がんの放射線治療

戸板孝文・県立中部病院(2019年1月30日掲載)

安全で有効な選択肢


 今、がんは2人に1人がかかる身近な病気です。一昔前、がんは治療が難しい病気の代表でした。しかし治療法の進歩で、適切な時期の適切な治療で、完治や延命ができる病気になりました。


 昨年の本庶佑先生のノーベル賞受賞で、免疫治療がとても注目されています。いくつかの薬は、これまでの治療法で効果がなくなった進行がんの患者さんや、他の治療法が効きにくいがんの患者さんへの延命効果が証明され、われわれ医療者も期待しています。


 しかし、これらの薬もすべての患者さんに万能なわけではありません。特に他の臓器への転移がなく根治の可能性がある患者さんに、これらの薬が手術や放射線治療の代わりになるかどうかはまだわかっていません。また免疫治療の方法にはいろいろあり、効果が十分実証されていないものがあることに注意が必要です。


 現在、多くのがんで根治の望める治療法として、手術と放射線治療は欠かせません。アメリカではがん患者の約3分の2が、1度は放射線治療を受けているとのデータがあります。それに対して日本全国では約25%、沖縄県では約20%にとどまっています。原因のひとつとして、患者さんへの情報不足があると思われます。


 放射線治療装置や技術の進歩は急速です。昔言われたような不確かな治療ではありません。副作用の多くは軽くて一時的です。根治率(=5年生存率)も、がんの種類によっては手術で切除するのと差がないという臨床データが続々発表されています。多くのがんの診療ガイドラインで、放射線治療は選択肢のひとつに位置付けられています。また、放射線治療は、がんの進行で起こる痛みなどの苦痛を和らげる「緩和治療」としても有効です。


 市民公開講座や日本放射線腫瘍学会のホームページ(https://www.jastro.or.jp/customer/)などで「切らずに治すからだに優しいがん放射線治療」の正しい情報を得ることをお勧めします。

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