虚血性大腸炎

金城光世・光クリニック(2017年11月8日掲載)

血便で失神、大変?!


 便に血が混じると誰でも心配になります。大腸がんによる症状の可能性もあるので血便があればぜひ消化器の専門の先生に相談してほしいのですが、一方症状は重いのにもかかわらず比較的心配ない場合もあります。


 便秘のため緩下剤を服用した後、時として強い左下腹部痛と便意をもよおすことがあります。腹痛は冷や汗をかくほどで、やっとの思いで排便するのですが、その後も腹痛は続き、繰り返し排便しながら下痢便、ついには血液が混じる粘液便になります。その間30分ないしそれ以上の長時間トイレの中にこもることになりますが、時にはトイレの中で失神する方もいます。


 大腸カメラで見ると、大腸の限られた部分だけが炎症を起こし、むくんで出血しているのを認めます。なぜこんなことが起こるのでしょう?


 便秘時のように比較的多めの便がある場合、便を出すための腸の蠕動(ぜんどう)運動も強くなりますが、緩下剤は腸の蠕動運動をさらに亢進(こうしん)させます。


 亢進した腸の運動にみあった血液が流れないと腸の細胞が酸素不足に陥り、障害を受けます。蠕動運動が治まり血流が回復した時、障害を受けた部分は血液成分が漏れ出てむくんだ状態になります。強い蠕動運動を繰り返しながらむくみが悪化、血液成分が漏れ出るので血圧も低下し、時に失神してしまいます。


 虚血性大腸炎と呼ばれる疾患なのですが、若い方は上記のように便秘や緩下剤の服用が誘因になります。しかし高齢の方の場合、動脈硬化による血流低下が原因のことが多く、血流が回復せず重症になりますから注意が必要です。腹痛、血便とともに時に失神することもあり、大変な病気ではないかと心配し受診されますが、若い人の場合、水分を十分に摂取することで入院もせずに数日で良くなります。


 しかし、繰り返しになりますが血便がある場合はぜひ消化器の先生にご相談ください。血便の原因はいろいろで、がんやそれ以外の治療すべき病気もありますから検査は必要です。

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