大人の発達障害
仲本譲・博愛病院(2017年8月16日掲載)
特性を知ること大事
「コミュニケーションが苦手」「人間関係がつくれない」「天然キャラといじられる」など、日常生活や職場でお困りになることはありませんか? 最近はテレビやインターネットなどで発達障害に関する情報が広まり、「自分もそうかも」と相談に来られる方が増えています。発達障害は自閉スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などいくつかのタイプがありますが、今回はその中でも、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などを含む自閉スペクトラム障害(ASD)についてお話しします。
ASDは、空気を読むのが苦手、相手の意図をくみ取ることが困難、一つのことにこだわり過ぎる、などが特徴です。一方で得意な分野では非凡な能力を発揮し、学問、芸術、スポーツなどさまざまな分野で活躍される方も多くいらっしゃいます。
これらの特性は生来のもので、これまでは学童期に診断されることが一般的でした。しかし近年、幼少時はご本人の努力や高い能力、周囲の人の配慮で、何となく生きづらさを感じながらも過ごせていたのが、成長して社会に出て、複雑な状況での判断やコミュニケーションを求められる中で行き詰まり、さまざまな精神症状(不眠、抑うつ、不安、緊張等)で初めて精神科を受診し「成人ASD」の診断となる場合が増え注目されています。
ASDの診断は生育歴や心理検査、ご両親からの情報など、総合的に判断します。治療は、合併する精神症状への対症療法も行いながら、何より自身の特性に対する理解を深め、困り事への対処法を獲得するといった行動療法が主となります。行動療法は個別のカウンセリングも有効ですが、同じ特性を持つ方同士で集まり、安心感を持ちながらスキルトレーニングを行う集団療法もより効果的です。
なかなか自分でもわかりづらいと思いますが、前述の特性があったり、周囲とのずれを感じやすかったりする場合には、気軽にご相談いただければと思います。