すい臓がん
松村健三・砂川内科医院(2018年11月28日掲載)
エコー検査で早期発見
9月に国立がんセンターが、がんの診断から3年が経過した患者の生存率を初めて公表し、部位別ではすい臓がんが15・1%で最も低いと報告されました。
すい臓がんの発見の契機は上腹部痛、背部痛、黄疸(おうだん)、糖尿病の悪化、体重減少などの症状です。これらはがんがすい臓内にとどまっている「早期」ではなく、周囲組織(神経、血管、リンパ節)へ浸潤して進行がんに変貌していることを示しています。開腹して腫瘍を切除しても、周囲組織への浸潤を根こそぎ取り除くことはほとんど不可能で、放射線療法や化学療法などを行っても術後5年生存率は8%未満です。
このようなすい臓がんに対し本年度、早期膵癌(すいがん)研究会から200例の早期がん切除例が報告されました。それによると、ステージ0期~I期(腫瘍サイズ1センチ以内)の早期がんは、全体の2%にすぎませんが5年生存率は80%以上と極めて良好です。70%が検診や他の疾患で偶然に見つかった無症状の症例でした。75%に画像診断(エコー、CT、MRI)で膵管(すいかん)の拡張所見が得られ、腫瘍像は半数程度しか認められませんでした。早期診断に膵管拡張が重要所見であることが再認識されました。
エコー検査では、すい臓全領域(頭部・体部・尾部)の描出は肥満や腸管ガスに影響され困難なこともありますが、体部は比較的観察されやすく、この領域の膵管拡張をチェックすることが重要です。
すい臓がんの高危険因子として(1)家族歴(特に姉妹)(2)糖尿病(3)肥満(4)喫煙(5)飲酒(6)すいのう胞(7)慢性膵炎(すいえん)が挙げられます。糖尿病、肥満が国民病である米国ではすい臓がんががんの第2位を占めます。広島県尾道市で始まった、地域基幹病院と開業医が連携した早期膵癌(すいがん)プロジェクトの取り組みが全国に広がりを見せ、多数の早期がんが報告されてきています。
メタボの人が多い沖縄県では、検診などの折にエコー検査を行い無症状のうちに拾い上げていく努力が、医療サイド、行政サイドにも求められています。