価 交換を進めるにあたり、財産の処分に関する事 項については代議員会の承認を得なければなら ないことから本代議員会に上程され、異議なく 承認された。
また、第7号議案 沖縄県医師会顧問の件に ついては、既に委嘱している伊豆見元俊先生、 宜保好彦先生、花城清喬先生、比嘉國郎先生、 桑江朝彦先生に加え、本年3月に県医師会長を 退任された、稲冨洋明先生に新規で委嘱したい 旨の提案がなされ、異議なく承認された。
当代議員会における質疑応答の主な内容は次 のとおり。
質疑応答(要旨掲載)
1. 代表及び個人質問
名嘉眞透代議員
北部地区医師会病院は、琉大またはハートラ イフ病院の協力等を得て、平成17年9月から管 理型の研修指定病院となって2人の研修医が今 頑張っている。次の年は4人の研修医の予定を しているが、どうしてもまだ小児科、産婦人 科、そのあたりのご協力がないとまだできない ところにある。できれば県立北部病院がすぐ近 くにあるので、どうにか協力いただけないかと 思い、一応こちらからもいろいろアプローチは しているが、まだ実っていない。
私たちの力でどうにか交渉して成立させるべ きであるが、できれば県医師会としてもご協力 していただければ、小児科、産婦人科、その他 の研修でわざわざ北部から通わなくて済むとい うこともあるので、どうにか県医師会のご協力 をお願いしたいと思い、質問でもあるがご意見 ということで、ご協力のほどをお願いしたい。
回答(玉城副会長)
現実に名嘉眞先生から提案があり、どういう ことになっているのか、実は私自身も実態を把 握していないので、近いうちに名護に行き県立 北部病院長、そして北部地区医師会長、そして 医師会病院の院長先生、一緒になってどういう 解決法があるかを話し合ってみたいと思う。
そういうことを契機にしながら、各地区で足 りない診療科等を含めていろんな問題があるの で、基本的には地域でどうするかということを まず考えて提案していただき、現場のことは現 場の医師会にしかわからないので、それを中心 にしながら、また、県医師会はお互い連携を取 りながらその解決方法を探っていきたいと思 う。北部医師会からの今回の提案に関しては、 近日中にお話し合いをもつことで合意されてい る。何とか解決できるように頑張ってみたいと 思う。
中田安彦代議員
研修医とか医学生を育てるのは今までは大学 病院、県立病院でしたが、これからは開業医も 含めて沖縄県すべての医師が育てていくもので はないかと考え、提案させていただいた。
日本医学会総会でコメディカルはもとより医 学生の参加に門戸を開いているが、県医学会総会では医学生に対し門戸を開いていないことか ら、以下の理由で参加を推進すべきであると考 えている。
将来の会員になる医学生がスムーズに医師会 に入会できる接点となり得るのではないか。医 学生の学習意欲を高めることができる。そし て、研修医の先生方もより励みになるのではな いか。
それから2番目だが、医学というものは確か に医の学問であるが、でも実際に医療の現場で は、政治や経済社会と切り離しては存在できて いないように思う。最近まで医師は象牙の塔の 中で医学を論じ、治療しておれば事足りる立場 にあったように思われるが、現在は社会の一構 成員として存在しているような状況である。実 際の学問である医学もこの社会の変化に鑑み て、本県医学会総会において新しいセッション をつくるべきではないかと考えている。
また、私自身も、例えば日本医師会や沖縄県 医師会の仕組みもよくわかっていないような状 態である。医師連盟のことについてもなかなか よく理解できていない。そういうときに少しで も若手の医師が理解できるようなことも含めて やっていただいたらいいのではないかと思い質 問させていただいた。
回答(瀧下理事)
初めのご質問の、県医学会総会の医学生の参 加推進については、ご指摘のように医学生の医 学会総会への参加が本医師会への関心、理解を 高めるということと、それから学習意欲の向上 につながるということは考えられる。
現在の医学会総会は、基本的には医師会を中 心としており、非会員の扱いについては、非会 員が発表する場合には、当日の参加費として 5,000円を徴収しているというのが現状である。
この医学生の医学会総会参加については、非 会員の取り扱い、または会費の取り扱い等も含 めて参加させる方向で医学会、幹事会で十分に 検討していきたいと思っている。
それから2番目の点に関してもご指摘のよう にこれらの領域の重要度を増しているというこ と。それから、本医学会総会においても対応す る必要があるというふうに考えている。
しかし、現状を見てみると、やはりこの医療 管理学等については、会員の関心、それから理 解もまだ十分ではないということも考えられる ので、本医師会としてはこれらについての啓発 の機会を設けたいと考えている。
