50歳以上の帯状疱疹

嘉陽宗亨・嘉陽皮膚科(2018年11月21日掲載)

水痘ワクチンに予防効果


 帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気をご存知でしょうか? 主に小児期に水痘(みずぼうそう)にかかった後に、神経に潜伏していたウイルスが免疫低下により再活性化し、皮膚症状と痛みを伴う病気です。日本人の約3人に1人が80歳までに経験すると推定されており、決してまれな疾患ではありません。


 50歳以上の患者の約2割が、長期に痛みが持続する「帯状疱疹後神経痛」になると言われており、痛みのために日常生活がままならない方も多くみられます。


 帯状疱疹の患者の約7割が50歳以上ですが、どのような方が発症しやすいのか具体的なことはまだ分からないことが多く、発症して初めて病気のことを詳しく知る人が大半です。


 われわれ医療を施す側としても、痛みを改善する新薬が次々と登場してきたとはいえ、治療に反応しづらい頑固な痛みに苦しみ続ける患者さんをみるにつけ、じくじたる思いを抱き続けてきました。初期治療が早いほど痛みが残りにくいとされていますが、高齢で自分の皮膚症状に気づかず、どの科にかかればよいか迷ってタイミングを逸する人もいます。


 以前は、初期治療を早期に開始するために、病気の理解を深める啓もう活動や各科の連携を緊密にすることくらいしかできませんでした。しかし2016年、水痘ワクチンに50歳以上の方に対して帯状疱疹の予防という効能効果が新たに追加されました。帯状疱疹の発症率が約半分に低下し、帯状疱疹後神経痛の発症率が半分以下に低下し、痛みなど重症度の軽減効果もみられます。予防効果は少なくとも5年間持続します。


 一昔前までは説明してもなかなか理解してもらえないことが多かったのですが、近年はインターネットの普及と健康問題への関心の高さからか、知っている人も多く、「これは帯状疱疹では?」とご自身でおっしゃって来る患者さんもいらっしゃいます。


 さらに一歩踏み込み、水痘ワクチンを受けて帯状疱疹に罹患(りかん)するリスクを減らして、高齢化社会を健やかに過ごしませんか。

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