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第47回地区医師会連絡協議会報告

玉井修

那覇市医師会広報担当理事 玉井 修

田中正博氏

特別講演講師の田中正博氏(日医広報戦略会議委員)

会場風景

会場風景

毎年各地区の理事が集まり、活発な意見交換がなされる地区医師会連絡協議会は今回那覇市医師会の主催となりました。会議場の選定に関しては充分なスペースがあり、音響の設備も整い、午後の親睦ゴルフ大会へのアクセス等も考慮され、佐敷のウェルサンピア沖縄に於いて開催される事になりました。毎回協議をある程度絞って、深みのある討論がなされておりますが、今回は特に、マンション耐震偽装問題や東横イン問題等でクローズアップされたマスコミ対応のありかたを特別講演として取り上げました。また引き続き那覇市医師会の伊集副会長を進行役にして、国保・社保のレセプト審査の齟齬に関して多くの時間を割き、意義深い議論を行いました。

【特別講演】;医療トラブルの防止策と発生時の対応 ーマスコミ対応を中心にー

日医広報戦略会議委員の田中正博氏に御講演して頂きました。医療トラブルがどのような経路でマスコミに伝わったかがその後の報道の論調を大きく左右するというのは非常に興味深いご指摘でした。医療側がディスクローズするような形で事実が明らかになった場合と、マスコミサイドからの告発型の事実公表は論調が違ってきます。医療トラブルが発生したら医療側がむしろ積極的にディスクローズする対応が要求されます。以前は医療トラブルが生じた場合、自分の非を認める事になるので絶対に謝罪してはならない、また直接患者側との交渉をしてはならないと教えられました。しかし、昨今ではこの様な対応では今後のマスコミ対応としては不十分である事が指摘されました。医療事故などが生じた場合はむしろ積極的に医療側が患者側に赴き、誠意を示す事が大切であるとの事です。またマスコミ会見の席では事の真偽を争うような対応は逆効果であり、会見の場で法廷闘争の様な雰囲気になればマスコミの態度は敵対的になってしまいます。マスコミ会見の場では道義的な観点に立った対応と言葉の選択が重要で、医療側の誠意を伝えることが最も大事である事をお話頂きました。しかし、いざマスコミ会見の場に立たされ、様々な質問責めにあえば、こちらとしては保身的な言葉も出ようというもの。このあたり、実践にはかなりの力量が問われます。

【協議会】保険審査についてという事で、非常にデリケートな問題を取り上げました。進行は伊集守政那覇市医師会副会長です。社保・国保でレセプト審査基準が違い、社保で通る検査が国保で査定される様な事例がいくつか報告されております。審査基準の齟齬は、査定の件数を増大させ、これが巡り巡って保険診療の不適正請求としてマスコミに取り上げられます。我々医療側の信頼を取り戻す為にもこの様な齟齬は決して看過できるものではありません。医学的観点から見て妥当な審査基準への統一と、それを現場へ明確な形で伝えて欲しいものです。今回の協議会を踏まえて、今後の課題が見えてまいりました。これを機に継続した調整、議論が盛り上がっていくものと確信いたしました。協議会を閉めるにあたって社保・国保審査委員会に対して要請書の提出を採択致しましたので是非ご一読くださいませ。

要請書