原因探り、根本解決を
原 信一郎・はらクリニック(2018年4月25日掲載)
ストレスと発熱
風邪はウイルスや細菌による感染症です。鼻水、咽喉の痛み、咳(せき)とともに体温が上昇して発熱します。一方、感染症とは違い、心理社会的なストレスが発熱を起こすことがあります。心因性発熱と呼ばれています。
風邪の場合は、ウイルスや細菌と闘うために免疫細胞であるマクロファージがサイトカインという物質をつくり、それが他の免疫担当細胞を次々と勢いづかせてウイルスや細胞を倒していきます。また、このサイトカインはプロスタグランディンという発熱を起こす物質と共同して脳で熱を起こす物質と共同して脳で熱を産生し、熱を下げる反応を抑える働きがあります。このような発熱には解熱鎮痛剤が効果を発揮します。
一方、心因性発熱はストレスによる体温上昇です。そのメカニズムはまだはっきりしていませんが、ストレスが主に交感神経を緊張させそれが褐色脂肪細胞を刺激して熱が産生されるといわれています。37℃程度から38℃以上の高熱も出ます。解熱鎮痛剤はまったく効果がありません。
ところで、心因性発熱にはどのようなストレスがどのように関与しているのでしょうか。お子さまの場合は、かつては親や教師から過剰な期待をかけられ、それに応えようと必要以上に無理をして努力する頑張り屋さんに多かったのですが、近年では、学校でのいじめ、家庭での虐待、両親の不和などのストレスが関与しています。
大人の場合は、職場や家庭での人間関係、過重労働や介護などのストレスが少なくありません。いずれにしても常に慢性的なストレス状態が続いていて、そのうえにさらに強いストレスが加わったときに発熱します。
治療は、睡眠・休養をしっかりとる生活を心がけること、また心理療法、自律訓練法、薬物療法などもありますが、ひとりひとりが抱えているストレスをはっきりさせ、治療者と一緒に根本的な解決策を考えていくことが大切です。
なお膠原(こうげん)病や悪性腫瘍なども発熱の原因になるのでそのための諸検査も必要です。