医学会総会においては、特別講演、また昨年 の6月の医学会総会から新しい試みであるミニ レクチャーを行っているが、そこでとりあげる ということも可能と考えている。関心、理解の 向上を図りながら医学会総会でのセッションを 増設することになると思われる。
本件についても、医学会幹事会において十分 検討していきたいと思っている。
喜久村徳清代議員
対外広報、救急活動に関する事業のIT化の 拡充の件だが、沖縄県医師会では、これまで 「開かれた医師会」から「信頼される医師会へ」をキャッチフレーズにして、最近では「地域に 根ざした活力ある医師会を目指す」と宮城信雄 会長が会長新任挨拶で述べられている。
また、沖縄県医師会のホームページの中で は、沖縄県医師会長の挨拶の中に、「県民の皆 様のための健康、医療情報をわかりやすく掲載 してまいりました」という一文がある。しか し、県医師会の会員医療機関がどういう診療内 容を得意としているかという、医療機関選択の 指標となる情報にアクセスすることはいまだ簡 単ではない。すべての全医療機関から総合診療 機関を含めた診療専門性、あるいは診療得意分 野を、これは各学会認定専門分野でもよいが、 それを申告してもらい地域ごとに診療行為別ご とに検索できるようなページを開設してはいか がか。
例えば、実際に広島県では「救急医療ネット 広島」の中に、診療所、病院の検索ページがあ る。予防接種のできる病院、診療所を広島県内 の地域を指定することによって、簡単容易に破 傷風の予防接種を受けることが可能な医療機関 へのアクセス情報に到達できるようになってい る。救急医療ネット広島は、広島県のホームペ ージからも、また、広島県医師会のホームペー ジからもアクセスできるようになっている。
沖縄県医師会でも全医療機関の医療情報を整 理して、病院・医院検索が可能になるような広 報活動はできないか。
回答(大山常任理事)
沖縄県でも「救急医療ネット広島」のようにやりたいとは思うが、救急医療ネット広島のほ うにいろいろ問い合わせしてみると、県と医師 会が一体となってうまくやっているが、そこに はかなりの費用がかかっているようである。
県と広島県医師会との間には連携をもつため に、初め1,000万円ぐらいのお金がかかってい るようで、あとランニングコストも県のほうか ら補助が出ているという状況とのことである。
これを沖縄でやろうと思うと、今の三位一体 がしかれている中でどんどん補助が切られてい っているので、すぐにできるという自信はない。
しかし、いろいろ私どものほうでチェックし てみたら、7 地区医師会のうち4 地区医師会 (中部地区医師会、浦添市医師会、那覇市医師 会、南部地区医師会)において各管轄下の会員 施設を検索するシステムが独自に構築されてい るようである。これらのシステムを踏襲する形 で県医師会による病院検索システムを構築する ことが望ましいと考えるが、そのためにはプロ グラムの内容、データベース格納数、情報の整 理、各地区の検索システム等連携等、慎重な検 討が必要と考える。
また、新聞に掲載されている救急当直医のよ うな情報に限定すると、比較的容易に本会ウェ ブページに掲載可能だが、患者情報の共有や患 者紹介等までを視野に入れたシステムの構築と なると、強固なセキュリティの確保や予算確保 等が課題となる。今後、各地区医師会の情報シ ステム担当理事のご意見をお伺いしながら、県 医師会による病院検索システムの構築等につい て検討させていただきたい。
こういう情報システムに関しては、広島あた りまで行って勉強して来たいと考えているの で、皆様のご協力をお願いしたい。
議事終了後、新垣代議員会議長より次のとお り挨拶があった。
新垣善一議長
議長といたしまして、ご挨拶申し上げます。
たくさんの代議員の先生方にご参集いただきましてありがとうございました。
そして、議長からのお願いでございますけれ ども、役員も宮城会長以下、若返りましたの で、どうぞひとつ遠慮なしに、質疑その他も活 発にいただきたいと思います。大事な会館用地 もやっと今日、決まりましたし、これから大き な事業が待っております。
先ほど会長からもご挨拶がありましたとお り、この会館の建設も我々の長年の懸案でござ いましたし、これから県医師会がさらに発展す るためには、ぜひランドマークになるような沖 縄の風土を生かした素晴らしい会館ができれば と、個人的に希望といいますか、望みをもって おります。どうぞ代議員の皆さんも役員の皆さ んと一緒に素晴らしいアイディアを出し合いな がら、いい会館をぜひ早い時期に建築を進めて もらいたいと思います。挨拶に代えたいと思い ます。