あそびの貧困化
城間直秀・発達神経クリニックプロップ(2017年4月4日掲載)
言葉と想像力で広げよう
日々、発達の気になる子を含めた発達障がい診療を行っていると、子どものあそび内容の乏しさが育ちの支障になっていると感じます。
発達支援の方法として、「療育」があります。ちまたではさまざまな療育方法がうたわれていますが、私自身は「丁寧な保育」こそ、「療育」だと考えています。保育は教育と養護の両立を指しますが、では幼児の教育とはなんでしょうか?
幼稚園の祖と言われるフレーベルはあそびながら学べる玩具を恩物と名付け、あそびが子どもを育てると訴えました。日本で幼児教育の父と呼ばれる倉橋惣三は『生活を、生活で、生活へ』ととなえ、生活の中で自由あそびを中心にして子どもは育っていくと信じていました。この考えは広く日本の保育の基礎になっています。つまり、幼児の教育は、あそびであると言い換えられます。
1990年には国際条約として「子どもの権利条約第31条」が発効され、子どものあそぶ権利が保障されました。では、「あそび」とはなんでしょうか? 現代社会では幼児でさえテレビゲームやスマホゲーム、カードゲームを挙げる子が多いように思います。DVDを見ることを挙げる子もいるでしょう。
環境建築家である仙田満はその著書の中で、四つのあそびの環境要素を、(1)あそび時間(2)あそび空間(3)あそび集団(4)あそび方法-とし、いずれも現代社会では縮小していることであそびが貧困化していると述べています。
子どものあそび場と時間が奪われ、集団が小さくなることであそびの伝達が乏しくなり、パターン化したあそびに飽きた子どもたちは、刺激の多いゲームに夢中になります。今こそわれわれ大人は真剣に子どもたちのあそびを考え、守らなければいけないと思います。その延長線上に子どもたちの発達支援があると言っても過言ではないと考えます。
陣取り、ゴム段、けんけんぱ、かくれんぼ、秘密基地や探検など、たいした道具も必要とせず、言葉と想像力で広がるあそびを伝達する必要があると思うのです。