診療雑感
中山仁・中山内科医院(2017年12月20日掲載)
「本当はウサギがいい」
長く医者をやっていると、ちょっとおもしろい話もいくつかあるので紹介します。
・ジンマシンで受診した中年女性。
「毎日、かゆくてかゆくて大変! 先生、私エネルギー体質じゃないかねぇ!」
(…まあ、元気そうには見えますが…)
・受付で、若い男性患者の明るい声。
「また、風邪ひいちゃってさ。そうだ、この前の解熱剤だけど、あれさ、よく効いたけど、とても飲みにくかったよ、なんかヌルヌルして気持ち悪いし、でかすぎるよ、あの鉄砲の弾丸(たま)みたいなやつさぁ」
(…どうも、説明が悪かったのかな…)
・おしゃまなマホちゃんのお母さんはおなかが目立ってきた。
「お母さんのおなかに赤ちゃんがいるんだよ」マホちゃんはうれしそうだ。
「そう、マホちゃんは男の子と女の子、どっちがいいかな?」
マホちゃんはモジモジ、クネクネして答えない。お母さんと診察室を出ると、すぐ一人で走って戻って、背伸びして私の耳元でささやく。「あのね、本当はウサギがいいんだけど…」お母さんには内緒らしい。
(ウサギかぁ…、う~ん、マホちゃん、ウサギはかわいいけど、人間の赤ちゃんもとってもかわいいから、きっと気に入るよ)
・予防接種のたびに大泣きするシュンちゃん、今日も診察の時から目はウルウル、唇をわななかせて、泣く準備だ。
しかし、今日はいつもとちがった。
「あれ?シュン、今日は泣かないね、どうしたの?」。待合室から母親の声。
「うん、おじさんがね、泣かなかったらマブヤーになれるって言ったから」
(おじさん、とは私の事。確かにそう言ったなぁ、ありゃあ、子どもをだましちゃったか…。でもね、シュン君、大きくなっても、たぶん君はマブヤーにはなれないけど、マブヤーになるために痛い注射をがまんして、泣かなかった君だ。男らしくて、かっこいいお兄さんに、きっとなれるよ)