沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 9月号

新臨床研修を終えて

馬殿愛子

沖縄県立中部病院
38期(外科研修医) 馬殿 愛子

“面白いなあ!”二年間臨床研修を終えての 感想である。

2004年度より、新臨床研修制度となり、初 期臨床研修の義務化が始まった。沖縄県立中部 病院では1967年よりアメリカ式の総合臨床方 式で行っていたので、地域医療、精神科が組み 込まれ、その分専科の研修が減少した事以外変 更はない。

私は、“青い海の広がる沖縄に住みたい”と いう思い一心で病院見学に来て、研修医の生き 生きと仕事をしている姿を目の当たりにし、 “ここで働きたい”と感じ、沖縄県立中部病院 の試験を受ける事にした。

一年目は、小児科から始まり、救急科、産婦 人科、麻酔科、内科、外科、精神科と各科をロ ーテーションした。毎日新しい発見があり、診 た事のない症例だらけであったが、上級医に現 場で教えて頂き、得るものも多く充実した日々 であった。反省点としては、教科書的な知識の 不足を補う努力をしなかった事である。今後の 課題である。

二年目は専科の外科を中心に、救急科、地域 医療、精神科をローテーションした。当病院外 科系研修の特徴は、一般外科だけでなく心臓血 管外科、脳外科、整形外科、泌尿器科、形成外 科等の研修をしっかり行える事にある。また外 科当直時には様々な救急外科疾患に遭遇する。 以前に比べると症例数は減少したが、様々な経 験ができたと思う。手技、手術も段階を踏んで経験する機会は多かった。また、各科の壁が低 いため、コンサルトしやすく、そのため他科よ り学ぶ事も多く、プライマリ・ケアの習得につ ながる。

新しく組み込まれた精神科、地域医療に関し ては今後の長い医師人生に、この一ヶ月ずつの 経験は何らかの形で役に立つと思う。実際この 二年間でも、患者さんの今後のQOLを考える 時や、マネージメントに関しても参考となる場 面が多かった。

この二年間を終えて後期研修へ突入した。今 は仕事が“面白い”と感じている。二年目後半 頃より、興味深い症例が多く、研修制度の整っ ているこの病院でもっと経験していきたい、と 思うようになり現在へ至っている。三年目にな ると、少し全体が見えて来て、今までの反省 点、今後の目標などを考えるようになった。反 省点としては、まずは勉強不足。自分次第であ る。また、二年間を振り返ると、自分は目の前 の病気で精一杯で、患者さん全体像(生活、家 族、本当の気持ち)を受けとめきれていなかっ たと反省させられる。これら反省点を踏まえ て、後期研修への抱負としては、まずは手技、 手術の上達のため、積極的に訓練、勉強する。 将来専門分野へ入るまでに、広い分野で経験を 積む。また医療全体を見渡せる様心がける。そ して、自分の学んだ事、得たものを後輩に正し い形で伝えていきたい。