汗について

平良清人・美里ヒフ科(2016年11月8日掲載)

量の調整が重要


 運動は手軽にできる健康法の一つで気持ちの良いものです。体を動かせば筋肉などによって熱が作られ、体温が上がりますが、ちゃんと熱を外に逃がしてあげないと運動を続けることができません。


 そのため、人は体温が上がると汗を出して体を冷やします。実は汗で体を冷やすことができるのは人や馬などの限られた動物だけです。そのため狩猟時代の人は獲物を長時間にわたって追いかけ、体温が上昇して逃げられなくなった動物をしとめていたと考えられています。また、指紋は汗の出口が並んで隆起したものであり、汗で湿らせることで木に登ったり物をつかんだりするときの滑り止めとなります。


 このように人が進化していく上でとても重要な役割をになってきた汗ですが、必要以上に汗をかくことには悪い面もあります。手の汗が多くなるとノートや書類が汗でふやけたり、パソコンや携帯電話などの電気製品が故障する原因になることもあります。ワキ汗は服に汗ジミを作ってしまいます。


 汗を抑えるには制汗剤(塩化アルミニウム液やミョウバン水)を塗布します。重度のワキ汗に対してはボツリヌス菌の毒素を皮膚に注射することで数カ月間は汗を減らすことができます。また、胸の交感神経を切除する手術もありますが、そのかわり手やワキ以外の汗が極端に増加してしまう欠点があります。


 アトピー性皮膚炎では汗をあまりかかないように生活指導されてきましたが、極端に汗を制限しすぎると皮膚の乾燥がさらに強くなります。アトピー性皮膚炎の方も適度な運動を行い汗をかくことが大切です。ただし、かいた汗は痒(かゆ)みの原因となるのですぐにぬれタオルでふき取ったり、シャワーなどで洗い流す必要があります。


 汗を完全に止めることは難しく、逆にまったく汗をかかないと乾燥肌の原因にもなります。エアコンで室温を調節したり制汗剤を活用することで汗の量を調節しつつ、適度な運動で汗をかきましょう。

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