ドケルバン病

真志取浩貴・ましどり整形外科(2019年2月6日掲載)

親指の使いすぎで発症


 手首の親指側の痛みで来院される患者さんが多く見受けられます。


 親指は他の指に比べて動く範囲が大きく、とても大切な指です。人さし指を使わな くても、物を持ったり字を書いたりすることは可能ですが、親指を使わないとかな り不自由になります。逆に言うと、手を使う動作ではほぼ親指を使っているため、 親指に負担がかかっていることは確かです。


 この手首の親指側に痛みが起こる腱鞘炎(けんしょうえん)には独特な病名がつい ており、ドケルバン病と呼ばれています。


 まず親指を動かす腱について説明します。親指を伸ばすときは伸筋腱が働き、親指 を曲げるときは屈筋腱が働きます。親指を広げる動作では、長母指外転筋腱(ちょ うぼしがいてんきんけん)、短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)が作用します。


 この長母指外転筋腱と短母指伸筋腱は手首の関節の親指側にあります。この二つの 腱には、腱を覆うトンネル状の腱鞘(けんしょう)が存在します。腱鞘は腱が潤滑 に動くための大切な役割を担っています。


 親指を使いすぎると腱鞘に炎症が起こり、腱鞘が腫れてきます。腫れた腱鞘と腱が こすれると、手首の親指側で痛みを感じるようになります。


 親指を手のひら側で握って手首の関節を小指側に曲げるとさらに痛みが強くなる というのが特徴的な所見です。悪化すると親指の動作時にゴリゴリする音を感じる ようになります。


 よく手を使う仕事をしている人がかかりやすい病気です。また、意外に多いのが、 出産後に乳児を抱きかかえる動作を繰り返す女性の事例です。


 治療の基本は、まずは局所の安静です。親指から手首の関節まで固定する装具を使 用することもあります。また、症状に応じて外用製剤や消炎鎮痛剤の内服を併用し ます。かなり炎症が強い症例ではステロイドの腱鞘内注射を行います。


 大半はそれらの方法で改善しますが、痛みや引っかかりが残る場合は、腱鞘を切開 して腱が動きやすいように改善する手術が必要になることもあります。

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