「嘔吐」

西平守樹・西平医院(2018年1月24日掲載)

胃腸病以外も原因に


 ウォエー!!と、突然ものをもどす。家の人は何事かと心配します。何だろう、何が起こったのだろう。その後、胃や腸の病気だろうと考えて、病院を受診することになります。確かに、急性腸炎が嘔吐(おうと)の原因であることはたくさんあります。でも、何かをもどす原因は、腸炎だけでしょうか? 腸炎以外の嘔吐の原因を考えてみましょう。


 皆さんは、よく経験すると思いますが、自分が、あるいは自分の子が妊娠していて、つわりでもどすことを知っていると思います。ただ、嘔吐には、いろんな原因があるのです。


 もどしている子を見る時に、同時に悪心があるか否かが大切です。多くの場合は、ムカムカして吐きます。でも、小児の嘔吐のように、ムカムカせずに吐く場合があります。例えば、幽門狭窄(きょうさく)やイレウス等の時には、突然吐いてしまいます。


 このような消化管の病気以外にも、多くの原因で嘔吐は起こります。まず、頭の中で、脳の圧が亢進(こうしん)する状態(脳出血や髄膜炎等)でも、頭痛に伴って嘔吐します。


 また、目からもきます。くるくる回るものをずっと見ているだけで悪心嘔吐を催します。


 耳はメニエール等、平衡感覚の障害の時、ちょうど乗り物酔いと同じ状態で悪心嘔吐を起こします。腸以外の肝、胆、膵、腎の病気でも悪心嘔吐は起こります。


 次には中毒です。最初に話したように、妊娠中毒の嘔吐は皆さんよく見ていますが、薬のジギタリスや喘息(ぜんそく)の薬のアミノフィリン等、薬の量が多くて嘔吐することもあります。薬そのものの中毒ではないのですが、最近高齢女性が、骨粗しょう症の治療でVitDを服用して、そのために血中のCaが上昇して嘔吐する症例があります。


 このように、嘔吐の原因は腸の病気だけでなく内臓の問題、頭、薬物…いろんなものがあります。「もどした!」を即、腸の病気と考えず、いろんな病態があることを念頭に置き、内科医に相談してください。口から物(食べ物や飲み物)を取れない状態そのものが脱水を引き起こし、そのことが大きな問題となるからです。

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