乳がんと生活習慣
宮良球一郎・宮良クリニック(2018年9月26日掲載)
予防へ正しい知識を
女性にとって身近な病気である乳がんは、11人に1人の割合で発症し「早期発見・正しい治療」が重要です。また、生活習慣の改善で予防やリスクを下げられる可能性のある生活習慣病でもあります。
今年「乳癌(にゅうがん)診療ガイドライン2018年版」が発刊されました。多くの臨床試験のデータを解析し、科学的根拠に基づいた最も信頼のおけるガイドラインです。その中で乳がん発症に関する生活習慣、環境因子など、われわれが日常疑問に思う点を取り上げて解説しています。
乳がんのリスク要因は(1)閉経後の肥満(2)糖尿病(3)アルコール摂取(4)喫煙・受動喫煙(5)乳腺良性腫瘍の指摘(6)身内に乳がん(7)高濃度乳腺(デンスブレスト)(8)閉経後の女性ホルモン補充療法―などです。
逆に発症予防の可能性が高い因子は、閉経の前と後で多少違いはありますが、(1)身体活動(2)カロチノイドを多く含む食品(緑黄色野菜等)の摂取(3)乳製品の摂取―などです。
身体活動とはスポーツだけではありません。立ち仕事、買い物、階段昇降、家の掃除など、生活活動も有効な運動です。乳製品は悪いと断言する外来受診者がいますが、逆に予防の可能性が高いという結果が出ました。
欧米では否定的な大豆食品は、日本ではリスクを減らす可能性が少しあるようです。ただし、サプリメントのイソフラボンにはリスクを減らす作用はなく、厚労省は過剰摂取をせず1日30ミリグラム以下とするよう注意を喚起しています。
さらに、乳がんに限らずがん予防のための食品サプリメント摂取も勧めていません。ビタミンCも、摂取量が多い群でリスク増加が報告されていますので、取り過ぎに注意しましょう。
21世紀に入り、沖縄県の乳がんは発症数、発生率ともに増加しています。その大きな要因は、全国トップレベルの肥満であり、車依存による運動不足などです。これらはすぐに解決できる問題ではありません。まずは正しい知識を身に付けて乳がん予防に取り組んでみましょう。