腹部大動脈瘤

洲鎌盛一・牧港中央病(2018年1月3日掲載)

破裂すると致命的


 ご存じのように、大動脈は心臓から体の隅々まで酸素をたくさん含んだ血液を運ぶ太いパイプのような管です。胸の中は胸部大動脈、おなかは腹部大動脈と呼ばれます。大動脈瘤(りゅう)という病気は動脈の大きさ(径)が風船のように、徐々にこぶ状に膨らみ、突然破裂する致命的な病気です。


 主な原因としては動脈の老化現象(動脈硬化)です。高い血圧が、弱くなった動脈の壁を中から押すために、こぶの膨らみが進行します。厄介なのは痛みなどの症状がなく、見つかりにくく、破れるまで数年以上かかります。まるで風船がゆっくり、ゆっくり膨らんである日突然パンクするようなものです。


 破裂してしまうと、突然の激しい腹痛、背中の痛みがあり、たいてい救急車で病院に運ばれますが、救命が難しくなります。動脈瘤の危険因子としては65歳以上の男性、喫煙、高血圧、家族歴があげられます。ただ、男性より少ないだけで、女性にも起きる病気です。へそのあたりにドクドクするこぶを触れることで発見される時もあります。おなかの検査(エコー、CT検査)で偶然発見されるときもあります。


 動脈瘤の危険因子を持った方は、かかりつけ医、血管の専門医にぜひご相談をお勧めします。動脈瘤の予防には、塩分控えめの食生活、適度な運動、禁煙など普段からの生活習慣が大切です。腹部大動脈瘤は大きさが4~5センチ以上になると破裂の頻度が高くなり、手術を勧めています。破裂してからでは救命が難しくなるからです。


 治療は、開腹して瘤を切除し、人工血管に置き換える従来の方法と、開腹せず体に負担の少ない血管内ステントグラフト治療があります。両足の付け根辺りを3~4センチ切開し、動脈にステントグラフトのついたカテーテルを入れてこぶの中から動脈瘤の破裂を防ぐ方法です。


 どちらの方法が適しているのかは、専門医の先生の意見が必要です。日本心臓血管外科学会の2013年集計では、1万6754例の腹部大動脈瘤手術が行われ、そのうち8809例のステントグラフト治療が報告されています。生活習慣を見直して予防、早期発見に努めましょう。

このページのトップへ