下肢の痛み

真志取浩貴・ましどり整形外科(2018年3月21日掲載)

腰椎異常で歩行障害も


 背骨という言葉はよくご存じかと思います。これは頸椎(けいつい)、胸椎、腰椎、仙椎から成り立っており、いわゆる脊椎のことです。脊椎の簡単な構造を説明します。脊椎は椎体骨が一つ一つバランスよく配列され、椎体骨の間には線維軟骨を含む椎間板が存在します。さらに並んだ椎体骨がぐらぐらしないように多くの靭帯(じんたい)が張り巡らされています。脊椎のほぼ中央に筒状の構造をした脊柱管内に、脊髄神経は存在しており、外傷などで損傷しないように脊椎で保護されています。


 では、なぜ腰椎の障害で下肢痛が起こるのでしょうか。腰椎は第1~第5腰椎まであり、腰椎の脊柱管に存在する神経は馬尾(ばび)神経と呼ばれ、股関節、殿部から足先までの神経支配をしています。ですから腰椎の構造に異常が生じた場合、馬尾神経が圧迫され下肢に症状が現れるのです。それでは腰椎が原因で下肢痛が起こる代表的な疾患を解説します。


 腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症という病名があります。本来は馬尾神経を守るはずの腰椎に、椎体関節の変性が起こり、脊柱管の配列異常が生じます。また椎体骨に付着している靱帯が加齢的変化で肥厚するなどさまざまな原因で脊柱管のスペースが狭くなり、その結果、馬尾神経を圧迫します。典型的な症状は歩行距離が延びるほど、左右の殿部から大腿(だいたい)部後面に痛みや、だるさ、しびれが強くなり、途中で休むと症状が改善する間欠性跛行(かんけつせいはこう)という歩行障害が出てきます。


 神経の圧迫がひどいときには、排便・排尿に異常をきたす膀胱(ぼうこう)直腸障害が現れることもあります。治療はまず内服加療を行います。近年は内服薬の進歩もあり、数種類の内服薬を組み合わせることで痛みの軽減が可能になりました。内服効果が得られないときには、神経ブロック治療の適応になります。しかし、内服、神経ブロックでも効果がなく、さらに膀胱直腸障害を伴うときは、脊柱管の狭搾をもたらした原因である骨、靭帯または椎間板を切除する手術方法も考えなければなりません。もし心配な点がありましたら、近くの整形外科にご相談ください。

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