ぜんそくは遺伝?

町田宗正・町田医院(2017年7月19日掲載)

発症には環境が影響


 ぜんそくの診療をしていると、“ぜんそくは遺伝しますか?”と聞かれる事があります。ぜんそくの子どものいるお母さんや結婚適齢期の女性にとっては、切実な問題です。父親か母親のどちらかがぜんそくの場合、子どもにも発症することが多いのですが、遺伝がどの程度関与しているのかはっきり分かっていません。


 南大西洋に浮かぶ孤島、トリスタンデクーニャ島では住人の30~40%がぜんそくで、世界一ぜんそくの多い島として有名です。1827年にセントヘレナ島から嫁いできた3人の女性にぜんそくがあり、それが原因だとされ、詳しく調べましたが、ぜんそくの遺伝子は見つかりませんでした。


 ぜんそくは遺伝と環境が関連して発症します。ぜんそくを発症しやすくする遺伝子は、数多く報告されています。双子の研究から遺伝は4分の1、環境は4分の3程度、ぜんそくの発症に関係するとされています。


 環境には、ダニやカビなどの多い住居、バクテリアのいない清潔な環境、排出ガスや大気汚染、タバコ、心理的ストレス、肥満、妊娠、ウイルス感染などがあります。これらが遺伝子に作用し、いろいろなタイプのぜんそくが発症します。


 高齢者ぜんそく、小児ぜんそく、大気汚染ぜんそく、喫煙者のぜんそく、アスリートぜんそく、肥満ぜんそく、妊娠関連ぜんそく、職業性ぜんそく、感染症関連ぜんそくなど、これまでぜんそくと大ざっぱにとらえられていたものが、異なった環境によって、異なるタイプのぜんそくが発症することが分かってきました。ぜんそく治療の治療はステロイド剤の吸入療法が基本ですが、環境の改善も重要だと考えられています。


 ぜんそくは遺伝と環境が関連して発症します。遺伝があっても、環境が悪くなければぜんそくは発症しません。逆に遺伝がなくても、環境が悪ければぜんそくは発症します。ぜんそくの発症には遺伝よりも環境が重要なのです。ぜんそくはある程度遺伝しますが、環境を改善すれば、それほど心配することはないと説明しています。

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