糖尿病網膜症

松永道男・読谷松永眼科(2018年9月12日掲載)

進行抑制の治療重要


 糖尿病と聞いてどういったことを思い浮かべるでしょうか。心筋梗塞や脳梗塞などの血管が詰まる病気になりやすい、腎臓が悪くなるということを想像されるでしょうか。実は、目の中も糖尿病によって障害を受けてしまうことをご存知でしょうか。


 糖尿病網膜症といって、糖尿病により見るための神経の集まりである網膜に変化が出てきます。高齢者だけでなく中年から若年者でも発症し、いまだに日本人の失明原因の第3位ということで、非常に問題となっています。視力障害や飛蚊(ひぶん)症などの症状が出て初めて眼科を受診するという方も多く、受診時にはすでに末期であることもしばしば経験します。


 糖尿病網膜症は大きく分けて単純期、前増殖期、増殖期と進行していきます。血管が損傷を受けるため、眼内のいたる所にもろい新生血管ができ、線維性の膜(増殖膜)ができます。前増殖期、増殖期まで症状が出ないことも多く、自身で気付いて受診するということが難しいのです。加療しなければ改善することはなく、増殖期になると増殖した膜による網膜剥離や緑内障を引き起こし、失明に至ります。


 進行抑制のためには、何よりも血糖のコントロールが重要なことは言うまでもありませんが、適切な時期に、レーザー治療や抗VEGF薬・ステロイドの眼内・眼外注射を行い、硝子体(しょうしたい)内出血や網膜剥離が起きた際には硝子体を切除して治療することが重要です。


 しかし非常に進行した状態では、治療のかいなく失明に至る方もいます。私自身、硝子体手術を手掛ける立場として、糖尿病網膜症を進行させず重症化させない状態で手術に臨んだ方が術後結果が良いことが多いのです。患者さんにも、忍耐強く診療にご協力いただくようお願いしております。


 また、眼科での眼底検査をせずに糖尿病網膜症を発見することはできません。糖尿病を指摘されたら、症状が出現する前に必ず眼科受診および定期的な経過観察を受けるようお願いします。

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