早期治療で改善の可能性

久田 均・脳外科クリニックくだ(2018年4月18日掲載)

急性の認知症


 団塊の世代が後期高齢者になる時代を迎え、認知症の患者数も急増する時代が想定されています。原因はさまざまですが、アルツハイマー型の認知症など、その多くは数年をかけて徐々に症状が進行してきます。しかし、記憶力低下や見当識障害(通い慣れた道で迷うなど)といった認知症のような症状が、数日から数週で急性に出現してきた場合は注意が必要です。


 一般的な認知症と違い、早期の治療により症状が劇的に改善する疾患である可能性が高いからです。そのような疾患のうち脳に原因のあるものの代表例が慢性硬膜下血腫です。軽微な頭部への外傷が原因で脳と硬膜の間に徐々に血液が貯留してくる状態で、比較的簡単な手術で大多数が元の元気な状態に戻ります。次に重要なのが脳出血や脳梗塞です。脳は部位によって働きが決まっており、手足の動きや話す能力に関連した部位が出血や梗塞でダメージを受けると、本人も周りにいる人たちも異変に気づきます。


 これらとは別の部位に出血や梗塞が生じて、認知機能低下のみが症状として出現してくる場合があります。無自覚のため治療を受けずに放っておくと、症状が進行したり、手足の麻痺(まひ)など他の症状まで出現してくる可能性があります。早期の診断にはMRI検査が必要です。CT検査もある程度の診断は可能ですが、脳梗塞は見つけられない可能性が高くなります。脳出血や脳梗塞で生じた認知機能低下は治療によりある程度回復しますが、ダメージを受けた部位や範囲によっても違い、元の状態にまで回復する場合も、ほとんど回復しない場合もあります。ただ、より早期の治療が良い結果につながるのは事実です。


 その他に、主要脳血管の閉塞(へいそく)が原因で認知機能低下が起こることがあり、MRIか造影CT検査でなければ診断できません。早急に認知機能低下が出現してきた場合、本人に自覚がなく、周りにいる家族や友人に指摘されるまで気づかれないこともあるので、用心していただきたいと思います。

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