健康長寿の秘けつ
今井千春・今井内科医院(2016年9月13日掲載)
社会とのつながりを
皆さんもご存じトンチで有名な一休さんは、室町時代に実在した禅僧です。皆に慕われ自由奔放に生きていましたが、80歳と、高齢の時に大徳寺再建の勅命を受けました。無事再建事業を果たし、87歳に惜しくもマラリアで亡くなりました。
一休さんのように元気に長生きできるチャンスはどのくらいでしょう? 20年間にわたり約6000人の高齢者の機能的自立度の推移をみた調査では、90歳に至るまで完全自立できたのは男性に多く約10%でした。一方多くの女性は75歳を境に徐々に自立度は低下し、完全に自立を保っている方はあまりいませんでした。男性の約2割、女性では1割が60歳以降急速に自立度が低下していき、年齢が上がるにつれ、介護を必要とする割合が高くなっていきます。
90歳まで元気に長生きするスーパーおじいさんの条件は明らかにはなっていませんが、当院に通院されている患者さんにヒントがありそうです。毎回きっちり予約日に通院している律儀なおじいさん、いつも夫婦仲良く来院されるおじいさんは見た目も若々しく当院でも人気者です。さらに米国人1500人余りを10歳から80年間追跡調査した報告によると、長寿の秘けつは誠実な人柄であることが分かりました。運動好き、仕事への満足度が高い、高齢でも仕事や勉強などで世間とのつながりがあることも長寿には重要でした。
最近フレイル(虚弱)という言葉が注目されています。フレイルとは自立と要介護の境界です。頑張れば元の元気な状態へ戻れますが、油断すると衰弱が進み、寝たきりとなります。ペットボトルが開けられない、信号が青の間に横断歩道を渡りきれないといった方はフレイルである可能性があります。フレイルの予防はしっかり栄養を取り、適度な運動を継続することが重要です。
さらに社会とのつながりを維持することも大切であることが分かりました。定年退職後に自宅で手持ち無沙汰にし、妻だけを頼りにしている男性は要注意です。いくつになっても社会活動に参加することが長寿の秘訣と言えそうです。