子どもの熱や咳

城間昇・しろま小児科医院(2017年11月15日掲載)

風邪に抗生剤は不要


 発熱や咳(せき)、鼻水などの風邪(感冒)症状のある子どもさんは、小児科や耳鼻科の外来を受診されます。当院では、ほとんどの風邪の患者さんに抗生剤は処方していません。


 診察後、「熱と青っぱながあるので、抗生剤をください」との申し出がよくあります。「熱はウイルスの感染によるものなので、抗生剤は必要ありません。ウイルスや鼻粘膜の常在菌や白血球の死骸で濁った鼻水が青っぱなです。それが鼻腔(びくう)に溜(た)まっているだけで、体に入って悪さをして(感染して)いるわけではないので、抗生剤は必要ありません」と返答しています。


 「万が一のために、とりあえず抗生剤」と風邪のたびに抗生剤を飲み続けていると、抗生剤の効かない耐性菌が、鼻や喉の常在菌に取って代わってはびこることになります。もし、この耐性菌が喉から肺へ感染すれば、抗生剤の効かない重症肺炎になり、免疫力の弱い子どもや高齢者は命さえも失いかねません。


 また、抗生剤によって腸内の細菌叢(そう)が破壊され、下痢が長く続いたり、身体の抵抗力が落ちて、ますます風邪を引きやすくなったりします。ところで、抗菌薬(抗生剤)の不適正使用による耐性菌のまん延は国際的な課題であり、厚労省は「抗微生物薬適正使用の手引き」を公表しました。これは、軽い風邪や下痢の患者に対する抗生物質の投与を控えるよう呼びかける手引書で、外来診療での抗生剤の不適正使用を戒める内容となっています。


 ただし、抵抗力の弱い乳幼児は対象外となっています。乳幼児が高熱を3日以上出したり、不機嫌でミルクの飲みが悪くなったり、嘔吐(おうと)してぐったりしている時は、重症細菌感染症の可能性がありますので、速やかに小児科を受診してください。


 反対に、発熱があっても不機嫌なくミルクが飲めている乳幼児には抗生剤は不必要です。もし外来で抗生剤の処方があるときには、「どうして抗生剤が必要なのか」納得のいく説明を受けてください。

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