インフルエンザ検査
玉井修・曙クリニック(2019年3月6日掲載)
陰性で治療する場合も
毎年冬の時期に流行するインフルエンザ。最近ではインフルエンザウイルスの迅速 検査が多くの病院で受けられるようになり、インフルエンザ診療の様相はかなり変 化しました。しかし、ここでもう一度知っていてほしいことがあります。
インフルエンザに罹(かか)っている人で陽性反応が出るのは、検査キットにもよ りますが、60%ほどしかないのです。検査のタイミングで、発症して間もない人 や何らかのインフルエンザ薬を既に服用してしまった人は、罹っていても陽性に出 ません。
子どもさんでしたら、鼻に綿棒を突っ込むのを嫌がって十分な鼻水が取れず陰性に 出てしまうこともあります。よって、臨床現場の検査によって陽性反応を呈する確 率は6割ほどなのです。
私たち臨床医は、常に患者さんを診察し、検査キットの結果も踏まえながらインフ ルエンザか否かを総合的に判断します。
発症したばかりで高熱もない患者さんには「高熱が出たらその時に検査を行いまし ょう」と言って、風邪薬で経過観察することもあります。逆に、インフルエンザに 罹った家族を看病し、急激な高熱で発症した患者さんが喘息(ぜんそく)の持病を 持っていた場合は、たとえ検査キットが陰性でもインフルエンザと診断して治療を 開始します。
最近困るのは、検査は陰性でもインフルエンザと診断して治療を開始した患者さん が「A型かB型かを報告するように会社に言われたので再検査をしてほしい」とや って来る場合です。病院内にウイルスを撒(ま)き散らし、院内感染の原因となり ます。せっかくA型が完治したのに、完治証明書を取るために病院にやって来てB 型に感染して帰るということもあります。
インフルエンザが流行する時期は、正しいリスクマネジメントが社会に求められて います。診断書や完治証明書、インフルエンザではないという意味不明な証明書な どを不必要に求めて、院内感染のリスクを高めてはいけません。