脳梗塞の最新治療

竹下朝規・県立南部医療センターこども医療センター(2017年6月28日掲載)

カテーテルで血栓回収


 脳梗塞は脳の血管の一部が詰まって、脳の組織が壊死(えし)する病気です。いったん、脳梗塞になると半身麻痺(まひ)や言語障害など後遺症が残ってしまいます。脳卒中による入院患者数はがんの1・5倍、心臓病の3・5倍とも言われ、国内でも注目すべき病気と位置づけられています。脳梗塞に対しては予防治療が重要なことは言うまでもありませんが、発症した場合に早く治療を行い詰まった血管を再開通させ、脳に血液を行き渡らせることも重要です。


 今回は脳梗塞に対する最新の治療をご紹介します。脳の詰まった血管を再開させる治療は次のように大きく二つに分けられます。一つがt-PAという血栓を溶かす薬剤を投与する治療。二つ目が脳の血管に直接カテーテルを進めステントレトリーバーという金属の筒を使い血栓をからめ取る脳血栓回収療法です。


 t-PAは点滴によりすぐに治療を開始できるため、発症して間もない患者さんに対して最初に行う治療です。しかし、この薬剤は症状が出てから4・5時間以内でなければ使用できないため、治療できる患者さんは限られます。また、脳の中でも細い血管が詰まった場合には有効な治療薬ですが、大きな血管に詰まった血栓はt-PAを使っても溶けず血管が再開通できないことがあります。


 この場合に有効な治療がカテーテルによる脳血栓回収療法です。この治療は症状が出てから8時間以内であれば行うことができ、大きな血管に詰まった血栓を取り除く場合に有効な治療です。ステントレトリーバーを用いたカテーテル治療は2014年より国内で始まった新しい治療であり、県内では治療できる医療機関が限られています。そのため、脳梗塞の患者さんがいかに早く専門治療が可能な医療機関を受診できるかが今後の課題になります。


 脳梗塞は時間とともに壊死する範囲が広がるため、いずれの治療でも脳の血流が再開するまでの時間を短縮することが治療のカギとなります。そのため、突然の手足や顔面の麻痺、言葉の障害を自覚したら様子を見るのではなく、ためらわずすぐに救急車を要請し病院を受診して下さい。

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