よろしくお願いします。
同じ医療現場で協働する者として、本県の保健医療福祉及び看護の向上を目指して、良い関係を構築したいと思います。
この度は、本会会報に掲載するためのインタビューをお引き受け下さり、誠にありがとうございます。
本会広報委員会では、関係団体との連携を密にしていくためにも毎月、会報誌を発行し、インタビューコーナーにて各関係団体の会長さんにお話をお伺いしておりますので、本日は、お忙しい中、恐れ入りますが宜しくお願い申し上げます。
Q1.看護協会長にご就任されて1年が経とうとしていると存じます。この1年での苦労話を含めて、今後の抱負などをお聞かせいただけますでしょうか。
看護協会長に就任して、未だ1年未満です。前任者の敷いたレールを周りの職員に助けられて日々走るのに精一杯です。前が見えない状況なので周りの職員が苦労していると思います。総会を経験しておりませんので本当の苦労は此からだと思います。
看護協会は今年、沖縄群島看護協会創立55年を迎えます。協会組織の成長と共に社会的役割の拡大は目を見張るばかりです。各委員会が活発に活動を展開し特に研修事業は充実しています。今後は、未加入看護職者の質向上や県民を対象にした「まちの保健室」の機能拡大にも努めたいと思います。
Q2.つい2年前には、沖縄県は行政改革懇話会の答申を受け、浦添看護学校をどうするかを含め、県内の看護師需給見通しを発表したところでありますが、その結果は、平成17年度は800人程度の看護師不足という報告でありました。
看護協会としては、今後、どのような対策をお考えなのかをお聞かせ下さい。
浦添看護学校の民間移管について
昨年は医師会の大きなお力で多くの署名が集まり心強く思いました。感謝を申し上げます。県は看護大学を盾に養成所を全て民間へと考えておりますが、非常に残念です。民間においても立派な教育をしていますが、浦添看護学校の教員人事は県立病院との交流で行っている点で優秀な教員確保を可能にして県内の看護教育をリードしております。全国的には23県が県立大学と3年課程を、18県が大学と3年課程及び進学課程を有しています。本県は島嶼県として県外からの確保は困難な状況にあり、県立1校は是非とも存続して頂きたいと思います。
看護師不足の対策について
看護師不足の要因は、教育的な側面、職場の拡大、処遇問題、育児等が複雑に絡み合っていますので関係者が真剣に議論を重ねる必要はないでしょうか。
教育の側面では、看護領域の専門分化により教育科目が増えて実習時間も少なくなっています。更に、患者の権利擁護等の観点から実技的な実習が困難となり、基礎技術を取得しないまま卒業しています。新卒者の1年以内の離職率9.3%という報告があり、特に急性期の病棟で深刻なようです。加えて医療費適性化対策で入院期間の短縮化は、重症患者が多くなって看護師に負担が生じています。新卒者にはプリセプター制度でフォローしていますが、指導者も疲れ果て、うつ病も増えているようです。このような状況に対し看護協会の力は残念ながら微力です。初任者や看護管理者研修等を行っていますが、研修会を増やすことも有効かと思います。苦しい時こそ力を合わせて乗り越えたいです。また、ナースセンターの潜在看護師の掘り起こしや再教育等も強化する必要があると考えます。日看協は基礎教育期間の延長と卒後研修体制のあり方の検討を考えています。
需給計画によると当分は看護師不足の改善が期待できない中、人口の逆転現象で益々の少子化を受け、将来の人材確保に向けて色々な機会を捉えて低学年を対象に看護のすばらしさや看護職の魅力を伝える必要性を感じています。
Q3.昨今、医療安全対策を含め、倫理に関しての取り組みが重要視されてきております。
本会においては、会員に対して苦情・相談の事例をフィードバックしたり、医療安全に関する講演会を開催するなどの取り組みをしております。看護協会においての取り組みについて、お聞かせ下さい。
医療安全対策及び看護倫理について
臓器移植法制定等で看護場面においても患者の尊厳を守り、思慮ある行為が厳しく求められています。日看協は1988年に看護倫理規定を制定しましたが、2001年には保師看法を改訂して秘密を守る義務・漏洩に対する罰則規定を設け、2003年には規定を看護倫理綱領に改めました。若い看護師は価値観の多様化、自由な生活感覚や希薄な人間関係の中で育った者も多くなり、一方、患者の権利意識、情報公開の加速化等から当協会は基より各施設でも新規会員や新卒者に対して看護倫理綱領の教育強化を図っています。より良いケアリングの看護実践が浸透して欲しいです。
医療安全について
平成15年に医療看護安全対策委員会を発足させ、看護の安全対策に関するアンケート調査を行い情報提供や相談支援活動を行っています。また、新人に対する研修会や事例相談会を始め医療安全推進月間は独自のポスターや標語を作成して啓発に努めています。
Q4.本会に対しての要望などがありましたら、忌憚のないご意見をお聞かせ下さい。
私達の関係は車の両輪と言われます。同じ医療職場で協働する者として本県の保健医療福祉及び看護の向上を目指して良い関係を構築したいと思います、これからもご指導ご支援をよろしくお願い申し上げます。
Q5.最後に、大嶺先生の座右の銘やご趣味などをお聞かせいただけますか。
趣味と言えるほどのものは残念ながら持っていません。
好きな言葉は「和して同ぜず」常にコンセンサスを求めながらも自分らしさを持った生き方をしたいものです。
インタビューアー:広報担当理事 下地 武義