ストレスチェック

森永泰正・もりなが内科・小児科クリニック(2016年9月27日掲載)

職場環境改善へ活用を


 厚労省は6月24日、2015年度「過労死等の労災補償状況」を公表しましたが、精神障害に関する労災補償では、請求件数が1515件となり過去最多となりました。また、13年の「労働者健康状況調査」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は、全業種の平均で8.1%と前回の調査より0.5%増加していました。メンタルヘルス休職者が多い企業ほど業績を押し下げているという結果を述べている研究もあり、この問題が企業経営にとって無視できないものとなっています。


 そこで去年の12月1日に施行されたのが、改正労働安全衛生法によるストレスチェックの義務化です。ストレスチェック制度は1年に1度、労働者のストレスの程度を調査票(国では「職業性ストレス簡易調査票」を推奨)を用いて調べ、自らのストレスの状況についての気付きを促して個人のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ(セルフケア)とともに、検査結果を集団ごとに集計、分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげようとするものです。


 50人以上の労働者がいる事業者は今年の11月31日までには1回目を実施する義務があります。ここで注意しなくてはいけないのは、義務があるのは事業者であって、労働者には受ける義務はなく、受けないことで不利益を被ることも禁止されている点です。また、検査結果は検査を実施した医師らから直接本人に通知し、本人の同意なく事業者に提供することや、高ストレスで医師との面接指導などを申し出た労働者に対し、事業者が異動や解雇など不利な取り扱いをすることも禁止されています。


 今年から始まる新たな試みですが、メンタルヘルスの問題では労使の信頼関係が重要です。目的とお互いのメリットを理解しあってよりよい職場環境のもとで働けるように、この制度をうまく利用したいものですね。

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