拡張型心筋症

野村秀樹・野村ハートクリニック(2016年10月4日掲載)

早期発見で予後の改善


 最近、心筋症で心臓移植のためにアメリカへわたる子供たちの募金活動のニュースが、報道されています。では心筋症とは一体どのような病気でしょうか。心筋症は、心臓の筋肉の機能障害の病気ですが、心臓の形で三つに分類されます。心臓が拡張し収縮しなくなる拡張型心筋症、心臓が肥大する肥大型心筋症そしてそれ以外のいろいろな心筋症です。


 その中でも本日は拡張型心筋症について説明します。左心室全体性の収縮障害と左心室の拡大を特徴とする原因不明の病気ですが、約3割に、家族性が報告され、遺伝による疾患の可能性が示唆されます。


 また、遺伝以外にも、ウイルスなどの感染症で発症することがあります。心筋梗塞、弁膜症、高血圧などでも末期には、拡張型心筋症と同じ状態になります。実際には、いろいろな理由で医療機関を訪れた時に、心臓の拡大と収縮障害が心エコー検査などで認められた場合、血管造影などの画像診断や、心筋の病理的診断で原因不明な場合に、拡張型心筋症と診断されます。


 心機能の状態にも、個人差が大きく軽い心不全の場合は、内服薬治療でほぼ正常にまで改善する場合があります。また、少しの異常で、潜在性拡張型心筋症と思われる場合は、経過観察だけする場合もあります。しかし、重症な場合にはさまざまな治療でも悪化し、人工心臓や心臓移植になる場合があります。現在日本では、心臓を提供してくれるドナー不足が深刻なため、日本国内で心臓移植手術を受けることは、非常に難しい状況です。それではどうすればよいのでしょうか。


 できるだけ早期に診断し治療を早期に開始し、改善できる症例を増やすことが大事です。最近では、治療薬の進歩により、改善する症例が増えてきたと実感されます。今後は、子供の心臓検診でも心電図だけではなく、心エコー検査を導入し、より早期に診断できる体制を作っていくのも一つの考えです。そして、拡張型心筋症の生命予後がますます改善されていくことを期待します。

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