風邪の季節

仲原靖夫・仲原漢方クリニック(2018年12月26日掲載)

体を冷やさないで


 今年は冬の訪れが遅いような気がします。12月も最高気温が25度を超す日が続いて、昼間は半袖でも困らないほどですが、夜間は半袖、半ズボンでは心もとなく、寒気団が南下すると一気に冬の空気が流れ込んでくるので油断は禁物です。


 その証拠に、外来には、何となく風邪ぎみで咳(せき)・鼻水が止まらない人や、空咳が続いて治らないという人が目立ちます。そこでこの季節には、前もって風邪の漢方処方を頓服で持たせるようにしています。病院に来るまでの間にこじらせないようにとの配慮です。


 「傷寒論」という後漢の時代の漢方の古典は、人体が冷え(寒)によって体調を崩していく過程の、身近な症状と治療を論じています。ヒトが恒温動物である限り、時代や環境が変わっても体温維持機構の仕組みは変わらないので、その漢方処方は時代を超えて通用すると考えられます。


 冷えによって引き起こされる不調の代表は風邪ですが、その原因をウィルスに限定すると、普段の生活における冷えに対する注意がおろそかになりがちです。また国民病ともいうべきアレルギー性鼻炎も、体の冷えが関係していることがしばしばです。


 少し冷えると鼻がつまり、くしゃみ・鼻水へ続くお決まりの症状には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が有効です。さらに冷えの程度の強い場合は麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)に。これらの処方は鼻や咽喉を温めて効くため、冷たいものを摂(と)りすぎたり薄着であったりクーラーが強すぎたりして体を冷やすと薬が効きにくくなります。身体を冷やさないよう心がけて内服するのが漢方薬を効かせるコツです。


 長いこと鼻炎が治らないという児童生徒や、時には成人の方が見えることがあります。この人たちは例外なく冷蔵庫の冷たい水、アイスコーヒー、果物など体を冷やす飲食物をよく摂っています。学校の部活でも飲料用の氷水が用意され、これでは鼻炎も治らないと思います。鼻炎の人は風邪が長引きがちで、咳が続き喘息(ぜんそく)になりかねないので注意です。

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