高齢者の食事姿勢
金城聡彦・かじまやークリニック(2018年11月14日掲載)
腕の自由や背筋に注意
高齢者の食事姿勢で注意すべきポイントとして(1)上肢が自由(2)背筋の伸展(3)姿勢の安定―を紹介します。
(1)上肢が自由 使いやすい食器類(器・はし・スプーン等)を利用し、テーブルと椅子の距離を適切にし(軽くひじが曲がるくらい)、上肢が自由に動ける環境づくりが大切です。
器も、本人の状態に合わせて重く滑りにくくしたり、軽く持ちやすいものにしたりします。老人ホームなどの施設利用者は、自宅で使い慣れた食器に変更するなどの工夫が有効な場合があります。
(2)背筋の伸展 背筋が曲がった状態(円背)では、あごが下がり飲み込みにくさが生じ、食べこぼしが多くなります。また大きく息が吸えないので、強く咳(せき)やむせができません。そのため気管に入った食べ物や唾液を出すことができず、誤嚥(ごえん)性肺炎の原因となります。
さらに、円背では大きく息が吸えないため頻呼吸となりがちです。通常、食べる時は軽く息を吸って飲み込み、嚥下(えんげ)(ごっくん)の後息を吐くのですが、頻呼吸では嚥下の後に息を吸ってしまいやすく、のどに残った食べ物や水分が気管に吸い込まれ誤嚥となってしまいます。
(3)姿勢の安定 食べ物を飲み込む時は、のどのほか首や肩などさまざまな筋肉を使います。体の姿勢が安定していないと全身でバランスを取ろうとするため、首や肩の筋肉も緊張し、飲み込みがうまくできなくなります。椅子に深く座るまたはクッションなどで体を固定し、足を地面やフットレストに接地させ全身を安定させることが大切です。
食べ物の送り込みがうまくできない場合、体を傾けて(リクライニングやチルトという)飲み込んでもらう方法があります。その際、頭の重さであごが上がりがちとなり飲み込む時の運動がうまく行えず、誤嚥の原因となります。頭の後ろにタオルなどをはさんで軽くあごを引いた姿勢を保つことが大切です。
高齢者にとって食べることは最後の楽しみとも言われます。少しでも豊かな人生のためのヒントとなれば幸いです。