耳の詰まりや痛み
宮城裕二・みさと耳鼻科(2018年1月31日掲載)
不調の原因、鼻にあり
ある日の外来で、患者さんと医者の会話。
患者さん「明日、飛行機に乗るのですが大丈夫ですかね?」
医者「はい。いい天気ですから、飛行機出ると思いますよ」
患者さん「え!? 飛行機で耳が痛くなることを相談しているのですよ!」
医者「今日は正常ですが、鼻水が多いので明日は心配です」
患者さん「鼻が悪いと耳が痛くなるのですか?」
飛行機の上昇時や降下時、車で急坂を走行時、エレベーターで移動時に耳が詰まったり痛くなったりする症状は、「耳管」という管が関与します。耳は鼓膜により「外耳道」と「中耳空」に分けられます。外耳道に入って来た音により鼓膜が振動するほど音も大きく感じられます。耳管は気圧調整を行い、外耳道と中耳空の気圧が等しくなったときが最も鼓膜の振動しやすい状態となります。耳管は中耳空と鼻腔(びくう)につながり、「耳管開口部」から空気を取り入れたり排出したりして、中耳空の気圧調節を行います。
普段は唾液や水を飲み込むときに耳管開口部の開閉が自然に行われるので空気の出入りを感じません。しかし風邪をひき、鼻炎になると耳の症状が出てきます。鼻炎のときは鼻の空洞に炎症性鼻汁が多量にたまることで鼻水が流れ出し、鼻汁が喉の奥に流れる後鼻漏(こうびろう)が「咽」に垂れて痰(たん)のからんだ咳(せき)が生じます。そのような状態になると耳管開口部も粘膜が腫れて耳管が閉鎖され、中耳空に空気を送り込めなくなり、耳の詰まりや痛みを感じるのです。
鼻水の多い乳幼児は注意が必要です。子どもの鼻水は自然に軽快することが多いですが、2週間以上鼻水が続く場合や、膿(のう)性の鼻水に変化したときに、中耳炎になる恐れが出てきます。また「うちの子は鼻水がないから大丈夫」と思いがちですが、鼻の入り口は小さく、前から出にくいだけで鼻の奥には多量の鼻汁が隠れていることもよくあります。中耳炎を繰り返している乳幼児は鼻に原因があることが多く、鼻の継続した治療が必要です。 「耳の不調は鼻にあり」です。