アルコール性肝障害
玻座真 博明・はざま胃腸内科クリニック(2017年5月9日掲載)
酒の飲み方見直して
肝硬変や肝臓がんの原因として、近年割合の高くなっている病気の一つに「アルコール性肝障害」があります。沖縄県は他県に比べこの病気の割合が特に高く、大きな問題となっています。「酒は百薬の長」ともいわれ、ストレス緩和、食欲増進などよい面もたくさんありますが、量が過ぎれば「よろずの病のもと」にもなります。
アルコールの飲みすぎによって多くの方が脂肪肝になります。さらに飲み続けると肝臓の細胞が壊れ、肝臓の中に傷が増えて肝硬変へと進行します。肝硬変の初期までは自覚症状はほとんどありませんが、肝硬変が進行すると腹水や黄疸(おうだん)、吐血、肝がんなどの合併症がみられます。肝硬変になると正常な肝臓には戻りません。また、女性、肥満の方、糖尿病の方は、アルコール性肝障害がより進みやすいと言われています。
アルコール性肝障害の治療の基本は禁酒です。肝硬変になっていない状態であれば、禁酒または節酒により大部分の肝障害は改善できます。しかし、肝硬変と診断された方やアルコール依存症の方は、節酒ではなく断酒が必要です。肝硬変になっても飲酒を続けると5年後の生存率は約30%との報告もあります。
個人差もありますが、「適量」は一日平均でアルコール20グラム以下と言われています。ビールであれば500ミリリットル、泡盛であれば0.5合(100ミリリットル弱)以下の量です。これくらいの量であれば「百薬の長」といえるでしょう。
休肝日は、週2日以上ある方が良いとされています。アルコールは肝臓以外の病気にも影響があります。一日平均でアルコールを40グラム以上飲む方は高血圧、脳卒中、がんなどのリスクが高まると言われ、ビールであれば1000ミリリットル、泡盛であれば1合以上の量に相当します。この量を継続して飲んでいる方は健康を損なう恐れがあり、お酒の飲み方の見直しが必要です。ただし、女性の場合は上記の半分の量が目安です。
一生に飲めるアルコールの量には限界があり、限界を超えれば肝臓も壊れてしまいます。肝臓をいたわり、適度な飲酒を心掛けましょう。