感染症の発熱ケア

安里義秀・あさとこどもクリニック(2018年8月22日掲載)

経口摂取の低下に注意


 子どもの熱が続くと、本人が元気であってもとても不安になりませんか? 発熱そのものが病気であり、身体には有害なだけだと思っていませんか?


 それは多くの人の発熱への認識だと思います。実際、医学の歴史においても、古代では発熱は悪魔や死神がもたらすものとして、近代では健康を害する病気(病因)そのものとして認識されていました。


 一方で「元気があれば熱さましは使わなくてもよいのですよね」と確認してくる保護者が増えているのは頼もしく思えます。


 発熱に対する考え方が変わったのは20世紀に入ってからで、一部の感染症での発熱療法(発熱、または外部からの加熱)の効果が確認されたことが寄与しています。さらに感染症以外の疾患も含め“発熱の役割”に対する研究が進んできています。


 発熱時には、身体の中で免疫を担当する細胞から指令が出て、維持すべき体温のレベルを設定し直し、他の免疫細胞を刺激して病気の元を攻撃させていることがわかってきました。発熱は人にとっては苦しい環境なのですが、病原体にはさらに苦しい環境なのです。むやみに熱を下げればよいのではありません。


 発熱は感染症に抵抗するために必要なのですが、不快感も伴うため、水分や食べ物の経口摂取が低下することがあります。そうなると水分、電解質、糖分の摂取が低下し、脱水や低血糖となることがあります。低血糖や脱水はいろいろな臓器の障害を来す可能性が高くなります。


 食欲が減退しているときは本人がおいしいと思うものを優先して食べさせてください。それもだめなら、アイスクリームなどでも構わないので甘いものを取らせてください。


 水分は小まめに取り、普段の3分の2以上は維持するように頑張ってください。維持できない場合は残念ながら点滴をしなければなりません。その際には家での経口摂取の状況、尿量(肌感覚で構いません)を病院で伝えてください。

このページのトップへ