細菌とウイルス
真栄城徳秀・真栄城耳鼻咽喉科(2018年7月4日掲載)
抗生物質が効くのは?
細菌とウイルスがまったく別の生き物だということをご存じでしょうか。
どちらも目に見えない小さな生き物で、しばしば病気を引き起こす原因になっています。細菌の大きさは1ミリの約1000分の1しかなく、ウイルスはもっと小さく細菌の10分の1の大きさです。両者は10倍大きさが違うだけでなく構造もまったく違います。
診察室であった私と患者さんとのやりとりです。
〈私〉喉のバイ菌検査でインフルエンザ菌が出ましたので抗生物質を出します。
〈患者〉インフルエンザの薬は出さないのですか。
〈私〉必要ないので出しません。
〈患者〉だって先生はインフルエンザ菌が出ていると言ったじゃないですか。
〈私〉あなたはインフルエンザ菌による急性咽頭炎であって、インフルエンザではありません。インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスはまったく別の生き物です。インフルエンザ菌は主に中耳炎や髄膜炎などの原因となる細菌で、インフルエンザの原因ではありません。インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスです。
抗生物質は細菌のみをやっつける薬なので、正確には抗菌剤といいます。ウイルスをやっつけることはできません。なぜでしょうか?
細菌は細胞壁という薄い膜で表面が覆われています。代表的な抗生物質ペニシリンはこの細胞壁を壊すことで細菌をやっつけます。一方、ウイルスには細胞壁そのものがありません。ペニシリンを投与されてもへっちゃらなのです。したがって、ウイルスが原因の病気の時に抗生物質を飲んでも効果はなく、お金のムダ使いと言えます。逆に細菌が原因の病気の時は抗生物質を飲むべきです。栄養と睡眠で治そうとすると長引きます。
医者は患者さんが痛がっている所を診たり、触ったり、場合によっては綿棒で細菌やウイルスの検査をします。また、血液検査で細菌による炎症反応があるかを調べることで、抗生物質を出すかどうかを決めています。