緩和ケアについて

嶺井悟・南部徳洲会病院(2017年7月12日掲載)

病気と闘う環境整える


 皆さんは「緩和ケア」って知っていますか? 「緩和ケア」とはがんをはじめとする生命に脅威を与える疾患をもつ患者さんやその家族に伴走し、病気にかかったことで感じるさまざまな苦痛を取り除きながら、生きていくことを共に考え支援するケアです。


 「緩和ケア」は1990年代まではがん患者さんを対象に、いわゆる「ホスピス」で行われる終末期医療というような位置付けでした。しかし、2000年代に入ると、治療の初期段階から緩和ケアを実施していくことが推進され、患者さんだけでなく、その家族にもケアの対象を広げるようになりました。


 さらに、2010年の米国臨床腫瘍学会の発表でも、根治が難しい進行再発がんに対して、可能な限り早期から緩和ケアサービスが介入し、腫瘍治療医と並行して診療に当たっていくことで生命予後も改善される可能性が報告されました。


 それでもまだ多くの医療従事者や患者さんにとって、「緩和ケア」は終末期医療というイメージから脱却できず、医療現場での「緩和ケア」の介入は遅れがちとなっています。


 がん治療の早期から緩和ケアサービスが介入するということは、がん治療と並行して症状緩和を行い、病気と闘う環境をより良い状態に整えるということです。がん治療をあきらめるということではなく、サポートする役割なのです。その上で、自らの人生を見つめ直すきっかけにもなるよう支援していきます。


 「緩和ケア」を受けられるのは緩和ケア病棟だけではありません。がん拠点病院には、緩和ケアチームの設置が義務づけられています。その他のがん治療を行う病院にも少しずつ整備されてきています。まずは、主治医に問い合わせてみるといいでしょう。


 がん患者さんとその家族には治療に伴う苦痛だけでなく、社会的、精神的、スピリチュアルな苦痛が伴います。そういった全人的苦痛にも対処していく「緩和ケア」は、がん治療のもう一つの柱として広まってほしいものです。

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